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aliskirenとRAS阻害薬併用投与の高カリウム血症,急性腎障害に対する影響
meta-analysis

aliskirenとACE阻害薬またはARBの併用療法はそれぞれの単剤療法に比べて高カリウム血症のリスクが有意に増大。
Harel Z, et al. The effect of combination treatment with aliskiren and blockers of the renin-angiotensin system on hyperkalaemia and acute kidney injury: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2012; 344: e42. PubMed

コメント

ACE阻害薬,ARBなどのRA系抑制薬に直接的レニン阻害薬を追加した場合の安全性を評価するために行ったメタ解析であるが,10のトライアル・4814例とメタ解析の規模としては小さく,また心血管イベントをエンドポイントとしたものではないためエビデンスの価値としては高くない。それでもACE阻害薬またはARB単独に比べて腎障害の悪化(クレアチニン>176.8μmol/L)はみられなかったものの,血清K値(5.5mmol/L以上)の上昇例が有意に多かったという当然予想される結果を示した。
しかし腎障害を合併した2型糖尿病においてRA系抑制薬とアリスキレンの併用を検討していたALTITUDE試験において,非致死的脳卒中,腎障害,高カリウム血症の発症が併用群のほうがプラセボ群に比べて多いことが判明したために中止になったと昨年12月に発表されたニュースのほうがはるかに重大である。ONTARGET試験などの結果と合わせ考えて,RA系抑制薬同士あるいはアリスキレンとの併用は避けるべきことは明白であり,このことを一般臨床医に広く啓蒙する必要がある。(桑島

目的 直接レニン阻害薬のaliskirenの処方量は年々増加している。しかし,レニン-アンジオテンシン系(RAS)を複数のポイントで阻害すると毒性が増加する可能性も指摘されている。ONTARGET試験では,ACE阻害薬とARBを併用した患者において急性透析および高カリウム血症のリスクが有意に増加し,これをきっかけに両者の併用に対して警告が発せられるようになった。同じRAS阻害薬であるaliskirenにも,特に両薬剤と併用した場合に有害事象が起こる可能性がある。
aliskirenとRAS阻害薬併用療法の安全性を検証するため,ランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。
一次エンドポイントは高カリウム血症(血清カリウム>5.5mmol/L)。
対象 10試験*,4,814例。発表/未発表を問わずaliskirenとACE阻害薬またはARBの併用療法をそれぞれの単剤療法と比較した4週間以上のRCTで,有害事象として高カリウム血症および急性腎障害についてのデータが報告されているもの。
除外基準:慢性透析患者を含むもの,抄録のみの発表のもの,バイアスリスクについての判断ができないものなど。
*ALLAY, ALOFT, ASPIRE, AVANTE GARDE-TIMI 43, AVOID, VANTAGEなど。
◆試験背景:aliskiren+ARB vs ARBは7試験,aliskiren+ARB vs aliskirenは5試験,aliskiren+ACE阻害薬/ARB vs ACE阻害薬/ARBは2試験,aliskiren+ACE阻害薬 vs ACE阻害薬/aliskirenは1試験。その他の降圧薬併用はβ遮断薬が4試験,アルドステロン拮抗薬が2試験。重症腎機能障害患者が含まれる試験はなかった。
試験期間は8-36週,脱落率は<20%。
方法 Ovid Medline, Embase, Cochrane central register of controlled trialsを検索(2011年5月7日まで)。言語制限は設けず。選択された試験の参考文献も検索。また,Clinical trials registry,Novartis社臨床試験結果データベース,過去5年間のAmerican Society of NephrologyおよびEuropean Renal Associationの学会抄録も検索した。
リスク比はランダム効果モデルを使用した。
結果 [一次エンドポイント]
高カリウム血症のリスクはaliskiren+ACE阻害薬/ARB併用でACE阻害薬/ARB単剤投与に比べて有意に上昇(相対リスク[RR]1.58, 95%信頼区[CI]1.24-2.02;リスク差0.02, 95%CI 0.01-0.04;number needed to harm[NNH]43, 95%CI 28-90;I ²=0%)。またaliskiren単剤と比較しても有意に高かった(RR 1.67, 1.01-2.79;リスク差0.02, 0.03-0.01;NNH 50, 33-125;I ²=19%)。

[二次エンドポイント:急性腎障害,中等症-重症の高カリウム血症]
急性腎障害(血清クレアチニン>2.0mg/dL)を報告したのは8試験。急性腎障害のリスクは,併用療法と単剤療法とで差は認められなかった(vs ACE阻害薬/ARB:RR 1.14, 0.68-1.89;I ²=30%;vs aliskiren:0.80, 0.31-2.04;I ²=0%)。
中等症(血清カリウム5.5-5.9mmol/L)の高カリウム血症は併用療法で有意に上昇した(vs ACE阻害薬/ARB:RR 1.85, 1,18-2.91;リスク差0.02, 0.01-0.03;NNH 50, 33-100;I ²=39%;vs aliskiren:4.04, 2.12-7.71;0.03, 0.02-0.04;33, 25-50)。
重症(≧6.0mmol/L)の高カリウム血症については併用による有意なリスク上昇を認めなかった(vs ACE阻害薬/ARB:RR 1.12, 0.55-2.29;vs aliskiren:0.45, 0.53-1.53)。

[出版バイアス]
funnel plotにより出版バイアスは認められなかった。

(収載年月2012.03)
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