編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Vasbinder A, Anderson E, Shadid H, Berlin H, Pan M, Azam TU, Khaleel I, Padalia K, Meloche C, O'Hayer P, et al.; ISIC Study Group:: Inflammation, Hyperglycemia, and Adverse Outcomes in Individuals With Diabetes Mellitus Hospitalized for COVID-19. Diabetes Care. 2022; 45: 692-700. [PubMed]

糖尿病であることはCOVID-19の重症化のリスクであることは多くの研究で報告されているが,本研究はさらに,糖尿病であることと高血糖が独立して重症化に関連することを示しており,臨床的意義が高い研究といえる。【綿田裕孝

●目的 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において,糖尿病がCOVID-19関連の院内アウトカムに与える影響を検討し,さらには糖尿病に関連する炎症性反応および高血糖の寄与度を評価した。
一次エンドポイントは,院内死亡率+機械的換気の必要性+腎置換療法の必要性の複合。
●デザイン 観察研究,多施設。
●試験期間
●対象患者 COVID-19の入院患者2,044例(非糖尿病患者1,358例,糖尿病患者686例)。
平均年齢は非糖尿病患者58歳,糖尿病患者64歳,男性はそれぞれ57.7%,59.5%,BMI 31 kg/m2,33 kg/m2,入院時のeGFR 78 mL/分/1.73 m2,56 mL/分/1.73 m2,HbA1c 5.9%,8.0%。【併存疾患】高血圧45.7%,81.2%,冠動脈疾患8.9%,24.6%,うっ血性心不全7.7%,17.2%,慢性腎臓病10.8%,26.8%,末期腎不全により透析中1.3%,5.7%(いずれもp<0.001)。【主症状】発熱65.8%,56.9%,精神状態の変化6.5%,13.4%(いずれもp<0.001)。
登録基準: (1) COVID-19により入院した18歳以上の成人,(2) 鼻咽頭または口咽頭サンプルのRT-PCR検査でSARS-CoV2感染が確定された患者,(3) 入院中の血液サンプルが1つ以上ある患者。
●方法 International Study of Inflammation in COVID-19(ISIC)のデータを使用。
対象患者を非糖尿病患者と糖尿病患者に分けて,一次エンドポイントの発生についてカイ二乗検定により比較した。
炎症性バイオマーカーについては,血液サンプルより,可溶性ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ受容体(suPAR),IL-6,CRP,D-ダイマー,フェリチン,LDH,プロカルシトニン値を解析。
●結果 糖尿病患者では,非糖尿病患者にくらべて一次エンドポイントの累積発生率が有意に高く(37.8% vs. 28.6%,p<0.001),その構成要素である院内死亡率(16.9% vs. 12.7%,p=0.01),機械的換気の必要性(31.6% vs. 24.5%,p=0.001),腎置換療法の必要性(12.4% vs. 7.1%,p<0.001)の発生率も有意に高かった。また,糖尿病患者では非糖尿病患者にくらべ,炎症性バイオマーカーの値が高かった。バイオマーカーのうち,糖尿病と唯一関連が認められたのはsuPARであり(standardized β=0.10[95%CI 0.05 to 0.15]),糖尿病患者では非糖尿病患者にくらべてsuPARが平均20.7%高かった。また,suPARで調整後,糖尿病と一次エンドポイントの有意な関連は消失した(調整オッズ比1.03[95%CI 0.78 to 1.37])。
媒介分析(Mediation analysis)の結果,糖尿病が一次エンドポイントに与える影響を比率にすると,suPARで84.2%であった。高血糖およびインスリンの高用量は,一次エンドポイントの独立した予測因子であり,その効果はsuPAR値で調整しても影響されなかった。
●結論 COVID-19の入院患者において,糖尿病と院内アウトカムの関連はsuPAR高値などの高炎症性反応により大きく影響されることが示された。一方,高血糖による影響は,炎症性反応とは独立したものであった。