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ACE阻害薬,ARBの血圧依存・非依存効果
Blood Pressure Lowering Treatment Trialists' Collaboration:BPLTTC
meta-analysis

ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬(ARB)による脳卒中,冠動脈疾患,心不全リスクに対する血圧依存性抑制効果は同程度であった。ACE阻害薬による主要冠動脈疾患イベントに対する血圧非依存性抑制効果がみられたが,ARBでは認められなかった。
Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration. Blood pressure-dependent and independent effects of agents that inhibit the renin-angiotensin system. J Hypertens. 2007; 25: 951-8.PubMed

コメント

メタ解析はエビデンスの中でも信頼性がもっとも高いとされるが,選択バイアス,対象の均質性などの問題点も指摘されている。BPLTTCは高血圧治療に関しての世界的なメタ解析グループで以下のような特徴を有する。
まずWHOとISH(国際高血圧学会)によって設立された公的要素が強く,製薬メーカーからの影響を受けていないことから,中立な立場での解析を行っていることで知られる。また選択バイアスや後付け解析を避けるために,試験採択基準や評価項目をあらかじめ明らかにし,前向きに計画している。この点は,これまでのほとんどのメタ解析が後ろ向き解析であるのと大きな違いである。またメタ解析の中には,論文で示された数値のみを分析するものもあるが,BPLTTCは臨床試験担当責任者から送付されたすべての個人の生データが使用されている点でも,正確性が高い。そして単に降圧効果のみならずリスク低減のハザード比を降圧効果で補正した臓器保護効果を評価している。
一方,組み込まれた大規模臨床試験の対象症例が,高血圧のみならず,心不全,虚血性心疾患など患者背景の均質性という点で問題が残ることや,対象症例数の多い臨床試験に結果が影響されやすいという欠点も有している。ともあれ,対象症例数の多さと公正性という点では,これらの短所を補って余りあろう。
すでに2000年,2003年に解析結果が発表されており,今回は3期目の発表である。CHARM試験,SCOPE試験,VALUE試験などのARBに関する臨床試験の結果が集積したことを受けて,今回の解析ではRA系抑制薬であるACE阻害薬とARBの降圧を超えた臓器保護効果に関する分析に焦点をおいている。
脳卒中に関しては,どちらの薬剤も降圧に依存した予防効果を示しているが,冠動脈疾患に関しては,ACE阻害薬が降圧を超えた予防効果を示した(−9%,95%信頼区間3-14%)のに対して,ARBでは降圧を超えた予防効果を示さなかった。両薬剤間の降圧を超えた冠動脈予防効果の違いには有意差が認められた(p=0.002)という結果である。
StraussらのBMJ誌の reviewに端を発した,ARBの心筋梗塞に対する有害が無害かの論争はその後Circulation誌 でのデイベートに発展したが,今回のBPLTTCの解析は「ARBは心筋梗塞は増やすことはないかも知れないが,予防する効果はなく,この点,降圧を超えた心保護効果を有するACE阻害薬との大きな違いである」という一つの決着といえよう。
興味深いことに,CHARM-Preserved試験やAdded試験,Val-HeFT試験などのようにACE阻害薬と併用して心保護効果を検討した試験では,ARBは心筋梗塞を増やさないという結果であっても,CHARM-Alternative試験のようにACE阻害薬が含まれていない,純粋なARBのみの臨床試験ではARBは心筋梗塞を増やすという成績がでていることは注目に値する。
来春のACCで,高血圧に対するACE阻害薬とARBの直接対決であるONTARGET試験が発表される予定であるので,その結果も待つ必要があるが,現時点では虚血性心疾患を有する症例では,ARBよりもACE阻害薬をまず用いるべきであろう。ARBは「咳のないACE阻害薬」とは考えるべきではない(桑島)。

目的 高血圧,糖尿病,CHD既往,脳血管疾患を有する患者における異なる降圧治療による主要心血管イベント抑制効果を検討する。
一次エンドポイントは脳卒中,CHD,心不全。
対象
  • Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration(BPLTTC)が選別した,2004年までに発表されたACE阻害薬またはARBを他の治療(プラセボ,従来療法 [利尿薬/β遮断薬],またはCa拮抗薬)と比較した26のランダム化比較試験。
    ACE阻害薬17試験*:101626例,平均年齢65歳,男性61%。
    ARB 9試験**:45212例,平均年齢67歳,男性58%。
    * CAMELOT, DIAB-HYCAR, EUROPA, HOPE, PART2, PEACE, PROGRESS, SCAT, AASK, ALLHAT, ANBP2, CAPPP, STOP-Hypertension 2, UKPDS, ABCD(高血圧), ABCD(正常血圧), JMIC-B
    ** CHARM-Added, CHARM-Alternative, CHARM-Preserved, IDNT, RENAAL, SCOPE, Val-HEFT, LIFE, VALUE
  • ACE阻害薬vs ARBの3試験***:18447例,急性心筋梗塞かつ/または心不全,平均年齢67歳,男性70%。
    *** ELITE II,OPTIMAAL,VALIANT
結果 血圧(血圧低下5mmHg)依存性効果
  • ACE阻害薬:脳卒中,CHD,心不全に対するリスク減少はそれぞれ19%(95%信頼区間2〜33),16%(7〜25),27%(13〜39)であった。
  • ARB:リスク減少はそれぞれ26%(−12〜51),17%(−29〜47),12%(−41〜45)であったが,試験数がより少なかったことより,ARBにおける信頼区間の幅がACE阻害薬に比べて広くなった。

血圧非依存性効果
  • ACE阻害薬:CHDに対する効果が認められたが(リスク減少9% [3〜14],p=0.004),脳卒中,心不全においては認められなかった。
  • ARB:CHD,脳卒中,心不全のいずれにおいても効果は認められなかった。
  • ACE阻害薬vs ARB:CHDに対する効果がACE阻害薬でARBに比して有意にみられた(p=0.002)。

ACE阻害薬とARBを直接比較した3試験においては,ACE阻害薬に比してARBで収縮期血圧が0.7mmHg低下した。脳卒中,CHD,心不全に対する効果はいずれにおいても両群で同程度であった。

感度分析では,今回の結果がACE阻害薬とARBの脳卒中,CHDの血圧依存性・非依存性効果が対照群によって影響されるという証拠は得られなかった。心不全については,Ca拮抗薬を対照とした臨床試験において血圧非依存性(血圧低下 0)効果を評価すると,ACE阻害薬によるリスク減少は10%(0〜19,p=0.06),ARBによるリスク減少は18%(9〜27,p=0.001)であった。Ca拮抗薬の心不全予防効果は明らかではないため,ACE阻害薬/ARBの血圧非依存性心不全抑制効果というよりも,Ca拮抗薬の心不全に対する血圧非依存性の有害な影響が示唆された。

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