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左主幹部病変に対するPCI vs CABG
meta-analysis

左主幹部病変に対する1年後の主要有害心イベント(死亡,心筋梗塞,標的血管血行再建術,脳卒中)は,PCIとCABGで有意な違いはなかった。
Capodanno D et al: Percutaneous coronary intervention versus coronary artery bypass graft surgery in left main coronary artery disease a meta-analysis of randomized clinical data. J Am Coll Cardiol. 2011; 58: 1426-32. PubMed

コメント

昨今のガイドラインはEBMを従順に踏襲し,その結果に応じて短期間でよりup dateな内容に刷新される傾向がある。実際,最新のガイドラインである「Guidelines on myocardial revascularization (ESC/EACTS* GUIDELINES 2010)」では1995年に発表されたCASS trialと2009年のSYNTAX trialを根拠に左主幹部(LMT)病変における適応を規定している。曰く,
CABGはすべてのカテゴリーがクラスIで, PCIは以下の通り層別化されている。
LMT入口部あるいは体部で他病変が1枝疾患以内;クラスIIa
LMT分岐部で他病変が1枝疾患以内;クラスIIb
多枝疾患を伴いSYNTAXスコア≦32;クラスIIb
多枝疾患を伴いSYNTAXスコア≧33;クラスIII
今回のメタ解析はSYNTAXに最新の3つのRCTを加えて解析された。エンドポイントもほぼ同じで,それを論じるのに足る症例数があり,エビデンスレベルとしてはかなり高い。PCI群では96%にDESが留置され,CABG群では95%に左内胸動脈グラフトが使用された点もリアルワールドを反映している。結果,中等度の SYNTAXスコアおよびEUROスコアを呈するLMT病変において,死亡・心筋梗塞発症率に有意差はなく,脳卒中はCABGに多く,再血行再建が PCIに多いという結論であった。また主幹部病変+1枝疾患以内ではPCI群に,+2枝以上ではCABG群でMACCEが少ない傾向だった。これらはすでにSYNTAX trialで示された結論と同様で,ガイドラインが追認された形となった。
患者レベルデータに基づいたメタ解析ではないこと,第一世代 DESでの検討,有意差が出なかったサブグループでの検出力の問題,1年という短い観察期間など,あくまで「途中経過」の結論ではあるが,LMT=CABGという短絡的な図式は崩れようとしている。(中野中村永井
* 欧州心臓胸部外科学会


目的 左主幹部病変に対するステントによるPCIは現行ガイドラインではCABGの代替治療としてクラスIIa,IIbである。推奨レベルがクラスBだったのは,ランダム化比較試験(RCT),メタ解析からのデータが不足しているということである。実際,ガイドラインが発行された際,1つの小規模RCT(LEMANS)と大規模RCT(SYNTAX)の事前に計画されたサブ解析があったのみである。
前に行われた左主幹部病変でのPCI vs CABGのメタ解析は,おもに非前向き研究,観察研究であった。2009年の最新ガイドライン発行後,今年(2011年)2つのRCTが発表されたので,最新メタ解析を実施した。
一次エンドポイントは1年後の主要有害心血管イベント(死亡,心筋梗塞[MI],標的血管再血行再建術[TVR],脳卒中)。
対象 1,611例(PCI群809例,CABG群802例)。4件のRCT(LEMANS,SYNTAX Left Main,Boudriot et al,PRECOMBAT)。
基準*に合致した前向きRCT,事前に計画されたRCTのサブ解析。サブ解析はSYNTAX Left Mainのみ。
* 対象が左主幹部病変;PCI vs CABGにランダム化されたもの;安全性,有効性の両方の転帰が報告されているもの。
■患者背景:PCI群の96%が第一世代薬剤溶出性ステント,CABG群の95%が左前下行枝への左内胸動脈グラフトを使用,左主幹部遠位部病変64%,SYNTAXスコア 24-30,(心臓手術のリスクを予測する)logistic EuroSCORE 2.5-3.9%。
方法

1980年1月-2011年4月のMEDLINE,Cochraneデータベースを検索。
検索用語は,“left main”,“percutaneous coronary intervention”,“stent(s)”,“coronary artery bypass graft”。さらに,関連試験,レビュー,エディトリアル,レターの参照文献,会議での抄録も調べた。

結果 完全血行再建は,PCI群71%,CABG群76%。

[一次エンドポイント:1年後の主要有害心イベント]
PCI群117/807例(14.5%) vs CABG群93/790例(11.8%):オッズ比1.28;95%信頼区間0.95-1.72,絶対群間差2.7%;-0.6-6.0,有害作用必要数(number needed to harm:NNH)は37例(P=0.11)。
試験間に異質性はみられなかった(I²=0%,P=0.29)。
脳血管イベントを入れていなかったBoudriot et alを除外しても,有害心イベントに影響はなかった(1.25;0.90-1.72,P=0.18)。
 ・死亡,MI,脳血管イベントの複合エンドポイントは35/655例(5.3%) vs 43/636例(6.8%):0.77;0.48-1.22,-1.5%;-4.1-1.2,number needed to treat: NNTは67例(P=0.26)。
試験間に異質性はみられなかった(I²=0%,P=0.84)。
 ・死亡は24/807例(3.0%) vs 32/790例(4.1%):0.74;0.43-1.29,-1.1%;-3.0-0.8,NNTは91例(P=0.29)。
試験間に異質性はみられなかった(I²=0%,P=0.58)。
 ・MIは23/807例(2.8%) vs 23/790例(2.9%):0.98;0.54-1.78,-0.1;-1.8-1.6,NNTは1,000例(P=0.95)。
試験間に異質性はみられなかった(I²=0%,P=0.79)。
 ・脳血管イベント(SYNTAX Left Main,PRECOMAT,LEMANSの3試験)は1/707例(0.1%) vs 12/689例(1.7%):0.15;0.03-0.67,-1.6%;-2.9--0.6,NNTは63例(P=0.013)。
試験間に異質性はみられなかった(I²=0%,P=0.94)。
SYNTAX Left Mainを除外すると,PCIによるリスク低下は有意ではなくなったが,オッズ比は大きな違いはなかった(0.20;0.02-1.71,P=0.14)。
 ・TVRは92/807例(11.4%) vs 43/790例(5.4%):2.25;1.54-3.29,6.0%;3.3-8.7,NNHは17例(P<0.001)。
試験間に異質性はみられなかった(I²=0%,P=0.72)。

[その他の結果]
・メタ回帰解析によると有意な交互作用はみられなかった(登録患者数,糖尿病,左主幹遠位部病変,SYNTAXスコア,logistic EuroSCORE,完全血行再建)。
・SYNTAXとPRECOMBATを統合して,主要有害心イベントを病変数で層別すると,左主幹部病変のみのPCI vs CABGのオッズ比は0.66;0.18-2.40(P=0.53),左主幹部病変+1枝(0.58;0.22-1.51,P=0.26),左主幹部病変+2枝(1.28;0.74-2.23,P=0.38),左主幹部病変+3枝(1.80;1.06-3.07,P=0.03)。


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