循環器トライアルデータベース
学会情報

11月6日 LBCT 6 Management of LV Dysfunction: Devices and Drug

MADIT-RIT   Japan
Multicenter Automatic Defibrillator Implantation Trial - Reduce Inappropriate Therapy
至適薬物治療で安定している洞調律の一次予防としてICD/CRT-Dが植込まれた患者において,ハイレートカットオフ,ロングディレイともに標準プログラミングにくらべ初回不適切作動を約75%予防,死亡も抑制。
- ICD/CRT-Dによる治療の8-40%は不適切作動(治療すべき心室頻拍以外の不整脈に対してペーシング,ショック治療が行われること)とされているが,この不適切作動を安全に減らすプログラミングはこれまで明らかでなかった。 →文献情報 コメント 井上 博
presenter: Arthur J. Moss, MD ( University of Rochester Medical Center, US )
BLOCK HF 
Biventricular versus Right Ventricular Pacing in Patients with Left Ventricular Dysfunction and Atrioventricular Block
房室ブロック・EF<50%の心室ペーシングを要する患者において,両室ペーシングは右室ペーシングにくらべ死亡,心不全による緊急治療,左室収縮末期容積係数の増加を有意に抑制。
♥ 米国の心疾患事情 ♥
・房室ブロック患者は100万例以上 → 現在の標準治療はペースメーカー(右室ペーシング)
・心不全診断例は現在およそ600万例,毎年およそ67万例が新規に心不全を発症 → 年間およそ200-560億ドルのコスト(AHAの統計による)。
- CRT-P(ペーシング機能付き)またはCRT-D(除細動機能付き)植込み後30-60日間で至適薬物療法を確立。その後,両室ペーシング群(349例と右室ペーシング群(342例)に割り付け,約3年間追跡。
presenter: Anne B. Curtis ( University at Buffalo, US )
Pilot Trial of Two Levels of Hypothermia in Comatose Survivors from Out-of-Hospital Cardiac Arrest 
The Effect of Timing of Stem Cell Delivery Following Acute Myocardial Infarction: The NHLBI and CCTRN TIME Trial
初期リズムがshockable(心室細動,無脈性心室頻拍)の院外心停止から60分以内に蘇生(自己心拍再開)した患者において,目標温度を32℃にした低体温療法は34℃にくらべ,6ヵ月後の高度な介護を必要としない生存率が高かった(44.4% vs 11.1%,P=0.12)。
-36例(shockable例26例,心静止[asystole]例10例)を32℃群(18例・平均年齢64.7歳),34℃群(18例・63.1歳)にランダム化。心静止例は6ヵ月以前に全例死亡。
presenter: Esteban Lopez-de-Sa, MD ( Hospital Universitario La Paz, Spain )
RELAX-AHF 
Efficacy and Safety of Relaxin for the Treatment of Acute Heart Failure
急性心不全患者において,serelaxin*の48時間静注は呼吸困難症状を改善。
180日後の全死亡,心血管死を抑制するも,60日後の再入院は抑制せず(第3相試験)。
-受診から16時間以内で,furosemide≧40mgの静注を受けた,SBP>125mmHg,腎機能障害(eGFR 30-75mL/分/1.73m²)の急性心不全入院患者を,serelaxin 30μg/kg/日群(581例・平均年齢71.6歳),プラセボ群(580例・72.5歳)にランダム化。
* 遺伝子組み換え型ヒトリラキシン-2。リラキシン(relaxin)は,妊娠期に分泌される心血管系の調整を促すペプチドホルモン。血管拡張作用を有し,心臓の圧負荷を軽減,さらに腎臓への血流を増やす。肺動脈楔入圧,NTproBNPを低下,腎血流増加,軽度の心拍出量増加作用を有するため,心不全治療効果が期待される。
Pre-RELAX-AHF(第2b相試験)
relaxinは血圧正常~高値の急性心不全患者において呼吸困難を緩和し,その他の転帰も改善し,安全面も許容できることが示された(Lancet. 2009; 373: 1429-39)。
presenter: John R Teerlink, MD ( VA Medical Center-Cardiology,US )
CARRESS-HF 
Cardiorenal Rescue Study in Acute Decompensated Heart Failure
ループ利尿薬投与下で腎機能の悪化と持続的なうっ血を認める急性非代償性心不全において,ループ利尿薬の静注にくらべ体液量を減少させる限外ろ過により96時間後の腎機能が悪化し,うっ血も持続。体重減少も薬物治療と差はない。
-腎機能悪化(クレアチニン≧0.3mg/dLの上昇),持続的なうっ血を伴う急性非代償性心不全入院患者を,限外ろ過群(94例・平均年齢69歳)と薬物治療群(94例・66歳)にランダム化。
presenter: Bradley A Bart, MD ( Hennepin County Medical Center, US )

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