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スタチンの有効性の性差
meta-analysis

スタチンの心血管イベントおよび全死亡の有意な抑制効果は,男女で同等。
Kostis WJ, et al. Meta-analysis of statin effects in women versus men. J Am Coll Cardiol. 2012; 59: 572-82. PubMed

コメント

スタチン治療で,心血管イベントとともに総死亡の抑制効果があることは多くの試験からほぼ確立されている。しかし,女性に限った試験がないことから,女性の治療効果については必ずしも意見の一致を見ていない。本メタ解析は女性に焦点を当てて解析し,女性でも男性と同様スタチンの有効性を共有することが改めて示された。しかし,すべて相対的評価で表現されており,抑制効果も相対的抑制率で男性と同様であることが示されている。当然のことながら心血管イベントの絶対リスクは男性に比較すると女性では極めて低いことから,相対的抑制率が男性と同様であっても,絶対的抑制効果は極めて低いこととなる。したがって,重要なことは医療経済的な効果がどれだけあるかということになる。スタチンの有効性が男女を問わず示されたことから,今後はEBMから医療経済の世界という次のステップに入ってきたという点がこのメタ解析が大きく評価されることであろう。医療経済ということを考えると,当然ながら絶対リスクの高い,危険因子を有する女性についてはスタチン治療の妥当性が認められるものと思われる。(寺本

目的 スタチンの心血管イベント抑制効果はランダム化比較試験やメタアナリシスで示されているが,女性については,とくに一次予防において十分な情報がない。この背景には,女性の臨床試験参加者が少ないことや,女性の転帰を改善するための臨床戦略のベースとなる性差についての探索の必要性が,過小に評価されていることがあると思われる。そこで,スタチンが心血管イベントに及ぼす効果を男女別に検討するメタ解析を行った。
エンドポイントは,全死亡および各試験の一次エンドポイント。
対象 14万1,235例(女性40,275例):18試験*(男女別のデータが報告されているスタチンの二重盲検ランダム化比較試験)。
除外基準:対象者が100例未満の試験,1群あたりの死亡例が5例未満の試験。
* 4S,AF-TEXCAPS,ALLHAT-LLT,ASCOT-LLA,AURORA,CARE,CORONA,GISSI-Prevezione,GREACE,HPS,JUPITER,LIPID,MEGA,A to Z,PROSPER,PROVE-IT,TNT,SEARCH(atorvastain 4試験,lovastatin 1試験,pravastatin 6試験,rosuvastatin 3試験,simvastatin 4試験;一次予防8試験,二次予防10試験)。
■患者背景:男性72.9%,平均年齢62.7歳,糖尿病17.1%,高血圧51.3%,現喫煙者23.3%,aspirin服用者57.6%,心血管疾患既往例66.9%,対照群と比較したスタチン群のベースラインからのLDL-C低下の差35.3mg/dL(低下率の差26.7%)。
方法 Medline,Cochrane Library,Central Register of Controlled Trials,Web of Science,ClinicalTrials.govを検索(2010年6月30日まで)。
男女別の全死亡データが未発表の場合は,試験責任医師に連絡してデータを取得。
結果 [イベント発生数]
平均追跡期間48ヵ月で,一次エンドポイントの発生は21,468例,死亡は13,710例(男女別死亡データが得られた試験では3,898例)。

[一次エンドポイント]
心血管イベント発生率は,スタチン群が対照群にくらべて低く,男女間の差はみられなかった(女性:オッズ比0.81;95%信頼区間0.75-0.89,P<0.0001,男性:0.77;0.71-0.83,P<0.0001;交互作用のP=0.1837)。
スタチンの有効性は,対照治療(低用量スタチン4試験,プラセボ11試験,通常ケア3試験),ベースライン時のリスク,エンドポイントのタイプ,一次/二次予防にかかわらず,男女ともに統計学的に有意であった。

[全死亡]
全死亡も男女ともにスタチン群で有意に低く(女性0.90,0.82-0.99;P=0.0344,男性:0.84,0.77-0.92,P=0.0003),死亡率の低下と性別の有意な交互作用は認められなかった(交互作用のP=0.4457)。女性では一次予防,男性では二次予防試験でスタチンの効果は有意であったが,女性の二次予防,男性の一次予防試験でのスタチンの効果は有意ではなかった。ただし,男性においては死亡率と予防のタイプ(一次予防と二次予防)との交互作用は認められなかった(P=0.2122)。

[出版バイアス]
累積メタアナリシス,funnel plot,Trim and Fill法により,3試験を補完した結果,スタチンのエンドポイント抑制効果の統計学的有意性は変化しなかった。

(収載年月2012.04)
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