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ステント植込みから5年後の転帰-sirolimus溶出ステント vs ベアメタルステント
pooled analysis

SES群ではBMS群に比べ,死亡,心筋梗塞,ステント血栓症のリスクを増大することなく,5年後の標的血管血行再建術を有意に抑制した。
Caixeta A et al: 5-year clinical outcomes after sirolimus-eluting stent implantation: Insights from a patient-level pooled analysis of 4 randomized trials comparing sirolimus-eluting stents with bare-metal stents. J Am Coll Cardiol. 2009; 54: 894-902. PubMed

コメント

SES対BMSの初期のRCT(RAVEL,SIRIUS,E-SIRIUS,C-SIRIUS)のメタ解析である。本論分を読み解くのに押さえておかなければならないいくつかのポイントがある。
1) 症例ベースで検討された非常にエビデンスレベルの高い解析であること
2) 対象となった症例は両ステント植え込みから5年を経過した1748例で,頻度の少ないイベント解析には不十分であること
3) すべてon-labelの症例であること
4) DES導入初期の登録であるために,現在議論となっている抗血小板剤の長期投与は前提になっていないこと,などである。
4年後のメタ解析が既報されているが (NEJM 2007; 356; 989-97. PubMed),4~5年での新たなイベントに群間差はなく,従って4年後の結論が踏襲され何ら新しい知見は加えられていない。

SESにとっての一番の朗報は,5年間でのlate catch-upやlate stent thrombosis増加の懸念が否定された点である。一方,糖尿病のサブグループについては,依然として死亡率・心臓死・Q波心筋梗塞に有意差(SES>BMS)が認められている。筆者らはSES群に(心臓死やステント血栓症に振り分けられた)原因不明の死亡が多く,またBMS群の予後が良すぎるなど,少数解析ゆえの“偶然”との言い訳に終始している。しかし,off-label症例を含めたKastratiらのメタ解析(NEJM 2007; 356; 1030-9. PubMed)やリアルワールドのレジストリー(RESEARCH;Eur Heart J 2007; 28; 26-32. PubMed)でも糖尿病症例ではSES群で生存率が悪い傾向が示され,また糖尿病自体がDESステント血栓症のリスク因子とも指摘されている。

今後SESに関しての大規模なRCTが企画される可能性は少なく,高いエビデンスレベルで糖尿病に関する疑問が解決されることはないかも知れない。しかし3),4)の点からも本解析がDESの現状とは多少かけ離れた側面があり,より日常臨床に則した批判に耐えうる症例数でのメタ解析の出現を待ちたい。(中野中村永井


目的 薬剤溶出性ステント(DES):sirolimus溶出ステント(SES)の登場により,再狭窄と標的病変血行再建術が劇的に低減した。アメリカ食品医薬品局(FDA)の承認後,SESは承認された適応以外の症例(off-label)にまでも熱狂的に使用されるようになった。しかし,理論上DESは易血栓性であり,またDES症例に遅発性内膜増殖が散見されることから,DESと超遅発性ステント血栓症との関連に対する懸念が高まった。
2007年にSESとBMSを比較した4つのランダム化試験(RCT)の4年間の追跡結果のpooled analysisが発表されたが(N Engl J Med. 2007; 356: 1020-9. PubMed),SESのメーカーはFDAより5年間追跡することを求められた。そこで,SESのより長期の有効性,安全性を検証するために,SESとBMSのRCTの5年間の追跡結果の患者レベルのpooled analysisを実施した。
対象 1748例(SES群878例,BMS群870例)。
新規単独病変においてsirolimus溶出ステント(SES),ベアメタルステント(BMS)を比較した二重盲検・多施設(115施設)・RCT 4試験(RAVEL,SIRIUS,E-SIRIUS,C-SIRIUS)の対象患者。
ランダム化は2000年8月~2002年4月に行われた。
5年間追跡を完了したのは87.1%で,解析に組み込むのは追跡期間が1800日を超えるのものとした。
■患者背景:平均年齢(SES群61.85歳,BMS群61.91歳),男性(71.6%,71.5%),高血圧(63.8%,63.3%),高コレステロール血症(70.8%,71.8%),喫煙者(21.2%,24.5%),糖尿病(22.2%,26.8%;P=0.03),既往:心筋梗塞(MI:33.2%,35.7%);PCI(22.9%,21.2%);CABG(7.5%,7.4%),多枝病変(38.6%,38.8%),安定労作性狭心症(23.1%,25.0%),労作性狭心症の悪化(36.6%,33.3%),安静時狭心症(21.9%,21.8%)。
標的病変の場所:左前下行枝(46.6%,46.7%);左回旋枝(20.7%,20.8%);右冠動脈(29.0%,29.1%)。modified ACC/AHA病変分類:A(両群とも7.0%);B1(33.9%,36.4%);B2(36.6%,38.1%);C(22.5%,18.5%;P=0.04)。
方法

