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NOACによる心房細動患者の脳卒中予防 Stroke Prevention in Atrial Fibrillation
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リバーロキサバン (14報)
アピキサバン (17報)
ダビガトラン (14報)
エドキサバン (13報)
3剤の比較(4報)
4剤の比較(2報)

リバーロキサバン

J-ROCKET AF編集委員コメントあり
脳卒中リスクのある非弁膜症性心房細動患者における脳卒中,全身性塞栓症予防について,日本人にあわせた用量でのrivaroxaban投与は,用量調節warfarin投与に対し,安全性に関して非劣性が認められた。有効性については強い抑制傾向が示された。

J-ROCKET AF(高齢者の解析)
高齢の日本人非弁膜症性心房細動患者に対し,出血事象の発現はwarfarinに比べrivaroxabanで高値であったが,脳卒中または全身性塞栓症の発症は抑制傾向にあり,投与にあたっては,リスクとベネフィットを考慮することが重要である。

J-ROCKET AF(腎機能サブ解析)編集委員コメントあり
腎機能障害を有する心房細動患者では,脳卒中や全身性塞栓症のリスクのみならず,出血リスクも高いことから,これらの患者に対する抗血栓療法においては,そのリスク/ベネフィットバランスが重要となる。心房細動患者において,rivaroxabanの用量調節warfarinに対する安全性および有効性は,中等度腎機能障害患者および腎機能正常患者で一貫しており,中等度腎機能障害患者に対するrivaroxabanの減量投与の妥当性が認められた。

ROCKET AF編集委員コメントあり
非弁膜症性心房細動患者の脳卒中,非中枢神経系塞栓症予防において,rivaroxabanはwarfarinに対し非劣性を示した。重大な出血の発生率は同等であったが,頭蓋内出血および致死的出血はrivaroxaban群で抑制された。

ROCKET AF(一時中断に関する解析)
心房細動患者において,経口抗凝固療法の一時中断はよくみられた。リスク期間(一時中断期間および治験薬再開の30日後まで)における脳卒中/全身性塞栓症は0.4%,重大な出血は0.9%に発症したが,いずれもrivaroxaban群,warfarin群間に有意差を認めなかった。

ROCKET AF(高齢者)編集委員コメントあり
75歳以上の高齢者は若齢者にくらべ脳卒中および大出血のリスクが高かったが,rivaroxabanのwarfarinに比した有効性および安全性は年齢にかかわらず一貫しており,rivaroxabanが高齢者にも代替薬であることが示された。

ROCKET AF(除細動/アブレーション)
ROCKET AFの試験期間中に,除細動またはカテーテルアブレーション施行を行った症例において,rivaroxaban投与下における除細動やアブレーションの施行は,術後の長期予後を悪化させることなく,rivaroxaban群,warfarin群の両群で差異は認められなかった。

ROCKET AF(腎機能)編集委員コメントあり
中等度の腎機能障害を有する非弁膜症性心房細動患者では,腎機能正常患者に比し脳卒中および出血発症率は高い。ROCKET AF試験では,中等度腎機能障害患者に対してrivaroxabanの減量投与(15mg/日)が行われたが,腎機能正常患者に対するrivaroxaban 20mg/日投与による治療効果と差異は認められなかった。中等度腎機能障害患者と腎機能正常患者におけるrivaroxabanのwarfarinに対する効果は一貫していた。

ROCKET AF(頭蓋内出血)編集委員コメントあり
抗凝固療法をうけている心房細動患者において,頭蓋内出血の独立予測因子はアジア人,黒人,高齢者,脳卒中/TIA既往,DBP上昇,血小板数または血清アルブミン減少例であった。心不全患者およびrivaroxaban群への割付が,頭蓋内出血低下の有意な予測因子であった。

ROCKET AF(大出血)
重大な出血事象または重大ではないが臨床的に問題となる出血事象について,rivaroxabanとwarfarinのリスクは同程度であった。年齢,性別,拡張期血圧(DBP),消化管出血既往,aspirin前投与,貧血は重大な出血リスクと関連していた。

