循環器トライアルデータベース
HOME
トライアル検索
フリーワード検索
*検索について
トライアル名検索
1 4 5
A B C D E F
G H I J K L
M N O P Q R
S T U V W X
Y Z
疾患分類検索
薬効分類検索
薬剤名検索
治療法検索
キーワード検索
掲載トライアル一覧
学会情報
meta-analysis, pooled analysis
日本のトライアル
Trial Review
用語説明
Topic
開設10周年記念座談会
開設5周年記念座談会
AHA2012/ISH2012特別企画
このサイトについて
ライフサイエンス出版のEBM関連書籍
meta-analysis, pooled analysis
← meta-analysis, pooled analysis のトップページへもどる
スタチンと脳内出血
meta-analysis

スタチンと脳出血リスクの関連を示すエビデンスは得られず。仮にあるとしても絶対リスクは小さく,スタチンの心血管保護作用がそれを上回る。
Hackam DG, et al. Statins and intracerebral hemorrhage: collaborative systematic review and meta-analysis. Circulation. 2011; 124: 2233-42. PubMed

コメント

以前から疫学研究で低コレステロール血症では脳出血が多いことが示されており,これがスタチンによるコレステロール低下で脳出血が増えるかという議論の根底にある。そして,SPARCLという大規模臨床試験でスタチンによる厳格なコレステロール低下を行ったところ脳出血の頻度が有意に増加したということにより,さらにコレステロール低下療法の脳出血に与える影響が議論の的となった。しかし,欧米における脳出血の頻度は決して高くはなく,SPARCLという一つの試験でそのような結論が出せるわけではない(とくにprimary endpointではなかったので)。このことを検証するためのメタ解析が行われ,スタチンによるRCTを対象にメタ解析をしている。24万人以上の対象患者を有し,試験期間中の脳出血の発症数が14784例と多数に上っていることは,このメタ解析の信憑性を担保するものである。スタチンによる厳格なコレステロール低下療法でも脳出血の頻度は増加していないことが示され,疫学研究と介入試験の違いを明確にした解析ととらえていいであろう。(寺本

目的 大規模プラセボ対照ランダム化比較試験(RCT)であるSPARCLで,脳血管疾患患者においてスタチンによる出血性脳卒中のリスク上昇の可能性が示された。これについてはいくつかのメカニズムが考えられる。スタチンはある程度の抗血栓作用をもち,血小板凝集を阻害し,線維素溶解を促進し,血栓の形成を抑制する。また,コレステロールは脳血管の構造維持に必須とされている。脳出血は大血管から直角に枝分かれする穿通枝の血管壁の小さな破綻から発生すると考えられており,実質内出血は凝固系がそのような破綻に対処できない場合に発生すると考えられる。
スタチンと脳出血の関連性を検証するため,RCTおよび観察研究のメタアナリシスを実施した。
対象 24万8,391例 : 42試験(RCT 23試験*,観察研究19研究**)。脳内出血の発生率とスタチン曝露についてのデータを含むRCTおよび観察研究。出版言語,出版状況,サンプルサイズは問わず。
除外基準 : スタチンと他のクラスの脂質低下薬を集計した試験,急性脳梗塞に対する血栓溶解後の脳出血のみを検討した試験。
* Jadadスコア(臨床試験の質の評価で3点以上が質が高い試験:Control Clin Trials. 1996; 17: 1-12)5: 4D,ASCOT, Bone et al, CORONA, GISSI-HF, HPS, PROSPER, SSSS; スコア4: ACAPS, AFCAPS/TexCAPS, ALERT, ASPEN, AURORA, CARE, JUPITER, LIPID, MIRACL, SPARCL; スコア3: ALLHAT, GREACE, MEGA; スコア2: CLAPT, GISSI-P。
** RCTであるPROGRESS, CHARISMA, HERS, BRAVO, SYMPHONY I/II, およびJASAPの二次解析など。
方法 17の電子データベース(Cardiosource Clinical Trials, Cochrane Central Register of Controlled Trials, Cochrane Health Technology Assessment Database, Database of Abstracts of Reviews of Effects, European Medicines Agencyウェブサイト, Excerpta Medica, Healthstar, International Standard Randomized Controlled Trial Number Register, Medline, NIH www.ClinicalTrials.gov, OVID Full Text Journals, PreMedline, Stroke Trials Registry, UpToDate Online, 米国FDAウェブサイト, Web of Science With Conference Proceedings, What’s What Online;~2011年6月1日)を検索。検索用語は各データベースに合わせた。データベース中の“find similar”,“find citing articles”機能を使用して関連文献も検索。さらに,スタチン製品の文献集,レビュー論文,選択した文献,治療ガイドライン,メタアナリシスをハンドサーチ。データベース未収載の循環器,神経学,内分泌学会の抄録集も検索。最後に,スタチン曝露とアウトカムの関連を報告していない論文の著者に連絡し,それらのデータを収集。
結果 脳出血は14,784例に発生。

[RCT]
追跡期間中央値は3.9年(526,518患者・年)。
スタチンと脳出血リスク増加との関連性は認められなかった(リスク比1.10;95%信頼区間0.86-1.41)。統計学的に有意な試験間の異質性(I ²=30%,P=0.09)も,出版バイアス(P=0.67,Begg and Mazumdarの順位相関検定)も認められなかった。
脳卒中(0.85;0.78-0.93,I ²=40%)と脳梗塞(0.83;0.75-0.92,I ²=37%)はともに抑制された。

[観察研究]
・コホート研究:12件
追跡期間中央値は3.0年(219,459患者・年)。
スタチンと脳内出血リスク増加との関連性は認められなかった(0.94;0.81-1.10)。有意な試験間の異質性(I ²=0%,P=0.48),出版バイアス(P=0.67)ともに認められなかった。
・症例対照研究:6件
スタチンと脳内出血リスク増加との関連性が認められたが(0.60;0.41-0.88),試験間の異質性は高かった(I ²=66%,P=0.01)。出版バイアスは認められなかった(P=0.06)。

[感度分析]
試験のデザイン,患者背景,LDL-Cの低下度による感度分析で,解析結果の大きな変化は認められなかった。


▲pagetop
    --------------------
© 2001-. Life Science Publishing Co., Ltd
 
携帯版 EBM LIBRARY