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スタチン系薬剤のPCI前投与の有効性
meta-analysis

PCI施行例において,高用量スタチン系薬剤前投与は周術期の心筋梗塞,30日以内の有害心イベントを有意に抑制。
Patti G et al: Clinical benefit of statin pretreatment in patients undergoing percutaneous coronary intervention: a collaborative patient-level meta-analysis of 13 randomized studies. Circulation. 2011; 123: 1622-32.PubMed

コメント

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行前の高用量statin(スタチン)投与が,スタチン非投与あるいは低用量スタチン投与例に比べ,PCI周術期および30日の心血管イベントを抑制するかどうかを評価した13のランダム化試験(RCT)のメタ解析である。
本研究は良いメタ解析と言えるのであろうか?
すべての試験が小規模の試験であり,PCI施行時の臨床的背景も異なり,スタチンの種類,投与量,投与期間も様々である。心筋逸脱酵素上昇で定義した周術期心筋梗塞以外の臨床的エンドポイントを評価できるだけの検出力を有する試験が未だないという状況は良く理解できるが,今回のメタ解析の結果を以て「PCI施行前の高用量スタチン投与が30日の心血管イベントを抑制する」と結論することは難しいと思われる。
また今回のエンドポイントの中で主たるものはCKMBの3倍以上の上昇で定義した周術期心筋梗塞であるが,PCI周術期のCKMBの軽度の上昇が,患者の長期予後にどのような影響を与えるかも議論の分かれるところである。
ただしPCI施行前の高用量スタチン投与という介入そのものは短期的な介入であり,大きなコスト増大を招くものではないので,十分な検出力を有する大規模なRCTでその有効性が証明されれば,PCI施行前の標準的治療と位置づけられるようになると考える(木村)。

目的 スタチン系薬剤は虚血再灌流動物モデルにおいて心保護作用を示しており,臨床データでもPCI施行前にスタチン系薬剤を投与すると周術期の合併症や主要有害心イベント(MACE)を抑制できる可能性が示唆されているが,これらはいずれも観察研究や小規模ランダム化比較試験(RCT)からの報告である。そこで,スタチンの施行前投与の有効性を検証するため,RCTのメタ解析を実施した。
エンドポイントは,周術期の心筋梗塞(MI)と,30日後のMACE(死亡+MI+標的血管再血行再建術の複合エンドポイント)。
対象 13試験*・3,341例(高用量群1,692例,対照群1,649例)。PCI施行例において,手技前の高用量スタチンの前投与が臨床転帰に及ぼす効果を対照(低用量スタチン前投与または前投与なし)と比較した前向きRCT。
* atorvastain vs プラセボ:3試験(ARMYDA,ARMYDA-ACS,ARMYDA-RECAPTURE),atorvastain vs前投与なし:3試験(NAPLES IIなど),atorvastain高用量 vs 低用量:2試験(STATIN STEMIなど),rosuvastatin vs前投与なし:2試験,pravastatin高用量 vs 低用量 vs 前投与なし:1試験,simvastatin高用量 vs 低用量:1試験,スタチン(4種)vs 前投与なし:1試験。
除外基準:重症腎不全,肝疾患,筋肉疾患のある患者。
■患者背景:年齢≧65歳約50%,急性冠症候群(ACS)39%,糖尿病28%。
方法 MEDLINEおよびPubMedデータベース(1996-2010年)を検索し,参考文献も調査。検索用語は,"statins", "statin", "atorvastatin", "rosuvastatin", "cerivastatin", "simvastatin", "pravastatin", "lovastatin", "hydroxymethylglutaryl-CoA"と,"angioplasty", "stent", "coronary", "randomized"。 subheadingの制限は設けず。主要学会発表(ESC, ACC, AHA)についても,各学会のproceeding,公式ウェブサイトの閲覧と学会参加により調査を行い,参考文献も調査した。
追跡期間<30日の4試験については,入院中のイベントをMACEイベントに代用した。
patient-level解析には12試験が同意し,1試験(Veselka et al)は同意しなかった。patient-level解析結果の頑健性と,この1試験の影響を検証するため,全13試験それぞれの群別イベント発生率を用いたtrial-level解析も行った。
結果
[周術期のMI]
高用量群で有意に44%低下した([trial-level解析]高用量群7.0% vs 低用量群11.9%:固定効果モデルでのオッズ比0.56;95%信頼区間0.44-0.71,P<0.00001)。13試験間に有意な異質性はなく(P=0.62,I 2=0%),出版バイアスも認められなかった。

[30日後のMACE]
周術期のMIも含めたMACEは高用量群で44%有意に低下(7.4% vs 12.6%:0.56;0.44-0.71;P<0.00001)。周術期のMIを除いても高用量群のほうがリスクは低かった(0.6% vs 1.4%:0.44;0.19-1.01,P=0.05)。試験間の異質性(P=0.54,I 2=0%)も出版バイアスも認められなかった。

[サブグループ]
高用量群における周術期MIリスクの低下は,ベースライン時CRP高値例(734例:68%のリスク低下,P<0.001)でCRP正常例(1,861例:31%のリスク低下,P=0.021)よりも顕著に認められた(量的交互作用P=0.025)。
高用量スタチン前投与による周術期MIの予防効果は,入院時症状(安定狭心症,急性冠症候群)にかかわらず同様に認められ(交互作用P=0.43),他のサブグループ解析でも維持されていた。


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