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NOBORI Biolimus-Eluting versus XIENCE/ PROMUS Everolimus-eluting Stent Trial

目的 PCI施行例において,血管壁側のみに生体吸収性ポリマーをコーティングしたバイオリムス(biolimus)溶出ステント(BES)の有効性と安全性を,生体適合性耐久性ポリマーを使用した第二世代コバルトクロム合金製everolimus溶出ステント(EES)と比較する非劣性試験。

有効性の一次エンドポイントは,1年後の標的病変再血行再建術(TLR)。
安全性の一次エンドポイントは,3年後の死亡,心筋梗塞(MI)の複合エンドポイント。
コメント 日本から発信された本試験は,COMPARE IIと同様,biodegradable polymer biolimus-eluting stent(BP-BES ; NOBORI®)とdurable polymer everolimus-eluting stent(DP-EES;Xience® or Promus®)とのランダム化比較試験である。1年間follow-upした今回の検討では,TLRとlate lossといったソフトエンドポイントが一次エンドポイントに設定されている点で大きく異なる。
両試験は患者背景にも相違点が多い。NEXT trialの対象は主として安定型狭心症であり,高齢・糖尿病・高血圧・PCI歴・脳卒中歴が多く,病変背景としてはより長く,小血管であった。すなわち,COMPARE IIよりも組し難い対象・病変であったと推測される。一方90%近い症例にIVUSが併用されているのは,日本ならではである。
その結果,in-segment late lossがBP-BES群;0.03±0.39mm vs DP-EES群;0.06±0.45mm,TLRは共に4.2%であった。またステント血栓症は両群とも他の試験より圧倒的に少なかった。今後IVUS/ 光干渉断層法(OCT)によるミクロな解析や内膜機能比較もサブ解析として予定されている。
1年時点での今回の報告では,DESとしての「有効性」を一次エンドポイントと設定し,ソフトエンドポイント(TLR,late loss)が比較された。3年後には,「安全性」がハードエンドポイント(死亡,MI)で比較されることになっている。今回の検討でBESとEESとの同等のパフォーマンスが証明され,このことにより,長期成績の解釈が単純化できるかもしれない。ただし,両群間で唯一有意差がついたstent fractureがBES群の足を引っ張る可能性は残る。(中野中村永井
デザイン ランダム化,オープン,多施設(日本の98施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は3年。今回の報告は1年後の結果。
登録期間は2011年5月~10月。
対象患者 3,235例。薬剤溶出性ステント植込みによるPCI施行予定の患者。
■患者背景:平均年齢(BES群69.1歳,EES群69.3歳),男性77%,高血圧(81%, 82%),糖尿病46%,脂質異常症78%,血液透析(6.5%, 5.2%),MI既往28%,PCI歴(50%, 51%),安定CAD(83%, 84%),多枝病変51%,標的病変(左主幹部:3.0%, 2.9%;左前下行枝:49%, 48%;左回旋枝:25%, 27%;右冠動脈:34%, 32%;グラフト:0.8%, 0.9%),SYNTAXスコア10(中央値)。
・病変・手技背景:病変長(19.5mm, 19.3mm),参照血管径(2.62mm, 2.61mm),最小血管径(0.77mm, 0.75mm),狭窄率(71.0%, 71.4%),分岐部(43%, 45%),小血管(60%, 62%),総ステント長(33.0mm, 32.9mm),多枝治療(13%, 11%),最大拡張圧(17.2atm, 16.9atm;p=0.03),IVUS使用(88%, 87%)。
治療法 BES群(1,617例・2,059病変) vs EES群(1,618例・2,010病変)。
aspirin≧81mg/日の無期限投与と,clopidogrel 75mg/日またはticlopidine 200mgの3か月以上の投与を推奨。
CAGサブスタディとして,528例(BES群263例,EES群265例)においてベースライン時とPCI後240~365日にCAGを実施。一次エンドポイントは8~12か月後のセグメント内遠隔期損失径。
結果 [手技成績]
手技後のステント内最小血管径はBES群2.51mm,EES群2.47mm(p=0.006),セグメント内狭窄率は22.2%, 21.1%(p=0.005),病変成功率は両群とも99.6%。
1年後も両群の多くが2剤併用抗血小板療法を継続(チエノピリジン系薬剤中止率:BES群13.3%,EES群12.5%, p=0.54)。
[有効性の一次エンドポイント]
1年追跡率は99.2%。
1年後のTLRに有意な群間差は認められず(BES群67例[4.2%] vs EES群66例[4.2%], p=0.93),BES群のEES群に対する非劣性が示された(p<0.0001)。
[その他]
definiteステント血栓症は両群ともにわずかであった(4例[0.25%] vs 1例[0.06%], p=0.18)。
標的血管再血行再建術(6.8% vs 6.5%),全死亡(2.6% vs 2.5%),MI(3.3% vs 3.1%)にも群間差を認めなかった。
[CAGサブスタディ]
解析例は457例(BES群227例,EES群230例),追跡期間は266日。
8~12か月後のセグメント内遠隔期損失径において,BES群のEES群に対する非劣性が示された(0.03mm vs 0.06mm,非劣性p<0.0001)。
stent fractureはBES群のみに認められ(9病変[3.1%] vs 0病変,p=0.004),このうち4病変(44%)で再狭窄によるTLRが実施された。
★結論★冠動脈疾患患者(大半が安定性)における1年後の標的病変再血行再建術と8~12か月後のセグメント内遠隔期損失径において,生体吸収性ポリマーを使用したBESは耐久性ポリマーを使用したEESに対して非劣性であり,ステント血栓症も両群ともに少なかった。
ClinicalTrials.gov No.:NCT01303640
文献
  • [main]
  • Natsuaki M et al on behalf of the NEXT investigators: Biodegradable polymer biolimus-eluting stent versus durable polymer everolimus-eluting stent: a randomized, controlled, noninferiority trial. J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 181-90. PubMed

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収載年月2013.08