編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Jayedi A, Soltani S, Motlagh SZ, Emadi A, Shahinfar H, Moosavi H, Shab-Bidar S: Anthropometric and adiposity indicators and risk of type 2 diabetes: systematic review and dose-response meta-analysis of cohort studies. BMJ. 2022; 376: e067516. [PubMed]

肥満,特に内臓脂肪蓄積型肥満が2型糖尿病発症リスクであることは,多くの疫学研究により証明されてきた。しかし,内臓脂肪蓄積型肥満の程度と2型糖尿病発症のdose-responseに関しては判明していなかった。さらに地域,民族的差異に関しての詳細な検討はなされていなかった。今回の研究が解明した点は,民族差なく,腹囲と2型糖尿病発症との関係が正の線形関連を示した点である。
一方で,肥満ではない日本人で,詳細に肝や筋への脂肪蓄積量やインスリンによるブドウ糖処理率を定量した結果,軽度の脂肪蓄積により前糖尿病状況にある例が多いとする成績(Takeno K, et al, J Clin Endocrinol Metab 2016; 101: 3676)がある。次の解明すべき点は,内臓脂肪蓄積型肥満の原因を一例一例で詳細に検討し,その改善方法を緻密に実践することであろう。【河盛隆造

●目的 一般住民において,体重,腹囲,脂肪蓄積率などの肥満指標と2型糖尿病発症リスクの関連を評価した。
●デザイン システマティックレビュー,用量反応メタ解析。
●試験期間
●対象患者 約2,600万人(うち2型糖尿病患者約230万例):コホート研究216件(前向き190件,後向き26件)。
試験の採用基準:成人(18歳以上)一般住民を対象とした前向き/後向きコホート研究,要因暴露として身体指標(BMI,臀囲,腹囲,大腿囲,ウェスト/ヒップ比,ウェスト/大腿比,ウェスト/身長比,body adiposity index,body shape index,体脂肪率,脂肪量,内臓脂肪)を測定し,2型糖尿病発症をアウトカムに設定している研究。
試験の除外基準:横断研究,症例対照研究,糖尿病患者/入院患者/施設に入居している高齢者を対象とした研究,自己測定の身体測定値(要因暴露)を使用している研究,糖尿病既往歴のある患者を対象とした研究。
●方法 PubMed,Scopus,Web of Scienceを検索(2021年5月1日迄)。著者2名が文献タイトルとアブストラクトを評価し,同2名が独立して論文全文を確認(意見の相違は議論により解決)。観察研究のメタアナリシスの参考文献も調査。
線形用量反応メタ解析により,各試験における身体測定値(要因暴露)の要約相対リスクと95%CIを算出。その後,ランダム効果モデルを用いて統合した。
●結果 2型糖尿病の相対リスクは,BMI が5単位増加するごとに1.72(95%CI 1.65 to 1.81,I2=99%,182研究),腹囲が10 cm大きくなるごとに1.61(1.52 to 1.70,I2=99%,78研究),ウェスト/ヒップ比が0.1単位増加するごとに1.63(1.50 to 1.78,I2=99%,34研究),ウェスト/身長比が0.1単位増加するごとに1.73(1.51 to 1.98,I2=97%,25研究),内臓脂肪が1単位増加するごとに1.42(1.27 to 1.58,I2=84%,9研究),体脂肪率が10%高くなるごとに2.05(1.41 to 2.98,I2=91%,6研究),body shape index が0.005単位増加するごとに1.09(1.05 to 1.13,I2=71%,5研究),body adiposity indexが 10%高くなるごとに2.55(1.59 to 4.10,I2=98%,4研究)となった。いずれも試験間の異質性が大きかった。臀囲,大腿囲については2型糖尿病発症との有意な関連はみられなかった。
BMIと2型糖尿病発症との間に強い正の線形関連が示されたが,この関連は地域や民族性などを含めたすべてのサブグループ解析で認められ(すべてP<0.001),特定のカットオフ値で線形性が著しく変化することはなかった。また,中心性肥満の指標である腹囲は,全身性肥満の指標であるBMIで調整後も,正の線形関連を示した。ウェスト/ヒップ比,ウェスト/身長比もそれぞれ2型糖尿病発症と正の線形かつ単調な関連を示した。研究数は少なかったが,内臓脂肪,体脂肪率,body shape index,body adiposity indexについても同様の正の関連が認められた。
●結論 BMIが増加するほど,2型糖尿病発症リスクも増加した。また,腹囲は肥満症とは独立して2型糖尿病と正の線形関連を示した。