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アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)と心筋梗塞リスク
meta-analysis, trail sequential analysis

ARBによる心筋梗塞リスク増大の仮説は否定された。
対照と比較すると,ARBは脳卒中,心不全,新規糖尿病発症リスクを抑制した。
Bangalore S, et al. Angiotensin receptor blockers and risk of myocardial infarction: meta-analyses and trial sequential analyses of 147 020 patients from randomised trials. BMJ. 2011; 342: d2234. PubMed

コメント

2004年にVerma, Straussらが警鐘を発して以来,ARBの心筋梗塞のリスクが注目されていたが,本メタ解析の結果はその懸念はないという否定的な結果を示した。ただしメタ解析の欠点としては,出版バイアスと選択バイアスがどうしても除外しきれないことがある。とくにARB関連トライアルは企業による支援を受けたものがほとんどであるだけにネガテイブな結果の成績は発表されていない可能性はどうしても残る。
狭心症,心不全,TIAを含む脳卒中など担当医の主観が入りやすいエンドポイントに関してARBが対照薬よりも優れていることを示した試験が,Jikei Heart Study,KYOTO Heart Study,CASE-Jなど,わが国のオープン試験が多いのが目立つ(桑島)。

目的 VALUE(Lancet. 2004; 363: 2022-31)の結果から,ARBにより心筋梗塞(MI)のリスクが増大する可能性があるというBMJ誌に掲載されたエディトリアル(BMJ 2004; 329: 1248-9)以来,ARBの転帰に関する多くの検証がなされてきた。2007年にBlood Pressure Lowering Treatment Trialists’ CollaborationはARBの脳卒中,冠動脈疾患,心不全抑制に対する血圧依存効果は,ACE阻害薬と同等と示したが,血圧に依存しない主要CADリスクへの影響はACE阻害薬にはみられるが,ARBではないと注意を促した。
2008年にコクランコラボレーションはARBの降圧効果はACE阻害薬と同等ながら,その効果は大きくはないとレビューした。
ARBの心血管疾患およびその他の転帰への影響,MIリスクが増大するかを検証した。
対象 14万7,020例。37*のランダム化比較試験(RCT):ARB群73,298例(49.8%),対照群73,722例(50.2%)。対照群は39群でプラセボ対照が17群,実薬対照が22群。
RCTの登録基準は,ARBを対照(プラセボあるいは実薬)と比較したもの;追跡期間が1年以上のもの;100例以上が登録されたもの;MI,死亡,心血管死,狭心症,脳卒中,心不全,新規発症糖尿病の結果が発表されたもの。
除外基準:ARBが第一選択薬ではないもの;ARBがACE阻害薬と併用されているもの。
* CASE-JCHARMELITEGISSI-AFIDNTI-PRESERVEJikei HeartKYOTO HeartLIFEMOSESONTARGETPRoFESSRENAALVALUEなど。
方法 PubMed,Embase,コクランCENTRALに2010年8月までに収載された研究から検索した。検索用語は,“angiotensin receptor blockers”,“angiotensin receptor antagonists”,“ARBs”,ARBsの各薬剤名。
レビュー,メタ解析の引用文献一覧,電子検索で確認したオリジナル研究も調べた。
システマティックレビュー,メタ解析およびtrial sequential analysis*を実施。
*逐次解析:新しいトライアルが発表されるたびに,逐次有意性検定,信頼区間算出を行う。現行のメタ解析が考慮していない,試験から得られる必要な情報量,効果のサイズを組み入れ,誤差の影響を調整するより信頼性の高い解析とされている。
結果 平均追跡期間3.3年,485,166人・年の追跡。
・対照群と比べたARB群のMIリスク増大は認められなかった。
相対リスク(RR)0.99;95%信頼区間0.92-1.07(P=0.85)。
プラセボとの比較,実薬との比較による違いはみられなかった(P=0.15 for interaction)。
異質性は低度-中等度で,出版バイアスはみられなかった。
・ARB群での対照群と比べた死亡,心血管死,狭心症リスクの上昇は認められなかった。
死亡:RR 1.00;0.97-1.02(P=0.75),心血管死:0.99;0.94-1.04(P=0.73),狭心症:0.95;0.85-1.06(P=0.37)。
対照がプラセボ,実薬による違いはみられなかった(P>0.05 for interaction)。
死亡,心血管死の異質性はなし-低度で,出版バイアスはみられなかったが,狭心症は異質性が高く出版バイアスはみられなかった。
・ARB群で脳卒中,心不全,新規発症糖尿病リスクが対照群より低下。
脳卒中:リスクが10%低下(P=0.01),心不全:13%低下(P<0.001),新規発症糖尿病:15%低下(P<0.001)。
対照がプラセボ,実薬による違いはみられなかった(P>0.05 for interaction)。
脳卒中,心不全の異質性はなし-中等度で,出版バイアスはみられなかったが,新規発症糖尿病は異質性が中等度-高度で,出版バイアスはみられなかった。

・trial sequential analysisの結果
ARBによるMIの相対リスク7.5%(上限信頼限界11%)の上昇(絶対リスク上昇0.3%;number needed to harm [NNH];有害必要数333例)は認められなかった。
ARB群の対照群と比べた相対リスクの上昇(死亡4%,心血管死5%,狭心症15%)はないことが示された。
一方,ARB群での脳卒中の相対リスク7.5%の低下は認められなかったが,プラセボ群と比べた1%以上の低下は認められた。
心不全,新規糖尿病発症は対照群と比べて,それぞれ5%以上,4%以上低下した。
・感度解析の結果
サブグループ(試験の質:低バイアスリスク vs 高バイアスリスク,対象:高血圧 vs 非高血圧)による顕著な違いはみられなかった。
脳卒中,狭心症,心不全のリスク低下はバイアスリスクの低い試験に比べ高い試験のほうが大きく,心不全,新規糖尿病発症リスク低下は非高血圧患者での検討より高血圧患者でのほうが大きかった。


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