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11月4日 LBCT 1 Practice Implications for CAD and VTE

TRILOGY ACS Platelet Function Substudy
血行再建術を施行せず管理できている非ST上昇型急性冠症候群において,血小板反応性はprasugrel群のほうがclopidogrel群より低いが,30日後の心血管イベントとの独立した関係は認められず。
 
背景・目的
非ST上昇型急性冠症候群に対し血行再建術を施行せず薬物治療で管理している患者において,clopidogrel*とprasugrel**の心血管イベント抑制効果を比較したTRILOGY ACS試験のサブスタディとして,血小板機能検査により評価した血小板反応性(P2Y12 reaction units: PRU)と心血管イベントの関係を評価する。
* 75mg/日 **75歳未満で体重≧60kgの場合は10mg/日,75歳以上;75歳未満で体重<60kgの場合は5mg/日

[一次エンドポイント]心血管死,心筋梗塞,脳卒中。


 
サブ解析結果
clopidogrel群に比較してはprasugrel群においてPRUが低かった。PRUの値は虚血イベントの発症と単変量解析では関連したが,多変量解析では関係は否定された。この結果がTRILOGY全体でprasugrelの優位性を示すことのできなかった理由の一つと考えられる。

 
コメント
VerifyNowによる血小板機能検査は,抗血小板薬によるP2Y12阻害効果を反映する。しかし,虚血イベントの発症はVerifyNowによる血小板機能検査の結果とは関係ない。VerifyNowが表わす「血小板機能」はイベントの発症リスクと関連ないので計測の価値はない。血小板凝集率同様,VerifyNowも血栓イベントの予測には関係ないことが確認された(コメント: 後藤信哉)。

 
デザイン
多施設(25ヵ国),サブ解析。

 
対象
2,564例。TRILOGY ACS本試験参加者のうち血小板機能検査を受けPRUが解析可能だった患者。

 
期間
追跡期間は30ヵ月。

 
方法
VerifyNow P2Y12アッセイによる血小板機能検査を,ベースライン時,2時間後,1,3,6ヵ月後とその後6ヵ月ごとに30ヵ月後まで実施。PRU>208を高血小板反応性(HPR)とした。

 
結果
prasugrel群の30日後のPRU(中央値)は,10mg/日群64,5mg/日群:75歳未満,>60kg例139,75歳以上例164。 PRUはprasugrel群がclopidogrel群にくらべ一貫して低く,HPR例もclopidogrel群が多かった。
30日後の一次エンドポイント発生例(214例)と非発生例(1,794例)とで,30日後のPRUの分布に差はみられなかった(P=0.07)。
30日後を起点とするランドマーク解析(カプランマイヤー解析)では,一次エンドポイントリスクはHPR例が有意に高く(18.8% vs 非HPR例13.8%;P=0.017),ROC曲線解析によるカットオフ値はHPR>178(感度47%,特異度59%)だった。しかし,HPRはprasugrel群もclopidogrel群も合わせて解析した。
PRUと一次エンドポイントの関連性は,PRUを連続変数とした場合(60増加ごと),あるいはカットオフを30日後のPRU>208または>178とした場合のいずれも単変量解析では有意であったが,多変量解析では有意性は消失した。
TRILOGY ACS本結果 非ST上昇型急性冠症候群に対し血行再建術を施行せず薬物治療で管理している75歳未満の患者において,clopidogrelとくらべたprasugrelの有意な心血管イベント抑制効果は認められず,出血リスクは同等とESC 2012で発表。N Engl J Med. 2012; 367: 1297-309

 
presenter: Paul A Gurbel, MD ( Sinai Hospital Center for Thrombosis Res, US )


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