編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2022年1月現在,1272報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Yang W, Sun X, Zhang J, Zhang K: The effect of metformin on mortality and severity in COVID-19 patients with diabetes mellitus. Diabetes Res Clin Pract. 2021; 178: 108977. [PubMed]

糖尿病患者におけるCOVID-19とmetformin内服の効果を検討したシステマティックレビューである。
対象となったのは17論文で,合計約2万症例のデータに基づいている。その結果,死亡のリスクとCOVID-19の重症化リスクは,metformin内服により有意に低下することが示されている。
最近公表されたADA Standards of Medical Care in Diabetes — 2022では,ADAでもmetforminがついに第一選択薬でなくなり,個々の患者さんの病態,合併症の状態,医療費などを総合的に考えて,第一選択薬を決めるようにと,大きく舵が切られた。心血管合併症や腎症を併発する場合には,SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を優先的に使用することになっている。これらの薬についても,同様の解析が,早急になされることを強く希望する。【西村理明

●目的 糖尿病の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において,metforminの効果を検討した。
●デザイン システマティックレビュー,メタ解析
●試験期間
●対象患者 糖尿病のCOVID-19患者20,719例(コホート研究/症例対照研究の計17論文)。
論文の採用基準:以下の3つすべてを満たすもの: (1) 糖尿病のCOVID-19患者へのmetforminの効果を検討している,(2) 十分なデータがある,あるいはオッズ比(OR)および95%CIを算出するために論文からのデータ入手が可能である,(3) 英語の論文。
●方法 ・PubMed,Embase,およびCNKI(China National Knowledge Infrastructure)データベースより,糖尿病のCOVID-19患者に対するmetforminの効果を検討した論文を検索語(‘metformin’, ‘diabetes’, ‘COVID-19’)を用いて検索(2019年~2021年6月6日まで)。
・試験の質はNewcastle-Ottawa Scaleにより評価した。
・metforminが糖尿病のCOVID-19患者の死亡リスクおよびCOVID-19重症度に与える影響は,オッズ比(OR)および95%CIにより評価した。試験間の統計的異質性はQ検定およびI2統計により評価し,明らかな異質性が認められない場合には固定効果モデル(Mantel-Haenszel法)を用いてsummary ORを求め,それ以外の場合にはランダム効果モデル(DerSimonian and Laird法)を用いた。最後に,ランダム効果モデルを用いて全ORおよび95%CIを求めた。
・出版バイアスは,funnel plotおよびBeggの順位相関法により評価した。
●結果 metforminは糖尿病を有するCOVID-19患者の死亡リスク(OR 0.64,95%CI 0.51 to 0.79)およびCOVID-19重症化(OR 0.81,95%CI 0.66 to 0.99)を有意に減少させた。それぞれに試験間の異質性が認められた(死亡:異質性のp<0.001,I2=65.6%,Tau2=0.996,COVID-19重症化:異質性のp=0.047,I2=42.2%,Tau2=0.0493)。ロジスティックメタ回帰分析では,異質性に大きな影響を与える因子は認められなかった。
1つの研究が全結果に与える影響を検討するため,感度分析として,1研究を除いた検討も行ったが,結果は同様であり,統計的に信頼できる結果であることが示された。また,出版バイアスは認められなかった(死亡:p=0.064,重症化:p=0.827)。
●結論 2型糖尿病患者において,metforminによる治療は死亡およびCOVID-19重症化をともに抑制する可能性が示された。しかし,metforminの副作用として乳酸アシドーシスの発症が報告されており,COVID-19の重症患者に対しては,乳酸アシドーシス,アシドーシスの発症,および腎機能低下がないか,確実に観察すべきである。