編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2022年6月現在,12823報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Nazarzadeh M, Bidel Z, Canoy D, Copland E, Wamil M, Majert J, Smith Byrne K, Sundström J, Teo K, Davis BR, et al.; Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration: Blood pressure lowering and risk of new-onset type 2 diabetes: an individual participant data meta-analysis. Lancet. 2021; 398: 1803-1810. [PubMed]

●目的 降圧戦略による2型糖尿病の予防効果を検討した。
●デザイン メタアナリシス(one-stage個別被験者データ,個別被験者データネットワーク)。
●試験期間 追跡期間中央値は4.5年(IQR 2.0)。
●対象患者 ランダム化比較試験19件(145,939例),個別被験者データネットワークメタアナリシス:試験22件。
平均年齢は比較対照群65.5歳,治療群64.9歳,女性は39.3%,39.4%,収縮期血圧(SBP)は153 mmHg,154 mmHg,拡張期血圧(DBP)は89 mmHg,89 mmHg。治療歴:ACE阻害薬40.3%,38.6%,ARB 9.2%,9.4%,Ca拮抗薬32.0%,31.1%,利尿薬21.0%,21.3%,β遮断薬39.3%,36.6%,α遮断薬3.6%,3.8%,抗血小板薬67.7%,65.4%,抗凝固薬9.9%,11.2%,脂質低下薬41.4%,34.7%。
採用基準:一次・二次予防の試験,特定のクラス・種類の降圧薬(vs. プラセボまたは他の種類の降圧薬)を用いた試験,各群で1000人・年以上の追跡を行っている試験。
除外基準:すでに糖尿病の診断を受けている患者,糖尿病患者を対象とした試験。
●方法 ・Blood Pressure Lowering Treatment Trialists’ Collaboration(BPLTTC)に登録された22研究(1973~2008年)のデータを使用。
・降圧(SBP 5mmHg低下)による2型糖尿病の予防効果はone-stage個別被験者データメタアナリシスにより検討し,5種類の降圧薬(ACE阻害薬,ARB,β遮断薬,サイアザイド系利尿薬,Ca拮抗薬)の比較には個別被験者データネットワークメタアナリシスを実施した。One-stage個別被験者データのメタアナリシスには層別化Cox比例ハザードモデルを,ネットワークメタアナリシスにはロジスティック回帰モデルを用いた。
・対象患者を介入群(65,042例),比較対照群(80,887例)に分け,プラセボ対照試験の場合は,プラセボ群を比較対照群,実薬群を介入群とした。また,実薬同士の比較の場合は,降圧の大きかった方を介入群とした。
・BMIによるサブグループ解析を実施し,試験間の異質性を評価した。
●結果 追跡期間における2型糖尿病の新規発症は9,883例。
SBP 5 mmHg低下は2型糖尿病の発症リスクを11%減少させた(HR 0.89,95%CI 0.84 to 0.95)。BMI値によるサブグループ解析の結果,異質性は認められなかった(p for interaction=0.27)。
ネットワークメタアナリシスの結果,プラセボに対し,ACE阻害薬(RR 0.84,95%CI 0.76 to 0.93,directエビデンス59%)およびARB(RR 0.84, 0.76 to 0.92,directエビデンス60%)で2型糖尿病の新規発症リスクを有意に低下させたが,β遮断薬(RR 1.48,1.27 to 1.72,directエビデンス0%)およびサイアザイド系利尿薬(RR 1.20,1.07 to 1.35,directエビデンス2%)では有意にリスクが増加した。Ca拮抗薬(RR 1.02,0.92 to 1.13,directエビデンス11%)については,重大な影響はみられなかった。
●結論 降圧は2型糖尿病の新規発症を抑制する効果的な戦略である。しかし,確立された薬物介入による糖尿病発症抑制効果には,薬剤間で定性的・定量的にバラツキがみられ,これはoff-target効果によるものと思われたが,ACE阻害薬およびARBの転帰がもっとも良好であった。