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ESC2011 Hot Line II

ECOST
Effectiveness and Cost Of ICD Follow-up Schedule with Telecardiology
ICD植込み患者での主要有害イベントにおいて,毎日の遠隔ホームモニタリングの従来の外来観察に対する非劣性が認められる(非劣性試験)。
背景・目的 2010年の100万人当たりの心臓突然死予防のためのICD植込みは,欧州で約250件,アメリカで約675件であった。植込み後の遠隔モニタリングにより,患者の安全性と利便性が向上する可能性があるが,それを臨床試験で証明する必要があるとの指摘もある。TRUST試験は遠隔モニタリングが死亡,脳卒中,ICD関連の有害事象のリスクを増大せず有用であることを示したが,遠隔モニタリングの全般的な心血管への安全性はまだ明らかではない。
ECOSTはICD植込み患者における遠隔ホームモニタリングの安全性と有効性を従来の外来通院による観察と比較する非劣性試験。
[主要評価項目]安全性
安全性:主要有害イベント(MAE;全死亡,主要心血管有害イベント,主要デバイス関連有害イベント)。
デザイン ランダム化,オープン,多施設(フランスの43施設)。
期間 平均追跡期間は24ヵ月,試験期間は27ヵ月。
対象 433例。18歳以上の単腔あるいは二腔ICD(両室ペーシング機能なし)植込み適応例。
除外基準:NYHA IV度;薬物治療が安定していないものなど。

■患者背景:平均年齢(遠隔ホームモニタリング群62.0歳,対照群61.2歳),男性(87.3%,89.2%),EF(34.7%,35.1%),NYHA I度(27%,25%);II度(63%,61%),上室性頻拍既往(17%,14%),虚血性心疾患(65%,67%),ICD:一次予防(53.8%,53.3%);二腔(27.1%,33.5%);初回植込み(84.2%,86.3%)。

治療法 遠隔ホームモニタリング群(221例):Biotronik Home Monitoring®システムを使用して,ワイヤレスで毎日モニタリングを行い,イベントが観察された場合は外来でチェックしたが,それ以外の通院は12ヵ月に1回,対照群(212例):6ヵ月ごとに従来の外来通院でのチェック。
全例,植込みから3ヵ月以内に外来通院でチェックした。
結果 [主要評価項目:安全性]
遠隔ホームモニタリング群の外来観察に対する非劣性が認められた。
1回以上のMAE発生例は遠隔ホームモニタリング群85例(38.5%) vs 対照群88例(41.5%)。
累積MAE回避生存率のハザード比0.91;95%信頼区間0.68-1.23(非劣性P<0.05)。
−複合エンドポイント構成エンドポイント別結果
・植込み関連MAE(血腫,感染,1ヵ月以内のリード損傷など):14例 (6.3%)・15件vs 11例 (5.2%)・11件。
・心血管MAE:59例 (26.7%)・95件vs 63例 (29.7%)・107件。うち,最も多かったのは心不全:25例・40件 vs 32例・61件,次いでストーム:11例・15件 vs 12例・17件。
・デバイス関連MAE:12例 (5.4%)・13件vs 14例 (6.6%)・17件。うち,inappropriate shock(不適切なICD作動):4例・5件 vs 11例・12件。
・死亡:20例 (9.0%) vs 20例 (9.4%),うち最も多かったのが心不全死:7例 vs 8例,次いで不整脈死:3例 vs 1例,非心臓死:7例 vs 8例。

[副次評価項目]
・不適切なICD作動が遠隔ホームモニタリング群で52%低下し,同群でそれによる入院が72%抑制された。
1回以上の不適切なICD作動例:11例 (5.0%) vs 22例 (10.4%),P=0.03。
不適切なICD作動数:28回 (2.5回/1例) vs 283回 (12.9回/1例),P=0.05。
不適切なICD作動による入院:3例 vs 11例,P=0.02。
・充電(charged shocks)が遠隔ホームモニタリング群で76%抑制され,同群でバッテリーの寿命が60%有意に延長した。
69例 (2.3件/1例)・499件vs 72例 (9.8件/1例)・2,081件,P<0.05。
・適切および不適切な作動(delivered shocks)が遠隔ホームモニタリング群で71%低下。
47例 (0.9件/1例)・193件vs 56例 (3.1件/1例)・657件,P<0.01。

presenter:Kacet S, MD (CHRU de Lille - Hôpital Cardiologique, France)

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