編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Cao H, Liu T, Wang L, Ji Q: Comparative efficacy of novel antidiabetic drugs on cardiovascular and renal outcomes in patients with diabetic kidney disease: A systematic review and network meta-analysis. Diabetes Obes Metab. 2022; 24: 1448-1457. [PubMed]

ここ20年でRAS(レニン-アンジオテンシン系)阻害薬の腎保護作用が証明されてきた。一方,厳密な血糖管理が微量アルブミン尿の発症を抑制することは明らかにされてきたが,従来の血糖降下薬の腎保護効果は大規模な臨床試験では確認されてこなかった。最近,SGLT2阻害薬やGLP-1RAなどの新しい血糖降下薬の腎保護作用や心保護作用が報告されている。本報告では,DPP-4阻害薬,SGLT2阻害薬,GLP-1RAのどの薬剤がDKDの治療薬として最も有効かを,システマティックレビュー・ネットワークメタ解析で検討した。
その結果,DKDを伴う2型糖尿病患者では,SGLT2阻害薬がGLP-1RAとDPP-4阻害薬に比べ腎イベントや心不全による入院のリスクを有意に減少させた。MACEに対しては,DPP-4阻害薬に比べ,SGLT2阻害薬とGLP-1RAに同等の心保護作用が認められた。SGLT2阻害薬のGLP-1RAおよびDPP-4阻害薬に対する明らかな優位性が認められたといえる。
今回の検討に用いられた個々の試験に基づき,ADAのガイドラインなどには,ステージ3以上のCKDを伴う2型糖尿病患者では,腎機能低下の進行抑制と心血管リスクを減少させるためにSGLT2阻害薬が勧められ,心血管リスクのある2型糖尿病患者でSGLT2阻害薬が使用できない場合にはGLP-1RAが勧められている。これらの試験のシステマティックレビュー・ネットワークメタ解析の結果は,これらのガイドラインの勧告をさらに裏付けるものといえる。【片山茂裕

●目的 糖尿病性腎臓病(DKD)患者において,SGLT2阻害薬,GLP-1 受容体作動薬(GLP-1RA),DPP-4阻害薬の有効性を比較する。
一次エンドポイントは,腎複合アウトカム(血清クレアチニンの倍増またはeGFRの40%以上の低下+末期腎不全への進行+腎死の複合),腎臓病の進行(腎複合アウトカム+心血管死の複合),主要心血管イベント(MACE)(心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳梗塞の複合),心不全による入院,心血管死。
●デザイン システマティックレビュー,ネットワークメタ解析。
●試験期間
●対象患者 DKD患者46,292例(16試験)。
ネットワークメタ解析の採用基準:(a) 第III/IV相,前向き,ランダム化,event-driven 心血管/腎アウトカム試験,(b) 2型糖尿病と腎臓病を有する成人患者,(c) SGLT2阻害薬,GLP-1RA,またはDPP-4阻害薬による介入,(d) 比較対照が,実薬またはプラセボ。
●方法 MEDLINEデータベースより,以下の検索語を用いて検索(2021年7月まで)。(“sodium glucose transporter 2 inhibitors” OR “dipeptidyl-peptidase IV inhibitors” OR “glucagon-like peptide 1”) AND (“diabetic nephropathies”[MeSH]) OR “chronic kidney disease”) AND (“diabetes mellitus, type 2”[MeSH]) AND (randomized controlled)。
ハザード比(HR)と95%CIを算出して各試験の効果量を評価。メタ解析の結果はforest plotで表示。直接比較と間接比較の一致性をnetmeta package on Rを用いて評価した。出版バイアスはfunnel plotとEgger検定により推定した。
●結果 腎複合アウトカムの発生リスク(10試験[SGLT2阻害薬6試験,GLP-1RA 3試験,DPP-4阻害薬1試験])は,SGLT2阻害薬でGLP-1RAに比べて26%低く(HR 0.74,95%CI 0.62 to 0.88),DPP-4阻害薬に比べて36%低かった(0.64,0.52 to 0.79)。GLP-1RAとDPP-4阻害薬に差はみられなかった。腎複合アウトカムに対する薬剤の順位付け(rankogram)では,SGLT2阻害薬が1位(最善の治療となる確率100%),GLP-1RAが2位(2番目の良い治療となる確率88.5%), DPP-4 阻害薬が3位(3番目の良い治療となる確率44.7%)であった。
MACE発生リスク(14試験[SGLT2阻害薬6試験,GLP-1RA 4試験,DPP-4阻害薬4試験])は,DPP-4阻害薬に比べ,SGLT2阻害薬で18%低く(0.82,0.72 to 0.93),GLP-1RAで18%低かった(0.82,0.69 to 0.96)。薬剤の順位付けでは,SGLT2阻害薬とGLP-1RAが1位(最善の治療となる確率はそれぞれ54.5%,45.1%),DPP-4 阻害薬が3位(3番目の良い治療となる確率30.3%)であった。
心不全による入院のリスクは(13試験[SGLT2阻害薬6試験,GLP-1RA 2試験,DPP-4阻害薬5試験]),SGLT2阻害薬でGLP-1RAに比べ28%低く(0.72,0.56 to 0.92),DPP-4阻害薬に比べ41%有意に低かった(0.59,0.49 to 0.71)。GLP-1RAとDPP4阻害薬には差はみられなかった。
いずれのアウトカムについても直接比較と間接比較の一致性は高く,デザイン間の異質性も出版バイアスも認められなかった。
●結論 DKD患者の腎・心血管イベントの抑制において,SGLT2阻害薬のGLP-1RAおよびDPP-4阻害薬に対する明らかな優位性が認められた。