編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Son C, Makino H, Kasahara M, Tanaka T, Nishimura K, Taneda S, Nishimura T, Kasama S, Ogawa Y, Miyamoto Y, et al.: Comparison of efficacy between dipeptidyl peptidase-4 inhibitor and sodium-glucose cotransporter 2 inhibitor on metabolic risk factors in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus: Results from the CANTABILE study. Diabetes Res Clin Pract. 2021; 180: 109037. [PubMed]

日本人糖尿病患者を対象にDPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬とで肥満,高血圧,脂質異常症の改善に対する効果を検討した研究。結果はほぼ予想通りであるが,興味深いのはBMI<25の症例に絞ると,その効果は同等であったという点である。一般臨床でもBMIを考慮しながら薬剤選択をしているが,その意味では,興味深い結果である。【綿田裕孝

●目的 代謝リスク因子(肥満,高血圧,または脂質異常症)を有する日本人2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬teneligliptinとSGLT2阻害薬canagliflozinによる,代謝リスク因子に対する効果を比較した。
一次エンドポイントは,3つの代謝リスク因子(肥満,高血圧,または脂質異常症)のうち,いずれか1つ以上改善した患者の割合。
●デザイン ランダム化,オープン,多施設(38施設,日本),full analysis set(解析)。
●試験期間 -
●対象患者 2型糖尿病で代謝リスク因子を有する日本人2型糖尿病患者145例(ランダム化は162例)。
平均年齢はteneligliptin群55.2歳,canagliflozin群57.2歳,男性67.1%,68%,BMI 28.8 kg/m2,28.7 kg/m2,HbA1c 7.8%,7.7%,HDL-C 53.6 mg/dL,52.1 mg/dL,トリグリセライド169.7 mg/dL,202.1 mg/dL,収縮期血圧(SBP) 137.8 mmHg,140.7 mmHg,拡張期血圧(DBP)82.7 mmHg,83.4 mmHg,BMI>25 kg/m2の患者 81.4%,78.7%,脂質異常症44.39%,45.3%,高血圧71.4%,73.3%,糖尿病罹病期間6.7年,5.9年,metformin治療62.9%,58.7%。
登録基準:20歳以上85歳未満,HbA1c 7.0~<10.0%,metformin単剤または糖尿病治療薬を使用せずに食事療法かつ/または運動療法を実施しており,糖尿病の治療を8週間以上変更していない者。
以下の代謝リスク因子のうち1つ以上を満たす者:
1) BMI≧25 kg/m2,2) SBP≧130 mmHg,DBP≧85 mmHg,3) トリグリセリド≧150 mg/dLまたはHDL-C<40 mg/dL。
除外基準:1型糖尿病,BMI<22 kg/m2,teneligliptinまたはcanagliflozinに対する過敏性,血糖管理でインスリン療法が必要な者,うっ血性心不全(NYHA心機能分類IIIまたはIV),妊娠中/授乳中/妊娠の可能性,悪性腫瘍の疑い/診断。
●方法 対象患者を,teneligliptin群(80例)(20 mg経口,必要に応じて最大40 mg/日まで漸増),canagliflozin群(82例)(100 mg経口)にランダム化し,24週間投与。
通常の糖尿病治療薬は全例で継続。
試験開始の8週以上前から治療(24週)終了まで,全例が食事療法(総カロリー[25 kcal/kg]のうち,炭水化物は40~60%,蛋白質は20%以内,残りは脂質)および運動療法を実施した。
一次エンドポイントについて,BMI(≧25,<25)とmetformin(使用の有無)によるサブグループ解析を実施した。
●結果 一次エンドポイントの達成率は,canagliflozin群(62.2%,95%CI 50.1 to 73.2)でteneligliptin群(31.3%,95%CI 20.6 to 43.8)にくらべ有意に高かった(p=0.0004)。
BMI≧25のサブグループでは,canagliflozin群でteneligliptin群にくらべて有意に高かったが,BMI<25の患者では,有意な群間差は認められなかった。metformin使用の有無に関しても,一次エンドポイントの結果は変わらず,canagliflozin群で高かった。
体重が3%以上減少した患者の割合は,canagliflozin群(55.9%,95%CI 42.4 to 68.6)でteneligliptin群(10.5%,95%CI 4.0 to 21.5)にくらべ,有意に高かったp<0.0001)。
●結論 canagliflozinはteneligliptinにくらべ,代謝リスクを減少させることが示された。代謝リスク因子を有する日本人2型糖尿病患者においては,DPP-4阻害薬にくらべ,SGLT2阻害薬のほうが,複数の代謝リスクの管理に優れる可能性が示された。