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フィブラート系薬剤の心血管転帰への影響
meta-analysis

フィブラート系薬剤は,主に冠動脈イベントの抑制により主要な心血管イベントのリスクを低下する。
Jun M, et al. Effects of fibrates on cardiovascular outcomes: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2010; 375: 1875-84. PubMed

コメント

フィブラートの心血管イベント抑制効果はいまだに十分確立されていない。Helsinki Heart StudyやVA-HIT studyを除くと一次エンドポイントの有効性が示されていないためと思われる。これまでの多くの試験の一次エンドポイントは心血管死もしくは総死亡を含む複合エンドポイントとしていたことも理由の一つと思われる。最近は医療の発展とともに,死に至るようなイベントが減少しており,このような複合エンドポイントにおいて有効性を示すことは極めて困難であるためと思われる。
本メタ解析は,各イベントそれぞれに対するフィブラートの効果をみることを一次エンドポイントにしている点が特徴である。その結果は,心血管イベント(脳卒中を除く)については,いずれも有意に抑制することがメタ解析というエビデンスレベルの高いところで認められるに至った。特にトリグリセライドが176mg/dL以上の場合に有効性が示しえたということは,治療開始ポイントを示すうえで重要な情報である。しかし,やはり,死に至るイベントや総死亡については有効性を示しえていない点が問題となるのではなかろうか。今後,ガイドラインなどにおいてどのように評価するべきか判断が求められる(寺本)。

目的 PPARαアゴニストであるフィブラート系薬剤は40年以上にわたる研究を通じ,HDL-C上昇およびトリグリセライド(TG)低下効果が明らかになっており,LDL-Cおよびカイロミクロンレムナントも減少させ得ると考えられているが,血管イベントに対する効果は明確ではない。加えて,初期のフィブラート系薬剤の毒性や横紋筋融解症のリスク,特にgemfibrozilとスタチン系薬剤の併用については懸念があり,臨床現場での使用が制限されてきた。過去数年間に,フィブラート系薬剤治療に関するいくつかの大規模試験が完了したが,ベネフィットに関する結果が試験ごとに異なるため,心血管保護効果の有無や程度は不確定で,結果の解釈が困難であった。そして2010年,ACCORD試験がfenofibrateに全般的な有益性がないことを報告し(N Engl J Med. 2010; 362: 1563-74.PubMed),フィブラート系薬剤の有用性に対しさらなる疑問を呈することとなった。そこで,主要な臨床転帰に対するフィブラート系薬剤の有効性をより明確にするために,システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。
対象 18試験・45,058例。
フィブラート系薬剤の心血管イベントに対する有効性を検討したプラセボ対照のランダム化試験(RCT)で完了したもの,各群100例・年以上追跡,一次・二次エンドポイントの結果を1つ以上報告しているもの。
登録患者数81~10,627例。平均年齢46~68歳。登録基準:男性8試験,糖尿病例6試験,特定の脂質プロファイル8試験,二次予防11試験,一次予防4試験。
主要心血管イベントの年間発生率1.2~3.3%,冠動脈イベントの年間発生率0.4~5.2%。
すべて多施設試験(米国,カナダ,ヨーロッパ,オセアニア,中米)。
[使用されたフィブラート系薬剤]
clofibrate(1~2g/日: 7試験), bezafibrate(400・600mg/日: 4試験), fenofibrate(160・200mg/日: 3試験), gemfibrozil(1200mg/日: 3試験), etofibrate(1000mg/日: 1試験)。
方法 Medline(1950年~2010年3月),Embase(1966年~2010年3月),Cochrane Library databaseにより文献を検索。
検索用語はfibrate, clofibrate, clofibric acid, bezafibrate, gemfibrozil, fenofibrate, procetofen, mortality, cardiovascular disease, myocardial infarction, revascularisation, stroke, retinopathy, kidney disease。
主要心血管イベント(心筋梗塞[MI]+脳卒中の複合エンドポイント),冠動脈イベント(MI+冠動脈疾患死の複合エンドポイント),血行再建術,脳卒中,心不全,心血管死,非血管死,全死亡,突然死,新規アルブミン尿,薬剤関連の有害イベントのデータを収集し,変量効果モデルにより相対リスク(RR)を算出。
結果

・フィブラート系薬剤によるRRの低下
主要心血管イベント(5試験・2,870件/19,944例): -10%(RR 0.90; 95%信頼区間0.82-1.00,P=0.048)。
冠動脈イベント(16試験・4,552件/44,667例): -13%(0.87; 0.81-0.93, P<0.0001)
非致死性冠動脈イベント(10試験・2,485件/42,131例): -19%(0.81; 0.75-0.89, P<0.0001)
血行再建術(4試験・1,737件/15,834例): -12%(0.88; 0.78-0.98, P=0.025)
アルブミン尿の進行(3試験・3,859件/15,731例): -14%(0.86; 0.75-0.98, P=0.028)
糖尿病性網膜症(2試験・492件/10,091例): -37%(0.63; 0.49-0.81, P<0.0001)

・フィブラート系薬剤によるRRの上昇
脳卒中(8試験・1,391件/27,021例): +3%(1.03; 0.91-1.16, P=0.687)
非血管死(10試験): +10%(1.10; 0.995-1.21, P=0.063)

・フィブラート系薬剤の効果なし
全死亡(16試験・3,880件/44,813例): 0%(1.00; 0.93-1.08, P=0.918)
心臓死(13試験・1,740件): -7%(0.93; 0.85-1.02, P=0.116)
心血管死(6試験・1545件/22,066例): -3%(0.97; 0.88-1.07, P=0.587)
突然死(5試験・596件/12,277例): -11%(0.89; 0.74-1.06, P=0.190)
心不全(3試験・584件/8,581例): -6%(0.94; 0.65-1.37, P=0.759)(VA CO-OP Atherosclerosis trialを除外した感度解析では-18%, P=0.012)

・有害イベント
フィブラート系薬剤による薬剤関連の有害イベントの有意な増加は認められなかった(4試験・225件/17,413例: 1.21; 0.91-1.61, P=0.19)。
フィブラート系薬剤による血清クレアチニン値の上昇が認められた(1.99; 1.46-2.70, P<0.0001)。

・サブグループ
冠動脈イベントに対する効果を追跡期間(≧5年, <5年),一次予防か否か,平均年齢(≧60歳, <60歳),ベースライン時HDL-C(≧38.7mg/dL, <38.7mg/dL),LDL-C(≧135.3mg/dL, <135.3mg/dL),TG(≧176mg/dL, <176mg/dL),総コレステロール(≧220mg/dL, <220mg/dL),糖尿病などのサブグループで解析したところ,高TG例でのフィブラート系薬剤の有効性が大きかった(RR 0.682 vs 低TG例 0.888, P=0.030 for heterogeneity)。


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