編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Hashimoto-Kameda R, Cho KY, Nomoto H, Nakamura A, Omori K, Nagai S, Edagawa S, Kawata S, Takeuchi J, Kameda H, et al.; LUNA Study Investigators: Lowering of blood pressure and pulse rate by switching from DPP-4 inhibitor to luseogliflozin in patients with type 2 diabetes complicated with hypertension: A multicenter, prospective, randomized, open-label, parallel-group comparison trial (LUNA study). Diabetes Res Clin Pract. 2021; 180: 109069. [PubMed]

糖尿病患者には高頻度で高血圧が合併し,夜間血圧が高く,夜間の血圧が十分に低下しないnon-dipperが多いことが知られている。高血圧やこのような血圧日内変動の異常が,糖尿病患者の細小血管障害や心筋梗塞や脳血管疾患などの大血管障害を惹起することから,高血圧を合併する糖尿病患者では,血糖コントロールに加えて降圧治療は極めて重要である。糖尿病患者に投与されたSGLT2阻害薬が血圧,特に夜間血圧を低下させることが報告されている。今回の報告は,DPP-4阻害薬を服用している患者をDPP-4阻害薬を継続する群とSGLT2阻害薬のluseogliflozin 2.5mg/日に変更した群の2群に分け,前後でABPを施行し,両薬剤の日中と夜間の血圧・脈拍・脈圧に及ぼす影響を検討したものである。
luseogliflozin 2.5mg/日への変更は,DPP-4阻害薬継続群に比べて,夜間と日中のSBPと脈圧をより低下させ,夜間の脈拍数もより低下させた。さらに,夜間に血圧が低下しないnon-dipperと血圧がむしろ上昇するriserパターンがluseogliflozin投与群で56.7%から36.6%に低下した。本試験だけからはこれらの機序については不詳だが,尿中Na排泄や尿量の増加,交感神経系の抑制などが推察される。いずれにしても,夜間と日中のSBPと脈圧の低下,脈拍数の減少は,血管合併症を減少させ,心疾患や脳血管障害を抑制し,腎機能障害を軽減するなど,SGLT2阻害薬の臓器保護に寄与するものと考えられ,その臨床的意義は大きいものといえる。【片山茂裕

●目的 日本人高血圧合併2型糖尿病患者において,夜間の降圧効果をSGLT2阻害薬luseogliflozinとDPP-4阻害薬で比較した。
一次エンドポイントは,夜間の収縮期血圧(SBP)の変化(自由行動下血圧測定[ABP])。
●デザイン ランダム化,オープン,多施設(5施設,日本),full analysis set(解析)。
●試験期間 登録期間は2018年3月~2020年5月。
●対象患者 日本人高血圧合併2型糖尿病患者67例(試験完遂・解析対象56例)。
平均年齢はDPP-4阻害薬(DPP-4継続)群68.3歳,luseogliflozin群69.6歳,男性は76.9%,63.3%,BMIは25.4,26.3,糖尿病罹病期間(<5年:19.2%,20.0%,5~<10年:15.4%,16.7%,10~<15年:23.1%,16.7%,≧15年:42.3%,46.7%)。
登録基準: 20~85歳,HbA1c 6.0~9.0%,DPP-4阻害薬(週1回投与製剤は除く)を4週間以上投与している者,高血圧(血圧>130/80 mmHg)の診断を受けている者。
除外基準:SGLT2阻害薬の治療歴(4週間のwash-outを完了した者は除く),SGLT2阻害薬に耐性,糖尿病性網膜症症,重度の肝障害または腎障害を合併,妊娠の確定診断/疑い,重症ケトーシス,糖尿病昏睡,前昏睡期,重症感染症,外傷,周術期,インスリン分泌障害,BMI<22 kg/m2,eGFR<30 mL/分/1.73m2,ほか。
●方法 対象患者を,DPP-4継続群(33例)(DPP-4阻害薬を継続),luseogliflozin群(34例)(luseogliflozin 2.5 mg/日に切り替え)に1:1にランダム化。8週間の服薬前後でABPを実施。日中は起床から就寝までの時間,夜間は就寝から起床までの時間と定義(血圧測定期間に,対象患者は起床時間,就寝時間,食事時間を記録して,日中と夜間の時間を設定)。
●結果 luseogliflozin群でDPP-4継続群にくらべ,夜間SBP(-4.0±11.4 vs. 3.6±10.7 mmHg,p<0.01),日中SBP(-4.4±10.9 vs. 3.7±11.9 mmHg,p<0.01)ともに有意に低下した。夜間DBPは有意差を認めなかったが,日中DPBはluseogliflozin群で有意に低下した(-2.4±5.5 vs. 1.0±6.1,p=0.03)。
また,luseogliflozin群でDPP-4継続群にくらべ,日中脈圧(PP)(-2.0±6.7 vs. 2.7±6.9,p=0.01),夜間PP(-2.8±7.3 vs. 2.8±6.8,p=0.02)ともに有意に低下した。
夜間脈拍数(PR)はluseogliflozin群でDPP-4継続群にくらべ,有意に低下した(-2.0±4.8 vs. 0.9±4.8 bpm,p=0.03)。
異常な血圧日内リズム(non dipperパターン+上昇パターン)の患者の割合は,luseogliflozin群で投与開始前には56.7%であったが,8週間の投与後には36.6%に有意に低下した(p<0.05)。
●結論 日本人2型糖尿病患者においては,DPP-4阻害薬からluseogliflozinに切り替えると,夜間SBPとPRが低下し,さらに血圧日内リズムも改善した。