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ESC2011 Hot Line II

EMPHASIS-HF 
Eplerenone in Mild Patients Hospitalization and Survival Study in Heart Failure
高リスク例においても,選択的アルドステロン拮抗薬エプレレノン(eplerenone)の追加治療の有効性と安全性が示された。
背景・目的 EMPHASIS-HF試験は,軽症の慢性収縮不全患者において,標準治療への選択的アルドステロン拮抗薬eplerenoneの追加投与は,プラセボにくらべて死亡および心不全による入院のリスクを有意に抑制することを示し,早期(追跡期間中央値21か月)に中止された(N Engl J Med. 2011; 364: 11-21.)。
今回の発表は,早期試験終了からさらに10ヵ月後(総追跡期間25ヵ月[平均])の解析結果と,高リスク例*においてeplerenoneの有効性と安全性を検証したサブ解析の結果。
* 次の因子を保有:75歳以上,EF<30%,eGFR<60mL/分/1.73m2,糖尿病,収縮期血圧(SBP)<123mmHg(中央値)。
[一次エンドポイント] 心血管死,心不全による入院。
結果 [延長試験]
eplerenoneの有意な一次エンドポイント抑制効果は持続していた。
試験終了時(2010年5月):ハザード比0.63;95%信頼区間0.54-0.74;P<0.0001。
延長後(2011年3月):0.66,0.57-0.77;P<0.0001。

[高リスク例のサブ解析]
eplerenoneはプラセボに比べて一次エンドポイントリスクを有意に抑制した。
75歳以上(eplerenone群330例,プラセボ群327例):23.6% vs 32.7%;0.66,0.49-0.88;P=0.0044。
EF<30%(934例,978例):19.3% vs 27.3%;0.65,0.54-0.78;P<0.0001。
eGFR<60mL/分/1.73m2(439例,473例):24.4% vs 34.5%;0.62,0.49-0.79;P=0.0001。
糖尿病(459例,400例):21.6% vs 35.3%;0.54,0.42-0.70;P<0.0001。
SBP<中央値;123mmHg(669例,683例):20.6% vs 29.4%;0.63,0.51-0.79;P<0.0001。

[その他] eplerenone群で血清カリウム値>5.5mmol/Lがプラセボ群にくらべて有意に増加したが,重篤な高カリウム血症(>6mmol/L),高カリウム血症による治療中止・入院,腎機能低下による入院の有意な増加は認められなかった。

presenter: B Pitt MD ( University of Michigan School of Medicine, US )

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