ROCKET AF(脳卒中/TIA既往)編集委員コメントあり
非弁膜症性心房細動患者における脳卒中予防について,rivaroxabanのwarfarinに比しての有効性,安全性は,脳卒中またはTIA既往の有無にかかわらず一貫していた。本結果より,脳卒中一次予防と同様に二次予防としても,warfarinの代替薬としてrivaroxabanを用いることが支持された。

ROCKET AF(東アジア人の解析)編集委員コメントあり
東アジア人,非東アジア人のいずれにおいても,rivaroxabanのwarfarinに対する有効性,安全性は一貫していた。東アジア人非弁膜症性心房細動患者における脳卒中予防として,rivaroxaban 20mg/日はwarfarinの代替薬である。

ROCKET AF(発作性 vs. 持続性)編集委員コメントあり
抗凝固療法をうけている,脳卒中リスクが中等度~高い非弁膜症性心房細動患者において,持続性心房細動患者は発作性心房細動患者にくらべ,血栓塞栓イベントリスクが高く,生存率が不良であった。

ROCKET AF post hoc解析
一時的または恒久的に抗凝固薬を中止した心房細動患者において,rivaroxaban群における脳卒中/全身性塞栓症の有意なリスク上昇は認められなかったが,試験終了後,オープンラベルでのビタミンK拮抗薬などによる標準的治療への移行期において,rivaroxaban群ではwarfarin群にくらべ脳卒中/全身性塞栓症リスクの上昇がみられた。移行期において抗凝固作用が不十分になったことが要因と考えられ,新規抗凝固薬からビタミンK拮抗薬へ切り替え時における適切な抗凝固療法の重要性が強調された。


アピキサバン

ARISTOTLE心房細動患者の脳卒中/非中枢神経系塞栓症予防について,apixabanはwarfarinに対し優越性を示した。大出血,死亡は抑制した。

ARISTOTLE-J 編集委員コメントあり日本人の心房細動患者において,apixaban 2.5mg,5mg各1日2回,12週間投与は忍容性が認められた。

ARISTOTLE (癌) 編集委員コメントあり癌は脳卒中リスク上昇と関連していなかった。apixabanのwarfarinに対する有効性および安全性は,癌の有無にかかわらず一貫していた。癌合併心房細動患者に対するapixabanの肯定的な結果は期待できるものであるが,さらなる評価が必要である。

ARISTOTLE (抗血小板薬併用) 編集委員コメントありapixabanは,aspirin併用の有無にかかわらず,脳卒中または全身性塞栓症,大出血について,warfarinに対し抑制効果を示した。

ARISTOTLE (腎機能) 編集委員コメントあり心房細動患者において,腎機能障害と心血管および出血イベント上昇の間に関連がみられた。apixabanはwarfarinに比し,腎機能の程度にかかわらず脳卒中,死亡,大出血を減少させた。

ARISTOTLE (心房細動の病型と罹病期間) 心房細動の病型および罹病期間にかかわらず,apixabanはwarfarinにくらべ,脳卒中,死亡,大出血のリスクを抑制した。脳卒中/全身性塞栓症リスクは発作性心房細動のほうが持続性/永続性心房細動より低かったが, apixabanは心房細動の病型および罹病期間にかかわらず,warfarinの代替薬となりうる。

ARISTOTLE (大出血) apixabanはwarfarinにくらべ頭蓋内出血を抑制し,頭蓋外出血の悪影響も少なく,大出血から30日以内の死亡を半減させた。

ARISTOTLE (大出血の転帰と管理)編集委員コメントあり 大出血,特に頭蓋内出血は死亡,脳梗塞,心筋梗塞リスク上昇と関連しており,apixaban,warfarinの両方で同様にみられた。これらの結果は,抗凝固療法中の患者における出血予防の重要性を強調するものである。

ARISTOTLE (電気的除細動) 電気的除細動施行後の主要心血管イベントはまれで,apixaban群,warfarin群で同程度であった。

ARISTOTLE (転倒) 抗凝固療法をうけている転倒歴のある心房細動患者は,頭蓋内出血を含む大出血,ならびに死亡のリスクが高かった。apixabanのwarfarinに対する有効性および安全性は,転倒歴の有無にかかわらず一貫していた。

