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BMI別の降圧の心血管リスクに対する効果(BPLTTC)
meta-analysis

特定の降圧薬の選択が,肥満患者と痩せた患者とで異なる転帰をもたらすという証拠は得られなかった。
Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration. Effects of blood pressure lowering on cardiovascular risk according to baseline body-mass index: a meta-analysis of randomised trials. Lancet. 2015; 385: 867-74. PubMed

コメント

これまで議論の多かった肥満合併症例に対する降圧薬治療と心血管合併症予防効果について,4種類の降圧薬(ACE阻害薬,Ca拮抗薬,降圧利尿薬,β遮断薬)のうちどの薬剤が最も優れているかを世界的にも信頼度が高いBPLTTCグループが,22トライアル・13万5,715人のデータから検討した結果である。
肥満と合併症との関連は,BMI<25,25-<30,≧30 kg/m²の3群間の比較とともに,連続変数との関連でも検討した。その結果,ACE阻害薬では25-30と≧30 kg//m²の群でプラセボと比較した有意な抑制効果が認められたが,連続変数としてみた場合にはその有意性は消失していた。
ACE阻害薬のCa拮抗薬に対する優位性はBMI≧30 kg/m²の高度肥満に限定していたが,BMI 5kg/m²上昇ごとの連続変数としてみた場合にはACE阻害薬の優位性が観察された。
このように肥満度ごとの比較と,連続変数として比較した場合に乖離がみられることから,結果は偶然性の可能性もあるとして,著者らは肥満に対する降圧薬の有効性には大きな差はみられなかったと結論している。むしろどのBMIレベルでも降圧に依存して心血管イベントリスクが減少することから,降圧薬の種類にかかわらず降圧そのものが重要ということになる。(桑島

目的 肥満が血圧と心血管リスクの関連にどのような影響を及ぼすかについては,議論が続いている。大規模試験のpost hoc解析では心血管リスクに対するBMIと降圧の交互作用が否定され,BMI 25-30kg/m²でACE阻害薬enalaprilによる抑制効果がプラセボより大きいことが示唆された報告もある。ACCOMPLISH試験では,ACE阻害薬と利尿薬hydrochlorothiazideの併用は正常体重の高血圧患者ではCa拮抗薬amlodipineの併用より心血管イベント抑制効果が小さかったが,肥満患者では同等であった。これらの結果から,降圧薬選択時に体格を考慮することが強く推奨されてきたが,治療ガイドラインに具体的な勧告はなく,さらなるエビデンスが求められていた。
降圧薬の心血管リスクに対する効果を,ベースライン時のBMI別に比較した。
一次エンドポイントは,主要心血管イベント(脳卒中,冠動脈疾患[CAD],心不全,心血管死の複合)。
対象 22試験・13万5,715例(主要心血管イベント14,353件)。主要血管イベントまたは死亡に対する降圧薬の効果とBMIの交互作用が報告されたランダム化比較試験で,個別データがBPLTTCに報告されていないもの。あるいは,BPLTTCデータベースに含まれる試験(患者を降圧薬群 vs プラセボ群,異なる強度の治療群,異なるクラスの降圧薬群に割付け,各群1,000人・年以上追跡し,1995年7月31日以降に主な結果が発表されたもの)のうち,BMIを含む個別患者データが2013年1月31日までに報告されたもの 。
方法 Ovid Medline,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trialsを検索(1966年1月1日〜2014年5月1日)。参考文献もハンドサーチ。
BMIをカテゴリー変数(正常:10-<25kg/m²,過体重:25-<30kg/m²,肥満:30-100kg/m²)または連続変数(5kg/m²ごと)として,各降圧治療による心血管リスク低下に対するBMIの影響を検証。さらにランダム効果メタ回帰分析により,血圧の低下とイベント相対リスクの関連をBMI 3分類で比較。
降圧治療の比較は下記の主要6比較で実施。
・ACE阻害薬群 vs プラセボ群(正常:10,250例,過体重:16,975例,肥満: 9,387例)
・Ca拮抗薬群 vs プラセボ群(1,803例,2,896例,1,377例)
・強化治療群 vs 非強化治療群(4,404例,9,801例,6,636例)
・ACE阻害薬群 vs 利尿薬群,β遮断薬群(11,386例,19,205例,15,263例)
・Ca拮抗薬群 vs 利尿薬群,β遮断薬群(10,365例,17,347例,14,191例)
・ACE阻害薬群 vs Ca拮抗薬群(6,379例,9,842例,9,174例)
結果 [一次エンドポイント]
・カテゴリー変数としての解析
6種類の降圧治療の比較のいずれにおいても,BMIによる差は認められなかった(各P for trend>0.2)。
・連続変数としての解析
BMI 5kg/m²上昇ごとに,ACE阻害薬群 vs Ca拮抗薬群(ハザード比0.93;95%信頼区間0.89-0.98,P=0.004),vs 利尿薬群(0.93;0.89-0.98,P=0.002)の主要心血管イベント低下効果はわずかに増加した。

[二次エンドポイント:脳卒中,CAD,心不全,心血管死,全死亡]
5イベントそれぞれについて6組の比較を行った結果,ACE阻害薬群のプラセボ群と比較したCAD抑制効果は低BMI例で大きく(P=0.02),Ca拮抗薬群のプラセボ群と比較した全死亡抑制効果は高BMI例で大きかったが(P=0.04),その他には差を認めなかった。

[メタ回帰分析]
収縮期血圧の低下と主要心血管リスク低下の関連にBMIによる差は認められなかった(一次エンドポイント:P=0.49,二次エンドポイント:P>0.15)。

(収載年月2015.01)
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