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スタチン不忍容 alirocumab群 vs
ezetimibe群 vs
atorvastatin群
24週後のLDL-C↓:alirocumab群>ezetimibe群*
忍容性:alirocumab群>atorvastatin群
ODYSSEY ALTERNATIVE 
2剤以上のスタチンに不忍容の患者(LDL-C:約190mg/dL)において,抗PCSK9完全ヒトモノクローナル抗体アリロクマブ(alirocumab)75/150mg 1回/2週皮下投与群は24週後のLDL-Cがezetimibe群より有意に低く(96 vs 154 mg/dL),骨格筋肉関連有害事象はatorvastatin群より有意に少なかった。
目 的 スタチンの投与開始あるいは増量により一時的に重大な症状や生化学マーカーの異常が発生するために,脂質低下や心血管リスク低減のための長期スタチン治療が不可能なスタチン不忍容例は,臨床現場に10-25%いると報告されている。米国クリーブランドクリニックの調査報告によるとで最もよくみられるのは筋肉痛であるが,スタチン不忍容例の63.2%はその後忍容が可能であった。スタチン不忍容例における大規模ランダム化比較試験は少ない。
筋肉関連の症状のため2剤以上のスタチンに不忍容の患者において,抗PCSK9完全ヒトモノクローナル抗体アリロクマブ(alirocumab)の有効性を検討する。
(ODYSSEYは14の第III相試験[>23,500例,>2,000施設]から成るプログラム)
デザイン ランダム化,二重盲検,多施設(8ヵ国67施設),intention-to-treat解析。
一次エンドポイント 24週後のLCL-Cの変化。
対 象  314例。スタチン不忍容の既往がある,LDL-C≧70mg/dLで超高リスクあるいは≧100mg/dLで中等度-高リスクのもの。
■患者背景:平均年齢(alirocumab群64.1歳,ezetimibe群62.8歳,atorvastatin群63.4歳),男性(55.6%,53.6%,55.6%),BMI(29.6,28.4,29.7kg/m²),ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(11.1%,20.0%,12.7%),高血圧(67.5%,61.6%,55.6%),2型糖尿病(28.6%,19.2%,23.8%),冠動脈疾患家族歴(50.8%,43.2%,44.4%),現喫煙(8.7%,4.0%,7.9%),スタチン/ezetimibe以外の脂質低下薬治療(37.3%,44.0%,54.0%)。
・脂質背景:LDL-C(191.1,193.5,187.3mg/dL),non HDL-C(230.0,229.8,223.8mg/dL),Apo B(141.7,138.2,139.1mg/dL),Lp(a)(18,14,12mg/dL*),トリグリセライド(164,140,158mg/dL*),HDL-C(48.9,50.7,51.1mg/dL),Apo A1(149.4,150.0,154.2mg/dL)。* 中央値
期 間 追跡期間は24週。
治 療  4週間のプラセボrun-in期間中に筋肉関連の有害事象が発生したものは除外し,2週間のスタチン,ezetimibe,紅色酵母米washout後に下記3群にランダム化。
alirocumab群(126例):75/150mgを1回/2週間(Q2W)自己皮下投与+プラセボ1回/日(QD)経口投与。8週目のLDL-Cおよびリスクに基づき75mgから150mgに増量。
ezetimibe群(125例):10mgをQD 経口投与+プラセボQ2W皮下投与。
atorvastatin群(63例):20mgをQD経口投与+プラセボQ2W皮下投与。
24週間の治療後,281例(89.5%;atorvastatin群の94%を含む)がalirocumabオープンラベル治療期間(OLTP)に移行。75mg Q2Wより開始し,12週後に150mg Q2Wへの増量可とした。
結 果 投与中止例は,alirocumab群30例(23.8%;うち有害事象による中止は23例),ezetimibe群42例(33.6%;31例),atorvastatin群21例(33.3%;16例)。 alirocumab群で12週以降に1回以上自己皮下投与した109例中49.5%が150mgに増量した。

[一次エンドポイント]
24週間後のLDL-C平均低下率はalirocumab群(45.0%・絶対変化84mg/dL低下)はezetimibe群(14.6%・33mg/dL低下)より有意に大きかった;群間差-30.4%(P<0.0001)。12週後にみられたalirocumab群での低下は(97 vs 155mg/dL)24週後も持続した(両期間の両群間差58mg/dL)。

[その他]
・24週後の目標LDL-C(超高リスク例:<70mg/dL,中等度-高リスク例:<100mg/dL)達成率はalirocumab群42%,ezetimibe群4%,<100mg/dL達成例は61%,10%と,いずれもalirocumab群で多かった(P<0.0001)。
・non-HDL-C,Apo B,Lp(a)も同群のほうが有意に低かった。

[安全性]
・有害事象(初回投与から最終投与の70日後まで):alirocumab群82.5%,ezetimibe群80.6%,atorvastatin群85.7%,治療関連の重篤な有害事象:9.5%,8.1%,11.1%。
・骨格筋関連有害事象は,32.5%,41.1%,46.0%:alirocumab群とくらべたハザード比はezetimibe群1.41(95%信頼区間0.94-2.13,P=0.096),atorvastatin群1.63(1.01-2.62,P=0.042),うち治療中止例は15.9%,20.2%,22.2%。最も多かったのは筋肉痛24.6%,23.4%,27.0%。
・心血管イベント(虚血による血行再建術)はそれぞれ2.4%,0.8%,1.6%,注射部位反応は4.8%,4.8%,1.6%,神経認知障害2.4% ,1.6%,0%,クレアチンキナーゼ>正常上限値3倍2.4%,1.6%,4.8%。

[OLTPの中間安全性解析]
有害事象は157件(55.9%),最も多いのは筋肉痛12例(4.3%),治療中止例は8例(2.8%),筋肉痛による中止は2例(0.7%)。

presenter: Patrick M Moriarty ( University of Kansas Medical Center, US )
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