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心血管疾患患者および高リスク例におけるACE阻害薬の一貫した有効性-ADVANCE,EUROPAおよびPROGRESSの総括的解析

幅広い血管疾患患者において,ACE阻害薬(perindopril,利尿薬indapamideとの併用)をベースとした治療による一貫した死亡,主要心血管イベント抑制効果が認められた。
Brugts JJ et al: The consistency of the treatment effect of an ACE-inhibitor based treatment regimen in patients with vascular disease or high risk of vascular disease: a combined analysis of individual data of ADVANCE, EUROPA, and PROGRESS trials. Eur Heart J. 2009; 30: 1385-94. PubMed

コメント

広範な血管疾患症例において,ACE阻害薬perindoprilは一貫した心血管合併症予防効果を有することが明らかにされている。
しかし,perindopril+indapamideを用いたこの3つのトライアルからは,本論文のテーマである降圧を超えた心保護効果の有無は明らかではない。むしろ拡張期血圧は降圧依存性に合併症予防効果が増強している。
本論文で注意が必要なことは,ACE阻害薬単独ではなく,indapamideという利尿降圧薬との併用による有効性であること,そしてもう一つは,いずれの試験でも咳などの副作用でACE阻害薬に対して忍容性の不良な症例はあらかじめ対象から除外されていることである。(桑島

目的 ACE阻害薬は心血管イベント発症リスクの特定の患者群で有効であることは臨床試験で確認されている。現在,ガイドラインはACE阻害薬を高血圧,安定冠動脈疾患(CAD),心筋梗塞,心不全の治療薬として推奨している。ACE阻害薬の有効性の少なくともある部分は降圧によるものであるが,降圧効果とは別の重要な有効作用を有している可能性がうかがえる。特にperindoprilはこの点を広範に検討されており,内皮機能および神経液性のバランスを改善し,冠動脈のリモデリングを阻害することが示されている。
Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration(BPLTTC)が2007,2008年にACE阻害薬をベースとした治療の血圧に依存しない有効性によりCADを抑制しているとしてから,血圧のような一つの危険因子の閾値よりもトータルの心血管リスクの評価に基づいて治療を決定することの方が重要になってきた。
現在入手できるエビデンスの多くは,1つの血管領域における血管疾患あるいは糖尿病のような代謝障害の患者で実施されている臨床試験によるものであるため,患者群から個人データを統合した幅広い解析が必要となってきた。そこで,糖尿病,CAD,脳血管疾患患者でperindoprilをベースとした治療を検討した試験の包括的解析を行った。
対象 2万9,463例(ADVANCE試験1万1,140例,EUROPA試験1万2,218例,PROGRESS試験6,105例)。
■試験背景:対象(ADVANCE:糖尿病,EUROPA:CAD,PROGRESS:脳卒中あるいはTIA),用量(perindopril 4mg/indapamide 1.25mg,perindopril 8mg,perindopril 4mg/indapamide 2.5mg[日本のみ2mg]),登録・追跡期間(2001年6月~’03年3月・4.3年,1997年10月~2000年6月・4.2年,1995年5月~’97年11月・3.9年)。
■患者背景:平均年齢(全体 : 63歳 : ADVANCE : 66歳, EUROPA : 60歳, PROGRESS : 64歳), 女性(28.4% : 42.5%, 14.6%, 30.3%), 既往 : MI(32.8% : 12.0%, 64.8%, 7.0%); PCI/CABG(26.6% : 8.5%, 54.9%, 2.7%); 心血管疾患/一過性脳虚血発作(TIA)(27.0% : 12.9%, 3.4%, 99.9%); 末梢動脈疾患(4.8% : 2.4%, 7.3%, 4.1%), 喫煙率(16.2% ; 15.1%, 15.2%, 20.0%), 糖尿病(45.5% : 100.0%, 12.3%, 12.5%), 高血圧(54.1% : 68.7%, 27.1%, 47.8%), 高コレステロール血症(61.2% : 58.9%, 63.3%, -), 血圧(142/82mmHg : 145/81mmHg, 137/82mmHg, 147/86mmHg)。
治療 : 抗血小板薬(70.8% : 46.7%, 92.3%, 72.3%), β遮断薬(38.8% : 24.5%, 61.7%, 17.0%), 脂質低下薬(39.5% : 35.3%, 55.9%, 14.1%), Ca拮抗薬(33.3% : 30.8%, 31.4%, 39.9%), 利尿薬(15.1% : 9.2%, 23.7%, 11.5%)。
方法 ・perindoprilをベースとした治療を検討した大規模臨床試験(ADVANCE,EUROPA,PROGRESS)
・評価項目:全死亡,心血管死,致死的・非致死的脳卒中,血行再建術,非致死的心筋梗塞(MI),心不全による入院,主要な心血管イベント(心血管死,MI,脳卒中の複合)。
・サブグループでの一貫性も評価:性,年齢(60歳未満;60~70歳;>70歳),平均年齢(<63歳;>63歳),高血圧,糖尿病,脳血管疾患/TIA,血行再建術,併用治療:抗血小板薬,脂質低下薬,β遮断薬,利尿薬,Ca拮抗薬,ベースライン時の血圧:収縮期血圧;<120,120~139,140~159,≧160mmHg,拡張期血圧;<80,80~90,90~100,≧100mmHg。
perindoprilの用量(ADVANCE,PROGRESSは2~4mg,EUROPAは4~8mg,ADVANCE,PROGRESSのindapamideとの併用は2.5mg)は調整。
・多変量Cox回帰解析を行った。
結果 [全死亡,主要心血管イベント]
全死亡,主要心血管イベントはperindoprilをベースとした治療群でプラセボ群より有意に抑制された。試験間の異質性はみられなかった。
全死亡:平均追跡期間4年でperindoprilベース群1089例(7.4%) vs プラセボ群1210例(8.2%);ハザード比0.89(95%信頼区間0.82-0.96,P=0.006)。
心血管死:607例(4.1%) vs 704例(4.8%);0.85(0.76-0.95,P=0.004)。
心血管死,MI:1034例(7.0%) vs 1245例(8.5%);0.82(0.76-0.88,P<0.001)。
心血管死,MI,脳卒中:1490例(10.1%) vs 1788例(12.1%);0.82(0.76-0.87,P<0.001)。
致死的/非致死的脳卒中:620例(4.2%) vs 740例(5.0%);0.82(0.74-0.92,P=0.002)。
非致死的MI:491例(3.3%) vs 609例(4.1%);0.80(0.71-0.90,P<0.001)。
心不全による入院:335例(2.3%) vs 395例(2.7%);0.84(0.72-0.96,P=0.015)。
[血圧との関連]
perindopril群は血圧の全層別で主要な心血管イベントを抑制した。
run-in期間(4週間),全例perindoprilを投与し,ベースライン時142/82mmHg→134/78mmHgに降圧。run-in期間は平均8.3/3.8mmHg,追跡期間中は5.4/2.3mmHg降圧した。run-in期間の降圧は各試験の降圧度と同等であった(ADVANCE:8/3mmHg,EUROPA:9/4mmHg,PROGRESS:9/5mmHg)。
perindoprilベース群はrun-in期間のいずれの降圧度でも心血管イベントを抑制したが,拡張期血圧の低下度の大きい症例で有効性が大きかった(相互作用:P=0.05)。
[サブグループ]
perindoprilベース群は年齢(P for interaction 0.07),糖尿病(P for interaction 0.06)を問わず有意な正の有効性がみられた。異質性が認められるサブグループはなかった。

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