編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Furtado RHM, Raz I, Goodrich EL, Murphy SA, Bhatt DL, Leiter LA, McGuire DK, Wilding JPH, Aylward P, Dalby AJ, et al.: Efficacy and Safety of Dapagliflozin in Type 2 Diabetes According to Baseline Blood Pressure: Observations From DECLARE-TIMI 58 Trial. Circulation. 2022; 145: 1581-1591. [PubMed]

SGLT2阻害薬は軽度の降圧作用を有するため,ベースライン血圧の低い症例には投与を躊躇することがある。本研究ではベースラインのSBPによらずdapagliflozinの有効性と安全性が認められ,SBP<120 mm Hgの正常血圧者に対して本薬を投与することの妥当性を示す一つのエビデンスになっている。【景山 茂】

●目的 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する,または複数のASCVD危険因子を有する2型糖尿病患者において,dapagliflozinの心腎保護効果および安全性はベースラインの収縮期血圧(SBP)により異なるかを検討した。
有効性のアウトカムは,心不全による入院,および腎複合アウトカム(eGFRが持続的に≧40%低下+末期腎不全への進行+腎臓死の複合)。
安全性のアウトカムは,体液減少,下肢切断,急性腎障害。
●デザイン DECLARE-TIMI 58試験(多施設,ランダム化,二重盲検,プラセボ対照)のサブ解析。
●試験期間 追跡期間は中央値48ヵ月。
●対象患者 ASCVDを有する,または複数のASCVD危険因子を有する2型糖尿病患者17,160例。
平均年齢64.0歳,女性37.4%,2型糖尿病罹病期間中央値11年,心血管疾患既往40.6%。
登録基準:40歳以上,HbA1c 6.5~12%。
除外基準: SBP>180mmHg,拡張期血圧>100mmHg。
※血圧下限値の基準は設けず,降圧薬の使用は担当医に一任した。
●方法 ベースラインのSBP値により,正常血圧(<120 mmHg)(2,557例),高値血圧(120~129 mmHg)(3,686例),ステージ1高血圧(130~139 mmHg)(4,385例),ステージ2高血圧(140~159 mmHg)(5,501例),重症高血圧(≧160 mmHg)(1,031例)にカテゴリー分けし,比較した。 
●結果 全体では,dapagliflozin群でプラセボ群にくらべ,試験開始6ヵ月後からSBPが低下し(最小二乗平均差[vs. プラセボ群]-3.1 mmHg[95%CI -3.5 to -2.7],p<0.0001),その差は追跡48ヵ月後まで持続した(-2.4 mmHg[-2.9 to -1.9],p<0.0001)。
心不全による入院または腎複合アウトカムに対するdapagliflozin(vs. プラセボ)の有効性は,いずれのベースラインSBPにおいても認められ,SBP正常者においてもdapagliflozinの有効性は一貫して認められた。心不全による入院のハザード比(HR)は,重症高血では 0.32(0.18 to 0.60),ステージ2高血圧では 0.81(0.59 to 1.10),ステージ1高血圧では 0.73(0.51 to 1.05),高値血圧では 1.02(0.67 to 1.56),正常血圧では 0.66(0.42 to 1.05)(p for interaction=0.28)であった。腎複合アウトカムのHRはそれぞれ 0.33(0.18 to 0.59),0.63(0.44 to 0.90),0.46(0.30 to 0.71),0.79(0.46 to 1.35),0.39(0.19 to 0.78)(p for interaction=0.52)であった。
dapagliflozin群における,体液減少,下肢切断,急性腎障害の発現リスクについても,ベースラインSBPによる差はみられなかった。
●結論 ASCVDを有する,またはASCVD危険因子を有する2型糖尿病患者において,dapagliflozinはベースラインのSBPを問わず,心不全による入院および腎アウトカムのリスクを減少させた。また,正常血圧者を含むすべてのSBPにおいて有害事象の発現リスクに差はなかった。