編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2022年9月現在,1289報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Arslanian SA, Hannon T, Zeitler P, Chao LC, Boucher-Berry C, Barrientos-Pérez M, Bismuth E, Dib S, Cho JI, Cox D, ; AWARD-PEDS Investigators: Once-Weekly Dulaglutide for the Treatment of Youths with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2022; 387: 433-443. [PubMed]

青少年の2型糖尿病患者を対象に,GLP-1受容体作動薬,duraglutideの効果を検討した研究である。予想通り,本薬剤投与により,成人だけでなく青少年でも血糖コントロール効果が得られることが確認された。
ただ興味深いのは,体重に対する効果が認められておらず,これに関しては,これまでの青少年2型糖尿病患者を対象としたliraglutide(N Engl J Med 2019; 381: 637-646),あるいは長時間作動型exenatideを用いた研究(Diabetes Care 2022; 45: 1833-1840)でも同様な結果となっている。このメカニズムに関しては今後の検討が必要と考えられる。【綿田裕孝

●目的 10~18歳未満の青少年2型糖尿病患者において,dulaglutideの血糖コントール効果を検討した。
一次エンドポイントは,ベースラインから26週後までのHbA1cの変化。
二次エンドポイントは,HbA1c<7.0%達成率,ベースラインから26週後までの空腹時血糖およびBMIの変化。
●デザイン ランダム化,プラセボ対照,二重盲検,多施設(46施設,9ヵ国),第III相, intention-to-treat解析(有効性)。
●試験期間 登録期間は2016年12月~2020年12月,試験期間は26週。
●対象患者 食事・運動療法のみ,またはmetformin/基礎インスリンでコントロール不良の10~18歳未満の青少年2型糖尿病患者154例。
平均年齢は14.5歳,14歳以下39%,糖尿病罹病期間 2.0年,女性71%,BMI 34.1 kg/m2,HbA1c 8.1%,空腹時血糖157.2 mg/dL,eGFR 125.0 mL/分/1.73m2。【糖尿病治療薬】metforminのみ63%,metformin+基礎インスリン25%,基礎インスリンのみ3%,食事・運動療法のみ9%。
採用基準: BMI>85パーセンタイル(地域・施設での年齢・性別が同じ集団における),体重≧50 kg,HbA1c 6.5~<11.0%(metformin使用例)または6.5~<9.0%(食事・運動療法のみ実施例)。スクリーニング前8週以上,metforminとインスリンの用量が安定しており,ライフスタイル介入が適切に行われている者。
●方法 dulaglutide 0.75 mg群(51例),dulaglutide 1.5 mg群(52例),プラセボ群(51例)に1:1:1にランダム化し,週1回皮下注射を26週間実施。HbA1c(<8.0%,≧8.0%),metformin使用の有無,インスリン使用の有無で層別化。
本試験では,二重盲検の試験終了後,26週間のオープンラベル延長試験(dulaglutide群では割り付けられた用量を投与継続し,プラセボ群はdulaglutide 0.75 mg 週1回皮下投与に切り替え)も実施された。
pooled dulaglutide群(0.75 mg群+1.5 mg群)とプラセボ群の比較を主目的とし,有効性評価では2つのestimand(intention-to-treat estimand,efficacy estimand)を定義。intention-to-treat estimandに関しては,一次エンドポイントおよび二次エンドポイントの連続変数をANCOVA,HbA1c<7.0%達成率をロジスティック回帰モデルにより評価。efficacy estimandに関しては,一次エンドポイントおよび二次エンドポイントの連続変数をmixed model for repeated measurements,二次エンドポイントのカテゴリー変数をlongitudinal logistic regressionモデルで評価した。
●結果 intention-to-treat estimandによる26週後の平均HbA1c(最小二乗平均値)は,プラセボ群でベースラインから0.6%ポイント増加した一方,pooled dulaglutide群では0.8%ポイント低下した(プラセボ群との推定群間差[ETD]:-1.4%ポイント,95%CI -1.9 to -0.8,p<0.001)。dulaglutideの各群でもプラセボ群との有意差が認められた(ETD:0.75 mg群-0.6%ポイント,1.5 mg群-0.9%ポイント,いずれもp<0.001)。
26週後におけるHbA1c<7.0%達成率は,pooled dulaglutide群でプラセボ群にくらべ有意に高かった(51% vs 14%,p<0.001)。
26週後の空腹時血糖値はプラセボ群で増加し,pooled dulaglutide群で低下したが(+17.1 vs -18.9 mg/dL,p<0.001),BMIの変化には群間差を認めなかった(-0.1% vs 0.01%)。
上記解析結果は,efficacy estimandによる解析でも同様であった。
消化器系有害事象の発現率はdulaglutide群がプラセボ群より高かったが,ほとんどは軽度であった。dulaglutide 1.5 mg群の1例が嘔吐のため試験を中止。重症低血糖は両群ともに発生しなかった。dulaglutideの安全性は,成人で報告されているものと同様であった。
●結論 10~18歳未満の青少年2型糖尿病患者において,dulaglutide 0.75 mg または1.5 mg 週1回皮下投与は,metformin,基礎インスリンの併用の有無を問わず,プラセボにくらべて血糖コントロール効果に優れており,BMIへの影響は認められなかった。