ARISTOTLE (年齢) apixabanのwarfarinにくらべてのベネフィットは,年齢にかかわらず一貫していた。 高齢患者はリスクが高いことから,apixabanの絶対ベネフィットは高齢者でより大きかった。

ARISTOTLE (脳卒中/TIA既往)編集委員コメントあり 心房細動患者の脳卒中/全身性塞栓症予防について,apixabanのwarfarinに比しての効果は,脳卒中またはTIA既往の有無にかかわらず一貫していた。

ARISTOTLE(リスクスコア) apixabanのwarfarinに比較してのベネフィットは,CHADS2スコア,CHA2DS2-VAScスコア,HAS-BLED出血リスクスコアの点数にかかわらず一定であった。これらのスコアは,apixabanを適切に投与する際の指標としては有用ではない可能性が示唆された。

ARISTOTLE(TTR別解析)編集委員コメントあり 脳卒中/全身性塞栓症,出血,死亡について,apixabanのwarfarinに比してのベネフィットは,cTTR,iTTRにかかわらず同様であった。

AVERROES編集委員コメントありビタミンK拮抗薬(VKA)不適応の心房細動患者において,apixabanはaspirinに比し,大出血または頭蓋内出血を増加させずに脳卒中または全身性塞栓症を抑制した。

AVERROES (出血)ビタミンK拮抗薬不適応の心房細動患者において,apixaban群,aspirin群の出血部位,出血の予測因子は同様であった。出血リスク,脳卒中リスクともCHADS2スコア上昇にしたがい上昇したが,apixabanのaspirinに対する有効性は一貫していた。

AVERROES (脳卒中/TIA既往)編集委員コメントありVKA不適応の心房細動患者における脳卒中予防について,apixabanは脳卒中/TIAの有無にかかわらず同様に有効であった。


ダビガトラン

RE-LY編集委員コメントあり
心房細動(AF)患者において,dabigatran 110mgの脳卒中および全身性塞栓症予防効果はwarfarinに対し非劣性を示し,大出血は少なかった。同150mgはwarfarinに比し,脳卒中および全身性塞栓症を有意に抑制した。大出血発生率は同等であった。。

RE-LY (アジア人)編集委員コメントあり
warfarin群における出血性脳卒中は,血圧,年齢がほぼ同様でPT-INR値が低いにもかかわらず,アジア人のほうが非アジア人にくらべ多かった。dabigatran群の出血性脳卒中はアジア人,非アジア人とも抑制された。dabigatranのベネフィットはアジア人,非アジア人で一貫していた。

RE-LY (抗血小板薬併用)編集委員コメントあり
RE-LY試験対象患者において,抗血小板薬併用は大出血リスクを上昇させたが,dabigatranのwarfarinに対する優越性には影響を及ぼさなかった。110mgと150mgの選択は,ベネフィットとリスクを勘案し,慎重に評価して行う必要がある。

RE-LY (周術期出血)
侵襲的手技/手術を受ける心房細動患者におけるdabigatranの周術期の出血リスクは,緊急手術であってもwarfarinと同程度であった。dabigatranにより,抗凝固薬休薬期間の短縮が容易となった。

RE-LY (腎機能)
経口抗凝固薬を服用している心房細動患者は腎機能の低下を示したが,warfarin群のほうがdabigatran群より低下度が大きく,その低下度は糖尿病およびビタミンK拮抗薬服用経験患者で大きかった。

RE-LY (出血リスク)編集委員コメントあり
脳卒中リスクを有する心房細動患者において,dabigatran 110mg,150mgの両用量はwarfarinに比し,75歳未満では頭蓋内・外出血リスクを抑制した。75歳以上では,頭蓋内出血は両用量とも抑制したものの,頭蓋外出血は用量により異なり,110mgでは同等,150mgでは上昇した。

