編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Hariyanto TI, Intan D, Hananto JE, Putri C, Kurniawan A: Pre-admission glucagon-like peptide-1 receptor agonist (GLP-1RA) and mortality from coronavirus disease 2019 (Covid-19): A systematic review, meta-analysis, and meta-regression. Diabetes Res Clin Pract. 2021; 179: 109031. [PubMed]

GLP-1受容体作動薬は抗炎症作用を有し,また,COVID-19の増悪は免疫機構の異常により修飾されることが指摘されていることから,GLP-1受容体作動薬による治療は,他の糖尿病治療薬に比較して予後を改善することも期待できるのかもしれない。
本研究では,GLP-1受容体作動薬による治療群において死亡に関する予後の改善効果が示された。しかし,糖尿病の予後に影響する重要な因子は血糖コントロールであるが,本研究ではHbA1c等の血糖コントロール状態を示す情報はない。
本研究は,GLP-1受容体作動薬による治療はCOVID-19の生命予後を改善するかもしれないという仮説を生成したと理解される。GLP-1受容体作動薬と他の治療薬を比較する臨床試験を行うことは非現実的なので,今後はHbA1c等のデータを含む観察研究が求められる。【景山 茂】

●目的 糖尿病の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において,入院前のGLP-1受容体作動薬の使用はCOVID-19による死亡を抑制するか検討した。
エンドポイントは,COVID-19による死亡。
●デザイン システマティックレビュー,メタ解析
●試験期間
●対象患者 論文の採用基準:PICO(P:SARS-CoV-2に感染した糖尿病患者,I:入院前におけるGLP-1受容体作動薬の使用,C:入院前におけるその他の血糖降下薬の使用,O:COVID-19による死亡)の定式で検討している研究,コホート/症例対照/横断研究/ランダム化臨床試験/非ランダム化臨床試験。
論文の除外基準:原著論文以外のもの(総論,レターなど),ケースシリーズ,症例報告,英語以外の論文,18歳未満を対象とした研究。
●方法 ・3つのデータベース(PubMed,Emrope PMC,medRxivEMBASE)より,以下の検索語を用いてCOVID-19および糖尿病に関する論文を検索した(2019年~2021年6月12日まで)。
“GLP-1” OR “GLP-1RA” OR “glucagon-like peptide-1”OR “dulaglutide” OR “semaglutide” OR “exenatide” OR “liraglutide” AND “diabetes” OR “diabetes mellitus” AND “SARS-CoV-2”, OR “coronavirus disease 2019” OR “Covid-19”
・採用された各試験の質はNewcastle-Ottawa Scaleにより評価し,試験間の異質性はI2統計(低レベル:25%,中レベル:26~50%,高レベル:>50%)により評価した。
・ランダム効果モデルによるメタ回帰分析を「年齢,性別,高血圧,心血管疾患,metforminの使用」に対する制限付き最尤法を用いて実施した。
・出版バイアスは,funnel plotおよびEggerの回帰検定により評価した。
●結果 9件の研究(19,660人)が抽出され,これらはすべて後ろ向きコホート研究であった。
入院前のGLP-1受容体作動薬の使用は,糖尿病患者のCOVID-19による死亡の減少と有意に関連し(オッズ比0.53,95%CI 0.43 to 0.66,p<0.00001),試験間の異質性は認められなかった(I2=0%)。メタ解析の結果,この有意な関連は,年齢(p=0.213),性別(p=0.421),高血圧(p=0.131),心血管疾患(p=0.293),metformin使用(p=0.189),インスリン使用(p=0.117)とは独立したものであった。
各試験の質はいずれも良質(good)で,出版バイアスは認められなかった(p=0.737)。
●結論 入院前のGLP-1受容体作動薬の使用は,糖尿病患者のCOVID-19による死亡を抑制する可能性が示唆された。