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 PCI  BES群 vs EES群 2年後の死亡+MI,TLR:BES群≒ EES群
NEXT Japanese
NOBORI Biolimus-Eluting versus XIENCE/ PROMUS Everolimus-eluting Stent Trial
1年後に示された標的病変再血行再建術における生体吸収性ポリマーをコーティングしたバイオリムス(biolimus)溶出ステントの耐久性ポリマーを使用したeverolimus溶出ステントに対する非劣性は,2年後も認められた。また安全性(死亡,心筋梗塞)も非劣性であった。
背景・目的 数種類のステントを比較した複数のネットワークメタ解析で,生分解性ポリマーを使用したバイオリムス(biolimus)溶出ステント(BES)は生体適合性耐久性ポリマーを使用した第二世代コバルトクロム合金製everolimus溶出ステント(EES)にくらべ,心筋梗塞(MI)とステント血栓症のリスクが高く,生分解性ポリマーを使用した薬剤溶出性ステント(以下,生分解性ポリマーDES)はEESよりも1年後の死亡リスクが高い可能性が報告された。しかし,ポリマーが完全に分解される1年後以降の転帰において,生分解性ポリマーDESと耐久性ポリマーEESを直接比較した試験はない(LEADERS 試験において,BESとsirolimus溶出ステントが直接比較されている:JACC Intv. 2013; 6: 777-89.)。
NEXT試験はBESとEESを比較したall-comer試験で,有効性の一次エンドポイントであるPCI施行1年後の標的病変再血行再建術(TLR),さらに8-12ヵ月後のセグメント内遠隔期損失径において,BESはEESに対し非劣性であることが2013年に報告されている。→文献情報
本報は2年後の結果。

[一次エンドポイント]有効性:1年後のTLR,安全性:3年後の死亡,MIの複合エンドポイント。

コメント 日本から発信された,biodegradable polymer biolimus-eluting stent(BP-BES ; NOBORI®)とdurable polymer everolimus-eluting stent(DP-EES;Xience® or Promus®)とのランダム化比較試験,NEXTトライアルの2年後の中間報告である。Kaplan-Meierの実波形は,有効性(TLR),安全性(死亡,死亡+MI,ステント血栓症)のいずれも,さらに1年後からのlandmark analysisまでもが判で押したように一致し,“identical twins”のようである。
BP-BESとDP-SES(Cypher®)とを5年間比較したLEADERS trialでは3年後からMACEやステント血栓症で差がつき始めた。durable polymerでは時間経過とともにポリマーが臨床経過に反映される可能性があり,来年の最終報告が注目される (コメント:中野明彦)。
デザイン ランダム化,オープン,多施設(日本の98施設),intention-to-treat解析。
対 象  3,235例。PCI施行患者。
■患者背景:→文献情報をご覧ください
期 間 追跡期間は3年(今回の報告は2年後の結果)。
治 療  BES群(1,617例・2,059病変)vs EES群(1,618例・2,010病変)。
結 果 [2年後の結果]
2年追跡率は98.4%。
BES群はEES群に対して非劣性であった。
(有効性)TLR:BES群6.23% vs EES群5.95%(非劣性P=0.0001,log-rank P=0.79)。
(安全性)死亡+MI:7.83% vs 7.69%(P=0.003,P=0.9)。
1年後以降のランドマーク解析の結果も両群間に差はなかった。

[その他]
全死亡:4.7% vs 4.5%(log-rank P=0.8)。
definiteステント血栓症:0.31% vs 0.19%(P=0.48)。

Two-year Outcome of a Randomized Trial Comparing Second Generation Drug-eluting Stents Using Either Biodegradable Polymer or Durable Polymer: the NOBORI™ Biolimus-Eluting versus XIENCE™/PROMUS™ Everolimus-eluting Stent Trial (NEXT)
presenter: Masahiro Natsuaki, MD ( Kyoto University, Japan )
UP
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