RE-LY (除細動)編集委員コメントあり
除細動施行の心房細動患者において,dabigatran群の脳卒中および大出血リスクは経食道心エコー(TEE)施行にかかわらず低く,warfarin群と同程度であった。dabigatranは除細動を必要とする患者において妥当な代替薬である。

RE-LY (頭蓋内出血)編集委員コメントあり
脳卒中リスクの高い日本人の心房細動患者において,dabigatranの有効性および安全性はRE-LY試験全体の結果と基本的に同様であった。

RE-LY (日本人) 編集委員コメントあり
RE-LY対象患者において,頭蓋内出血の臨床像はdabigatran群とwarfarin群で同様であった。

RE-LY (年齢)
心房細動患者における脳卒中予防および頭蓋内出血について,dabigatranはwarfarinにくらべ,全年齢層でベネフィットが認められた。頭蓋外大出血についてのdabigatranの影響は年齢依存性であったことから,80歳以上の患者では110mg 1日2回の選択が推奨される。

RE-LY (脳卒中/TIA既往)
脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)既往患者において,dabigatran 110mg,150mgの脳卒中または全身性塞栓症予防効果はwarfarinと同等であった。dabigatran両用量の有用性は,脳卒中,TIA既往の有無にかかわらずほぼ一貫していた。

RE-LY (ビタミンK拮抗薬使用経験) RE-LY試験において,試験前のビタミンK拮抗薬(VKA)投与の有無はdabigatranのベネフィットに影響を及ぼさなかった。。

RE-LY (INRコントロール)編集委員コメントあり
心房細動患者において,warfarinと比較したdabigatran 150mgの脳卒中発生率の抑制,同110mgの出血発生率の抑制,両用量の頭蓋内出血発生率の抑制は,いずれも施設ごとのPT-INRコントロールの質とは関連せず,一貫していた。PT-INR コントロール不良の施設では,dabigatranの全血管イベント,非出血性イベント,死亡の抑制効果はコントロール良好の施設に比し大きかった。

RELY-ABLE (RE-LY延長試験)
RE-LY終了後2.3年間のダビガトラン継続治療において,150mg 1日2回群は110mg 1日2回群にくらべ大出血発生率が高く,脳卒中および死亡は同程度であった。

エドキサバン

ENGAGE AF-TIMI 48編集委員コメントあり
非弁膜症性心房細動患者における脳卒中または全身性塞栓症予防について,edoxaban 60mg/日,30mg/日投与はいずれもwarfarinに対し非劣性を示し,大出血および心血管死を抑制した。

ENGAGE AF-TIMI 48(オープンラベル抗凝固療法への移行)
ENGAGE AF-TIMI 48の移行プランは,患者を過度の血栓塞栓および出血リスクから保護した。これは,実地臨床においても,患者が経口抗凝固薬を切り替える際に役に立つと考えられる。

ENGAGE AF-TIMI 48(周術期の有害イベント)
ENGAGE AF-TIMI 48の手術/侵襲的手技を要する患者において,周術期の脳卒中/全身性塞栓症,大出血,死亡はedoxaban群,warfarin群で同程度であった。

ENGAGE AF-TIMI 48(死亡率)編集委員コメントあり
warfarin群にくらべ,edoxaban群で全死亡および心血管死が抑制されたが,これはedoxaban群で大出血が抑制されたためであった。edoxabanは直接的にも(致死性出血が少ない),間接的にも(出血関連の合併症および非致死性出血後の治療中止が少ない),死亡リスクを抑制した。

ENGAGE AF-TIMI 48(腎機能別)編集委員コメントあり
クレアチニンクリアランス(CrCl)値が高い患者では,動脈血栓塞栓症予防の相対的有効性に明らかな低下がみられたものの,高用量edoxabanのwarfarinに対する安全性および正味の臨床ベネフィットは,さまざまな腎機能の患者において一貫していた。

ENGAGE AF-TIMI 48(地域差)編集委員コメントあり
中国,韓国,台湾では,高用量edoxabanの相対的有効性および安全性が日本におけるそれより大きかった。これは,ベースライン時の患者特性およびTTRの差で部分的に説明できる。

