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ESC2011 Hot Line III

Bern-Rotterdam Cohort Study
Newer generation everolimus-eluting stents eliminate the risk of very late stent thrombosis compared with early generation sirolimus-eluting and paclitaxel-eluting stents
臨床現場において,新世代everolimus溶出ステントは旧世代薬剤溶出性ステントに比べ4年間のステント血栓症リスクが低く,特にその有効性は超遠隔期に顕著である。
背景・目的 旧世代の薬剤溶出性ステント(DES),ベアメタルステント(BMS)においては,早期ステント血栓症と遠隔期ステント血栓症の発生率に差はないが,超遠隔期のステント血栓症はDESのほうが多くみられ,その年間発生率は最大0.6%である。
薄いストラットのコバルトクロム合金製の新世代ステントeverolimus溶出ステントが旧世代のDESに比べ超遠隔期のステント血栓症リスクが低いかを検証するのに十分な検出力を有する研究はまだ実施されていない。
除外基準を設けない対象において,everolimus溶出ステント(EES)の安全性を旧世代ステント(sirolimus溶出ステント[SES],paclitaxel溶出ステント[PES])と比較する。
[一次エンドポイント]4 年後のステント血栓症(ARC基準で評価)。
デザイン 登録研究。
期間 平均追跡期間はEES群2.5年,SES群4.0年,PES群3.0年。
施行時期は2006年11月-2009年3月,2002年3月-2006年1月,2002年3月-2006年1月。
対象 12,339例。安定狭心症,無症候性虚血,ST上昇型心筋梗塞(STEMI),急性冠症候群(ACS:不安定狭心症,非STEMI,STEMI)でEES,SES,PESを植え込んだ連続症例;狭窄率>50%;病変数,血管数,病変長に登録基準は設けない。
除外基準・タイプの異なるステントの植え込み。

■患者背景:平均年齢(EES群64歳,SES群63歳,PES群63 歳;P<0.0001[EES vs SES,PES],BMI(全群27kg/m2),高血圧(57%,52%,41%;P<0.0001[EES vs SES,PES]),喫煙率(37%,46%,30%;P<0.0001[EES vs SES, PES]),脂質異常症(54%,55%,46%;P<0.0001 [EES vs PES],糖尿病(19%,18%,14%;P<0.0001[EES vs PES]),EF<50%(34%,27%,25%;P<0.0001[EES vs SES,PES]),ACS(63%,53%,59%;P<0.0001 [EES vs SES],P=0.004[EES vs PES])。

■手技背景:多枝治療(16%,17%,19%;P=0.003 [EES vs PES]),治療血管数(3群とも1.2),治療病変(1.8,1.5,1.4;P<0.0001[EES vs SES,PES]),患者当たりのステント数(1.9,1.9,2.0;P=0.01[EES vs SES],P<0.0001[EES vs PES]),ステント径(3.0mm,2.9mm,3.0mm;P<0.0001[EES vs SES],P=0.03[EES vs PES]),総ステント長(33mm,34mm,39mm;P<0.0001[EES vs PES]),GP IIb/IIIa受容体拮抗薬投与率(21%,19%,18%;P=0.03[EES vs SES],P<0.0001[EES vs PES])。

治療法 EES群(4,212例),SES群(3,819例),PES群(4,308例)。
手技前あるいは周術期治療:aspirin≧100mg,clopidogrel 300-600mgローディング投与,未分画heparin 5000IUボーラス静注あるいは70IU/kg投与,担当医の判断でGP IIb/IIIa薬を投与した。
手技後:aspirin 100mg/日を無期限投与,clopidogrel 75mg/日を3-12ヵ月投与。
結果 ・追跡率はEES群97.4%,SES群97.5%,PES群95.9%。

・退院時のaspirin投与:98.7%,98.9%,98.3%,clopidogrel:99.2%,99.8%,99.4%(P<0.001[EES vs SES]),2 剤併用:97.2%,97.9% ,98.6%。
EES群平均追跡期間2.4年のaspirin:93.2%,SES群3. 6年:87.1%,PES群4.0年:86.9%,clopidogrel:28.5%,21.7%,18.6%,2 剤併用:24.1%,16.4%,13.7%。

・一次エンドポイントである4年後のARC 定義によるステント血栓症は下記の通り。
EES群1.4% vs SES群2.9% vs PES群4 .4%。
EES群 vs SES群:ハザード比0.41;95%信頼区間0.27-0.62(P<0.0001)。
EES群 vs PES群:0.33;0 .23-0.48(P<0.0001)。

・ 4年後のdefinite,probab1e血栓症
EES群6.5% vs SES群7.6% vs PES群10.4%。
EES群 vs SES群:0.41;0.27-0.62 (P<0.0001)。
EES群 vs PES群:0.33;0.23-0.48 (P<0.0001)。

・超遠隔期(植え込みから1-4 年後)のステント血栓症
EES群0.6% vs SES群1.6% vs PES群2.4%。
EES群 vs SES群:0.33;0.15-0.72 (P=0.006) 。
EES群vs PES群:0.24;0.13-0.47 (P<0.0001)。

・超遠隔期(植え込みから1-4年後)definite,probable血栓症
EES群1.8% vs SES群2.7% vs PES群3.9%。
EES群 vs SES群:0.55;0.33-0.55(P<0.0001)。
EES群vs PES群:0.35;0.22-0.55 (P<0.0001)。

・4年後の安全性
心筋梗塞(MI):EES群3.5% vs SES群5% vs PES群7% (P=0.002 [EES vs SES],P<0.0001[EES vs PES])。
dediniteステント血栓症と関連する。
EES群 vs SES群:0.46;0.26-0.81(P interaction =0.01)。
EES群 vs PES群:0.36;0.23-0.57(P interaction<0.003) 。
心臓死,MI:11% vs 11.7% vs 14.6% (P=0.09[EES vs SES],P<0.0001[EES vs PES])。
dediniteステント血栓症とは関連しない。
EES群 vs SES群:1.00;0.84- 1.20。
EES群 vs PES群:0.76;0.46-0.89。

・サブグループ解析: EES vs SES,EES vs PESのいずれも,どのサブグループでもEES 群のほうがステント血栓症発生率が低かった。

presenter:Luscher TF, MD(Bern University Hospital, Switzerland)

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