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CAD症状のない高リスク糖尿病 CCTA群 vs 対照群 4年後のCVD:CCTA群≒対照群
FACTOR-64 
無症候の糖尿病患者(1型12%;2型88%:罹病期間CCTA群12.3年,対照群13.5年)において,CT血管造影でのCADスクリーニングに基づく治療強化による4年後のCVD(全死亡,非致死的MI,UAによる入院)の減少は認められず。
目 的 糖尿病患者において冠動脈疾患(CAD)は心血管疾患(CVD),死亡の主な原因であるが,無症候の場合が多いため,ルーチンでのスクリーニングが必要だと考えられる。CT血管造影(CCTA)は非侵襲的にCADの範囲,重症度を評価できる。
高リスクの1型・2型糖尿病患者において,ルーチンのCCTAによるCADスクリーニングに基づく治療によりCVDリスクが低下するかを検討する。
デザイン ランダム化,多施設(45施設),intention-to-treat解析。
一次エンドポイント 全死亡,非致死的心筋梗塞(MI),不安定狭心症(UA)による入院の複合エンドポイント。
対 象  899例。男性:50歳(女性55歳)以上で糖尿病罹病期間3年以上,あるいは40歳(45歳)以上の罹病期間5年以上のもの;糖尿病治療薬を1年以上服用しているもの。
除外基準:アテローム性動脈硬化症(CAD,MI・狭心症・脳血管疾患・一過性脳虚血発作・脳/末梢血管血行再建術既往)の記録のあるものなど。
■患者背景:平均年齢(CCTA群61.5歳,対照群61.6歳),男性(51.8%,52.6%),BMI(32.9,33.0kg/m²),LDL-C(86.3mg/dL,87.7mg/dL),スタチン(76.5%,72.0%)。
糖尿病:HbA1c(7.4%,7.5%),罹病期間(12.3年,13.5年),1型(12.4%,11.6%);2型(87.6%,88.4%),治療(非インスリン治療薬のみ:57.0%,57.1%,インスリンのみ:18.6 %,21.2%,両方:24.4%,21.7%)。
期 間 追跡期間は4年(追跡は’14年8月1日まで)。
登録期間は2007年7月9日-’13年5月16日。
治 療  CCTA群(452例): 64列CTスキャナーで冠動脈造影および冠動脈カルシウム(CAC)スキャンを実施。クレアチニン≧2mg/dL(男性),≧1.8mg/dL(女性),造影剤アレルギー,心拍数>60拍/分の場合はCACスコアを算出。狭窄の重症度により重度-正常に4分類。
重度-中等度例には追加の画像検査を推奨。
対照群(447例):CCTAは行わない。
CCTA群でCADが確認された患者には,目標LDL-C<70mg/dL,HDL-C>50mg/dL,トリグリセライド<150mg/dL,HbA1c<6%,収縮期血圧(SBP)<120mmHgを目標とする強化治療を推奨。CCTA群で正常に分類された患者と対照群には,目標HbA1c<7%,LDL-C<100mg/dL,SBP<130mmHgとするガイドラインに準じた至適糖尿病治療を推奨。
結 果 [CCTAの結果と治療]
総スキャン数395(87.4%):CACのみ14.9%,CTのみ0.5%,CAC+CT 84.6%。CAC中央値は55。狭窄重症度:正常31.3%;軽度46.1%;中等度11.9%;重度10.7%。CCTA後の推奨内科治療:標準治療29.9%,強化治療70.1%。負荷・非侵襲的画像診断(CCTA群133例,対照群89例),診断的血管造影(60例,23例),PCI(27例,8例),CABG(13例,6例)。

[一次エンドポイント]
CCTA群28例(6.2%;1.6%/年 vs 対照群34例(7.6%;1.9%/年):ハザード比0.80(95%信頼区間0.49-1.32,P=0.38)。
複合エンドポイントの各構成イベントは全死亡(16例 vs 19例),非致死的MI(7例 vs 8例),UAによる再入院(両群とも9例)。

[二次エンドポイント]
CVD死・非致死的MI・USによる再入院の複合,CAD死,非致死的MI,UAによる再入院なども両群間に差はみられなかったが,心不全による入院のみがCCTA群で有意に少なかった(3例 vs 10例;P=0.04)。

presenter: Joseph B Muhlestein, MD ( Intermountain Medical Center Heart Institute, US )
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