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利尿薬の降圧・代謝効果-HCTZ vs indapamide,chlorthalidone
meta-analysis

直接比較により,indapamideはchlorthalidoneと同様に一般的な処方量でHCTZより降圧効果が高いことが示され,代謝パラメータへの有害な作用は認められなかった。
Roush GC et al: Head-to-head comparisons of hydrochlorothiazide with indapamide and chlorthalidone: antihypertensive and metabolic effects. Hypertension. 2015; 65: 1041-6. PubMed

コメント

hydrochlorothiazide(HCTZ)やtrichlormethiazideなどのサイアザイド系利尿薬とchlorthalidone(CTD)やindapamide(INDAP)などに代表されるサイアザイド類似薬は,長い間一括りにされ,大きな違いはないと考えられてきた。しかし近年この二つの薬剤は構造的にも薬理学的にも,似て非なるものであることが証明されている。
降圧効果,持続時間1),そしてもっとも重要な心血管イベント発症抑制2)の面からも,サイアザイド類似薬の方がサイアザイド系利尿薬よりも優れていることが明瞭に示され,かつ英国のNICEガイドラインでも降圧利尿薬を使用する場合には,サイアザイド系よりもサイアザイド類似薬を用いることを推奨する声明を発表している。しかし,そのエビデンスはそれほど豊富ではなかった。
本論文は,エビデンスとしてより質の高いメタ解析によって,サイアザイド類似薬であるINDAP,CTDの降圧効果がサイアザイド系利尿薬HCTZよりも強いことを明瞭に示した点で重要な論文である。このようなメタ解析での最大の問題は,用量によるトライアル間の異質性(heterogeneity)の違いをどのように補正するかであるが,本論文では用量を3段階に区分することで比較を行っている。すなわちHCTZは12.5,25,50mg, INDAPは1.25,2.5,5mg,CTDNは6.25,12.5,25mgの三段階を等力価として仮定して解析しており,たとえば,HCTZ 25mgとINDAP 2.5mgがequivalent doseとしている。
その結果,HCTZがINDAPより高力価であるにも関わらずその降圧効果はINDAPの降圧効果よりも劣る成績が多いとの結果を示している。さらに3剤の比較では血清カリウム値,血清ナトリウム値,尿酸値,血糖など代謝への影響は同等であった。
わが国では,HCTZは単剤先発品では製造販売が中止されており,ARB-利尿薬配合薬に使用されている利尿薬はすべてHCTZである。わが国で最も用いられているサイアザイド系利尿薬はtrichlormethiazide(商品名フルイトラン)である。実はtrichlormethiazideとINDAP(商品名ナトリックス)のhead-to-head比較は,わが国の村上らによる二重盲検法による成績が過去に発表されている3)。英文化されていないために本論文では引用されていないが,ナトリックス2mgとフルイトラン4mgの比較では,ナトリックスの方が収縮期血圧,拡張期血圧とも有意に降圧効果が強いことが明瞭に示されている。しかし現在両薬剤の利尿降圧薬として用いられている用量はいずれも半分のフルイトラン2mg,ナトリックス1mgである点には注意が必要である。
著者は,ナトリックスの初期用量は0.5mgとして処方しているが,十分な降圧効果が得られるので多用している。しかし,減塩を厳格に遵守している高齢者ではときに低ナトリウム血症や低カリウム血症をきたすことがあるので,電解質のチェックは必要である。(桑島

参考文献
1) Emst ME, et al: Comparative antihypertensive effects of hydrochlorthiazide and chlorthalidone on ambulatory and office BP. Hypertension 2006: 47: 352-8. PubMed
2) Dorsch MP, et al: Chlorthalidone reduces cardiovascular events compared with hydrochlorothiazide: a retrospective cohort analysis. Hypertension 2011: 57: 689-94. PubMed
3) 村上元孝,ほか. 本態性高血圧症に対するindapamideの臨床効果-多施設協同によるtrichlormethiazideとの二重盲検比較試験の成績-. 医学のあゆみ1982; 122: 1010-30.

目的 サイアザイド系利尿薬は薬剤により特徴が異なるが,多くの臨床試験はhydrochlorothiazide (HCTZ)と類似薬chlorthalidone(CTDN)を使用しており,HCTZと類似薬indapamide(INDAP)の比較データは少ない。
HCTZとINDAPの相対的有効性を定量的に評価するため,利尿薬を直接比較したランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を行った。
対象 14試験・883例。収縮期血圧(SBP),代謝パラメータ,心血管イベントを評価項目として,一般的処方量の利尿薬HCTZ,INDAP,CTDNのうち2剤または3剤を比較したRCT。
除外基準:SBPと代謝パラメータを評価した試験のうち,立位血圧のみを評価したもの,追跡期間<2週間または>6か月のもの。
■試験背景:症例数11-524例,追跡期間4-26週,二重盲検7試験,CTDN vs INDAP・心血管イベントを評価した試験はなし。
方法 PubMed,EMBASE,Cochrane Central Register of Controlled Trialsを検索。
利尿薬の用量で各試験を下記の4つに分類:HCTZ高用量(HCTZ>INDAP・CTDN),INDAP高用量(INDAP>HCTZ),CTDN高用量(CTDN>HCTZ),同量(2群の用量が同等)。
結果 [SBP]
・HCTZ群 vs INDAP群(10試験)
HCTZ群にくらべ,INDAP群は平均SBPが有意に低かった(-5.1mmHg;95%信頼区間-8.7--1.6,P=0.004)。試験間の異質性は低く,出版バイアスは認められなかった。
ただし,HCTZ高用量の試験が多かったことから(5試験),INDAP群よりもHCTZ群が良好となるバイアスが認められた。
感度分析では,いずれか1試験の影響も,追跡期間(>4週/≦4週),バイアス(高/低),背景治療の有無による影響も認められなかった。
・HCTZ群 vs CTDN群(3試験)
CTDN群はHCTZ群より平均SBP値が低かった(-3.6mmHg;-7.3-0.0;P=0.052)。出版バイアスは認められなかった。

[代謝パラメータ]
・HCTZ群 vs INDAP群(9試験)
血清K値(群間差-0.1mEq/L;-0.3-0.2,P=0.661),Na値,クレアチニン値,血糖値,コレステロール値,尿酸値に有意な両群間差は認められなかった。

(収載年月2015.04)
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