循環器トライアルデータベース
HOME
トライアル検索
フリーワード検索
*検索について
トライアル名検索
1 4 5
A B C D E F
G H I J K L
M N O P Q R
S T U V W X
Y Z
疾患分類検索
薬効分類検索
薬剤名検索
治療法検索
キーワード検索
掲載トライアル一覧
学会情報
meta-analysis, pooled analysis
日本のトライアル
Trial Review
用語説明
Topic
開設10周年記念座談会
開設5周年記念座談会
AHA2012/ISH2012特別企画
このサイトについて
ライフサイエンス出版のEBM関連書籍
meta-analysis, pooled analysis
← meta-analysis, pooled analysis のトップページへもどる
2型糖尿病,耐糖能障害(空腹時血糖異常;IFG),耐糖能異常(IGT)における目標血圧
meta-analysis

2型糖尿病,IFG,IGTにおける目標収縮期血圧は130-135mmHgが許容範囲である。さらなる降圧(<130mmHg)で脳卒中はより抑制されたが,その他の大血管イベント,細小血管イベントには有効性がみられず,重篤な有害イベントが増加した。
Bangalore S, et al. Blood pressure targets in subjects with type 2 diabetes mellitus/ impaired fasting glucose: Observations from traditional and Bayesian random-effects meta-analyses of randomized trials. Circulation. 2011; 123: 2799-810. PubMed

コメント

糖尿病および耐糖能異常患者の血圧を果たして130mmHg未満にするべきか,130~135mmHgに留めるかで,糖尿病性の大血管症および小血管症の発症進展に差があるか否かを検討したメタ解析である。使用されたのは13スタディ,ACCORD,ADVANCE,ALLHAT-DMやNAVIGATORなどが含まれる。大血管症,特に脳卒中の発症予防効果は強力であり,これらのリスクを抱える患者には厳格血圧コントロールは必須と結論される一方,細小血管症に関しては慎重になるべきだと結論されている。特に腎症では初期から中期までの腎症発症,進展抑制効果は一般的な解析では一応有意な抑制効果が厳格降圧群において認められるが,「試験間や患者間でのばらつきが多く信頼できない=結論として,効果はなく,重篤合併症(その詳細は不明)が増えるのであまりすすめられない。」としている。網膜症,神経障害はさておき,脂質のCVDに対する考え方と同様に腎症に関して血圧はthe lower,the betterという考え方が比較的,浸透していただけに今一度議論が必要と思われる(弘世)。

目的 ほとんどのガイドラインは高血圧患者の降圧目標を<140/90mmHg,糖尿病を合併している場合はより低値に<130/80mmHgとしている。しかし,2010年にACCORD BPは,2型糖尿病患者における厳格な血圧コントロール(収縮期血圧[SBP]<120mmHg)の標準コントロール(<140mmHg)を凌ぐ主要心血管イベント抑制効果は認められなかったと発表した。
2型糖尿病,IFG,IGTにおける目標血圧を評価する。
対象 37,736例(厳格降圧治療19,042例[50.5%];標準降圧治療18,694例[49.5%])。13*のランダム化比較試験(RCT)参加者。
* ABCD(hypertension,normotension),ACCORD(サブスタディーACCORD Eyeを含む),ADVANCE,ALLHAT(new diabetic),DREAM,NAVIGATOR,SANDSなど。
試験デザインで降圧治療戦略として厳格降圧 vs 標準降圧としていたのは5試験のみ。
発表年:1992-2010年,症例数:129-11,140例,平均追跡期間:4.8年(23-78ヵ月),平均年齢:55-67歳。
方法 PubMed,EMBASE,CENTRALで1965-2010年10月に発表された2型糖尿病患者,IFG,IGTにおける降圧治療のRCT*を検索。検索用語は,“diabetes”,“diabetes mellitus”。
* 100例以上を登録;厳格降圧でSBP≦135mmHg,標準降圧で≦140mmHgを達成;1年以上の追跡結果がある;大血管・細小血管イベントを評価した;厳格降圧と標準降圧間の差が>3mmHg**
** 心血管イベント低下を示すために必要な最小血圧差。
結果 [大血管転帰]
・全死亡:厳格降圧治療は標準降圧治療に比べ10%低下(オッズ比[OR]0.90;95%信頼区間0.83-0.98)。
これは,おもに130mmHg<SBP≦135mmHgを達成したトライアル結果によるもので,交互作用のP=0.09。異質性は認められなかった。
・脳卒中リスクも17%低下(0.83;0.73-0.95),交互作用のP=0.005。
有効性はSBP≦130mmHgを達成したトライアルで大きく(交互作用のP=0.005),標準治療に比べるとORが47%低下した。異質性はない-低い(I 2=27.0%)。
・心血管死:OR 0.93;0.82-1.06(交互作用のP=0.22),心筋梗塞:0.92;0.80-1.06(交互作用のP=0.99),心不全:0.90;0.75-1.06(交互作用のP=0.20)は,厳格降圧と標準降圧の差はなかった。異質性は低い-中等度(心血管死:I 2=6.8%,心筋梗塞:0.0%,心不全:47.8%)。厳格降圧治療の有効性の推定値は,おもに130<SBP≦135mmHg達成試験によった。

[重篤な有害イベント]
重篤な有害イベントを報告したトライアルは少なかったが,厳格降圧治療により20%上昇(1.20;1.08-1.32)。より厳格な降圧(≦130mmHg)はリスクが40%増大(1.40;1.19-1.64,交互作用のP=0.01)。有意な異質性がみられた(I 2=78.8%)。

[細小血管転帰]
・新規発症微量アルブミン尿:厳格降圧治療は標準治療に比べリスクが17%低下(OR 0.83;0.77-0.89)。
・顕性腎症:27%低下。
厳格降圧治療によるリスク低下が大きかったのはより厳格な降圧(≦130mmHg)で標準降圧より36%低下した(交互作用のP=0.06)。しかし,異質性が中等度であった(I 2=61.3%)。
末期腎疾患,透析,クレアチニン値倍化については差はみられなかった。
・網膜症:厳格降圧治療,標準降圧治療による差は認められず,異質性は低かった(0.93;0.83-1.05,I 2=21.5%)。
・神経障害:降圧治療による違いはなく,異質性は中等度(1.26;0.98-1.62,I 2=26.9%。

[感度解析,メタ回帰分析]
bayesianの変量効果モデルによる感度解析でも同様の結果であった。より厳格な降圧(≦130mmHg)は脳卒中を有意に抑制したが,その他のイベントは抑制しなかった。
メタ回帰分析によると,<120mmHgでさらに脳卒中が抑制されることが示されたが,<130mmHgで重篤な有害イベントリスクが40%増大し,その他の転帰には有効性は認められなかった。


▲pagetop
    --------------------
© 2001-. Life Science Publishing Co., Ltd
 
携帯版 EBM LIBRARY