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RASの二重阻害による有効性と安全性
meta-analysis

レニン-アンジオテンシン系の二重阻害は単剤療法にくらべ心不全による入院を抑制するものの,死亡は抑制せず,高カリウム血症や低血圧,腎不全などの有害事象のリスクが上昇する。
Makani H, et al. Efficacy and safety of dual blockade of the renin-angiotensin system: meta-analysis of randomised trials. BMJ. 2013; 346: f360. PubMed

コメント

今回のメタ解析は,RASの二重阻害治療に関する最も網羅的な解析であるが,二重阻害は死亡率の改善をもたらさなかった。一方,二重阻害のメリットは心不全による入院を減少させることであるが,懸念されていたように,高カリウム血症,低血圧,腎不全のリスクを上昇させることが明らかになった。以前のメタ解析で,二重阻害(ACE阻害薬とARBの併用)により蛋白尿が減少することが示唆され腎保護作用が期待されたが,ONTARGET試験で,蛋白尿は減少しても腎不全の悪化が生じることが示され,また腎保護作用を示したCOOPERATE試験がLancetから掲載を取り下げられたこともあり,腎保護作用は否定的である。アリスキレン(レニン阻害薬)とACE阻害薬/ARBの併用は,心不全や糖尿病性腎症に有効とする試験もあるが,ALTITUDEやVA NEPHRON-D試験のように,脳卒中・低血圧・高カリウム血症などの有害事象のため途中で試験が中止されたものもあり評価は一定していない。総合すると二重阻害の有効性は限定的と考えるのがよさそうである。(

目的 レニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬(ACE阻害薬,ARB,または直接的レニン阻害薬)の併用によるRAS二重阻害は,確かなエビデンスがないにもかかわらずガイドラインで示されており,主に糖尿病や蛋白尿を合併した高血圧患者に使用されている。しかし二重阻害の長期有効性と安全性は十分には確立されていない。
RASの二重阻害による長期の有効性を検証するため,RAS阻害薬の2剤併用療法と単剤療法を比較したランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施し,二重阻害による有害事象も評価した。
エンドポイントは長期有効性(全死亡,心血管死,心不全による入院)と安全性イベント(高カリウム血症,低血圧,腎不全,薬剤に関連する有害事象による治療中止)。
対象 33試験*・68,405例。RASの二重阻害と単剤療法を比較し,長期有効性(≧1年)と安全性イベント(≧4週)を報告している≧50症例でのRCT。
* ACE阻害薬+ARB vs 単剤:CALM,CHARM,IMPROVE,ONTARGET,RESOLVD, Val-HeFT,VALIANTなど,ACE阻害薬+aliskiren vs 単剤:ALOFT,ASPIREなど,ARB+aliskiren vs 単剤:AVANTE GARDE,AVOID,VANTAGEなど,ACE阻害薬/ARB+aliskiren vs 単剤:ALTITUDE。
■患者背景:平均年齢61歳,男性71%。平均試験期間は52週。
方法 PubMed,Embase,Cochrane central register of controlled trials(1990年1月~2012年8月)から査読誌に発表された試験を検索。言語制限は設けず。レビュー論文と検索された論文の参考文献も確認。
結果 [長期有効性(平均追跡期間2.7年)]
二重阻害により心不全による入院リスクは低下したが,死亡は抑制されなかった。
・全死亡(7試験)
二重阻害群3,314/21,638例(15.3%) vs 単剤療法群5,286/35,186例(15.0%):相対リスク0.97,95%信頼区間0.89-1.06(I ²=69%,P=0.50)。
心不全患者では全死亡に対する有効性は認められなかったが,非心不全患者では二重阻害により死亡リスクが有意に増加した。
心不全 vs 非心不全に有意差がみられた(P=0.02)。
・心血管死(6試験)
2,812/19,127例(14.7%) vs 5,128/32,687例(15.7%):0.96,0.88-1.05(I ²=59%,P=0.38)。心不全,非心不全患者ともに二重阻害による抑制は認められなかった。
・心不全による入院(5試験)
1,825/16,728例(10.9%) vs 2,604/25,343例(10.3%):0.82,0.74-0.92(I ²=68%,P=0.0003)。
二重阻害により心不全患者で有意に低下,非心不全患者では低下傾向を示した。

[安全性]
いずれも二重阻害により有意に増加した。
・高カリウム血症(23試験)
2,188/22,717例(9.6%) vs 1,887/37,921例(4.9%):1.55,1.32-1.82(I ²=50%,P<0.001)。
心不全,非心不全患者ともに有意に増加した。
・低血圧(18試験)
2,042/23,572例(8.7%)vs 2,227/37,680例(5.9%):1.66,1.38-1.98(I ²=66%,P<0.001)。
心不全,非心不全患者ともに有意に増加した。
・腎不全(20試験)
2,026/24,536例(8.3%)vs 2,551/39,784例(6.4%):1.41,1.09-1.84(I ²=83%,P=0.01)。
心不全患者で有意に増加したが,非心不全患者では増加はみられなかった(2.19,1.82-2.65,P<0.001 vs 1.04,0.80-1.35,P=0.76;群間差P<0.001)。
・薬剤に関連する有害事象による治療中止(26試験)
4,265/24,994例(17.1%) vs 5,825/40,247例(14.5%):1.27,1.21-1.32(I ²=2%,P<0.001)。
心不全,非心不全患者ともに有意に増加した。

[出版バイアス]
認められなかった。

(収載年月2013.05)
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