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第37回日本脳卒中学会総会(STROKE 2012) 2012年4月26〜28日,福岡
抗血栓療法中の頭蓋内出血−その対処と抗凝固療法再開時期
5. 総合討論
2012.6.18

抗血栓療法中の患者が頭蓋内出血で救急搬送されてきた場合,どのように対処すべきか。第37回日本脳卒中学会総会(2012年4月26〜28日)では「ザ・ディベート」と題した討論が4月26日に行われた。ここではその中から,内科治療についての内容を紹介する。

1. 基調講演
2. 症例提示
3. 討論1(早期再開支持の立場から)
4. 討論2(早期再開不支持の立場から)

最後に総合討論が行われた。 実際にワルファリン服用中の患者が頭蓋内出血で搬送され,ワルファリンの効果を早急に是正しなくてはいけない場合,どのように対処するかという司会の矢坂正弘氏(国立病院機構九州医療センター)の質問に対し,豊田一則氏(国立循環器病研究センター)は「PT-INRが1.5〜1.6を超えると頭蓋内の出血が続くため,PCC 500単位1ショットに続けてビタミンK 1アンプルを投与」,長尾毅彦氏(東京女子医科大学)は「血腫の大きさ,部位,緊急性(血圧値など),PT-INRを確認し,緊急に処置が必要と判断した場合はビタミンK大量投与とFFP投与を行う」とした。

新規抗凝固薬服用中の頭蓋内出血患者への緊急処置について,豊田氏は「緊急に是正が必要と判断された場合,ダビガトランではPCC 1,000単位を投与し,足りなければさらに追加。リバーロキサバンでも同様の処置を予定」,長尾氏は,新規抗凝固薬は半減期が短く,比較的速やかに効果が消失すること,とくに心房細動患者の場合には血栓塞栓症リスクも高いことから,どの程度の処置が必要かまずは判断すべきと指摘したうえで,「重症例にしぼり,PCCを投与」とした。


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