ENGAGE AF-TIMI 48(脳血管イベント)編集委員コメントあり
心房細動患者における全脳卒中予防について,edoxaban 1日1回投与の有効性はwarfarinと同程度で,さまざまなタイプの頭蓋内出血を有意に抑制した。edoxaban高用量の虚血性脳血管イベントはwarfarinと同程度であったが,低用量ではwarfarinにくらべ有効性が弱かった。

ENGAGE AF-TIMI 48(脳卒中/TIA既往)編集委員コメントあり
脳梗塞/TI既往の心房細動患者は非既往患者にくらべ,血栓塞栓症再発および出血リスクが高かった。脳梗塞/TIA既往の有無にかかわらず,高用量edoxabanの有効性はwarfarinと同等であり,安全性はより優れていた。

ENGAGE AF-TIMI 48(東アジア)編集委員コメントあり
東アジアのNVAF患者において,edoxaban 1日1回投与はwarfarinと同様の有効性を示し,大出血は減少した。

ENGAGE AF-TIMI 48(ビタミンK拮抗薬服用経験)
edoxabanはVKA服用経験のある患者より未経験患者において,warfarinと比較しての有効性が大きいようであった。edoxabanはwarfarinにくらべ, VKA服用経験の有無にかかわらず大出血を抑制した。

ENGAGE AF-TIMI 48(弁膜症)編集委員コメントあり
弁膜症の存在は死亡,主要有害心血管事象(MACE),大出血リスクを上昇させたが,edoxabanのwarfarinに対する相対的有効性および安全性には影響を及ぼさなかった。

ENGAGE AF-TIMI 48(用量と転帰)編集委員コメントあり
本知見は,臨床的特徴のみにもとづいたedoxabanの用量設定が血中濃度の過度の上昇の予防や虚血/出血リスクを低下させるというストラテジーの妥当性を確認し,edoxabanの治療域が血栓塞栓症より大出血で狭いことを示唆した。

Koretsune Y et al編集委員コメントあり
重度腎不全を合併する日本人の非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,edoxaban 15mg 1日1回12週投与は,腎機能正常または軽度低下例における30mgまたは60mg 1日1回投与と比較し,同様の安全性および血漿濃度,バイオマーカープロファイルを示した。

3剤の比較

新規経口抗凝固薬による頭蓋内出血リスクの抑制編集委員コメントあり
心房細動患者の脳卒中予防について,個々の新規経口抗凝固薬(dabigatran,rivaroxaban,apixaban)は頭蓋内出血リスクを一様に減少させた。現在使用できる新規経口抗凝固薬は,すべて頭蓋内出血リスクが高い患者の第一選択薬となることが示唆された。

心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性編集委員コメントあり
心房細動患者における脳卒中予防について,新規抗凝固薬はwarfarinに比較し,全死亡および心血管死を抑制した。

脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者における新規抗凝固薬編集委員コメントあり
脳卒中またはTIA既往を有する心房細動患者における脳卒中/全身性塞栓症再発予防について,新規抗凝固薬はwarfarinに対し,有効かつ安全であると考えられた。

dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較編集委員コメントあり
非弁膜症性心房細動患者における脳卒中予防について,間接比較という制約にもかかわらず,dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間に大きな差異は見出せなかった。

4剤の比較

高齢者におけるDOACの有効性および有害性
高齢者における血栓リスクについて,直接経口抗凝固薬(DOAC)はビタミンK拮抗薬(VKA)にくらべ,少なくとも同等の有効性を示したが,出血のパターンは異なった。特に,dabigatranはVKAにくらべ消化管出血リスク上昇と関連していた。apixaban,edoxaban,rivaroxabanについてはデータが十分でなく,更なる検討が必要である。

新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
本解析は,心房細動患者における脳卒中/全身性塞栓症予防について,新規経口抗凝固薬4剤の試験を対象に含めた最初のメタ解析である。新規経口抗凝固薬はwarfarinにくらべ,脳卒中,頭蓋内出血,死亡を抑制し,大出血は同程度であったが,消化管出血は増加した。新規経口抗凝固薬の相対的有効性および安全性は,幅広いサブグループにおいて一貫していた。