有効性の一次エンドポイントは5年間の標的血管血行再建術(TVR)。
安全性の一次エンドポイントは死亡,心筋梗塞(MI)。
ステント血栓症の定義はAcademic Research Consortium (ARC)を使用した。
4年後の解析で死亡率が有意に高かった糖尿病患者でのサブ解析も実施。

結果 [5年間の累積TVR]
BMS群はSES群のおよそ2倍で,両群間差は植込みからおよそ1年後に最大となりその後も変わらなかった。
・5年後:15.2% vs 30.1%:ハザード比0.44;95%信頼区間0.36-0.55(P<0.0001)。
・1~5年後:9.6% vs 8.3%:1.22;0.87-1.69;P=0.24。
・年間ハザード比/100人・年:1年後;9.5% vs 25.3%(P<0.0001),2~5年後;2.4% vs 2.1%(P=0.24)。

[5年間の全死亡,心臓死,MI]
両群間に有意差はみられなかった。
・5年後の死亡:8.9% vs 8.2%:1.10;0.79-1.52(P=0.57),心臓死:4.4% vs 3.9%:1.16;0.72-1.85(P=0.55),MI:Q波MI(2.5% vs 1.6%:1.62;0.81-3.23,P=0.17);非Q波MI(5.7% vs 5.4%:1.03;0.69-1.55,P=0.87)。
・1~5年後の死亡:7.7% vs 7.5%:1.05;0.74-1.48(P=0.79),心臓死:4.0% vs 3.4%:1.18;0.71-1.95(P=0.52),MI:Q波MI(1.3% vs 0.9%:1.43;0.54-3.76,P=0.46);非Q波MI(3.2% vs 2.0%:1.62;0.87-3.02,P=0.12)。
・年間ハザード比/100人・年:死亡(1年後;1.3% vs 0.8%,P=0.35,2~5年後;1.9% vs 1.9%(P=0.79),心臓死(0.5% vs 0.5%,P=0.99,1% vs 0.9%,P=0.52),MI(Q波MI:1.3% vs 0.7%,P=0.23,0.3% vs 0.2%,P=0.46,非Q波MI:2.5% vs 3.5%,P=0.25,0.8% vs 0.5%,P=0.12)。
全死亡,心臓死,MIの複合エンドポイント:5年後と1~5年後に両群間差はなかった。

[ARC定義によるステント血栓症(ST)]
両群間に有意差はなかった。
・5年間のdefinite ST:1.6% vs 1.0%:1.62;0.67-3.91(P=0.23)
definite ST+probable ST:2.1% vs 2.0%:099;0.51-1.95(P=0.99)
全ST(definite+probable+possible ST):4.6% vs 4.4%:1.02;0.65-1.61(P=0.70)。
early(0~30日)ST,late(30日~1年)ST,very late(1~5年)STも両群間に有意差はみられなかった。
年間ハザード比/100人・年:definite ST(1年後;0.5% vs 0.5%(P=0.99),2~5年後;0.3% vs 0.1%(P=0.16),definite+probable ST(0.7% vs 1.3%,P=0.22),(0.4% vs 0.2%,P=0.22),全ST(0.8% vs 1.6%,P=0.12),(1% vs 0.7%,P=0.28)。

[糖尿病患者]
5年後の糖尿病患者の死亡率/Q波MIはSES群で有意に高かった:15.9% vs 9.0%/3.3% vs 0.4%(いずれもP=0.03)。
5年後,1~5年後のdefinite ST,definite+probable STは両群間に差はみられなかった。
5年後のTVRはSES群がBMS群より有意に抑制した:17.7% vs 37.1%(P<0.0001)。


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