編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2021年11月現在,1269報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Frías JP, Davies MJ, Rosenstock J, Pérez Manghi FC, Fernández Landó L, Bergman BK, Liu B, Cui X, Brown K, ; SURPASS-2 Investigators: Tirzepatide versus Semaglutide Once Weekly in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2021; 385: 503-515. [PubMed]

GIPは1971年にGastric Inhibitory Polypeptideとして発見された。その後,インクレチンとして,Glucose-dependent Insulinotropic Polypeptide として注目されている。GIPはインスリンを分泌するのみならず,グルカゴン分泌も高めることが知られていた。しかし,近年,GIPは血糖値上昇時のインスリン分泌をタイミングよく刺激するとともに,分泌されたインスリンがグルカゴン分泌を抑制する方向で働くことも判明した。しかし,糖尿病患者では,この作用は内因性インスリン分泌能に依存するであろう。
今回の検討は,肥満の著しい2型糖尿病においての検討であり,内因性インスリン分泌能がある程度保持されていた例での検討であると推定される。今後の解析にて,内因性インスリン,グルカゴン分泌がどのように変化したのか,胃腸障害などによる食事摂取量の変化があったのかなど,それらの因子と体重減少や血糖コントロール状況との検討などにより判明することであろう。【河盛隆造

●目的 metformin単剤投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,dual GIP/GLP-1受容体作動薬であるtirzepatide 週1回皮下注射の有効性と安全性をGLP-1受容体作動薬semaglutide週1回皮下注射と比較した。
一次エンドポイントは,ベースラインから40週後までのHbA1cの変化。
●デザイン ランダム化,オープン,多施設(128施設,米国,アルゼンチン,オーストラリア,ブラジル,カナダ,イスラエル,メキシコ,イギリス),modified intention-to-treat解析(有効性,安全性),第III相。
●試験期間 登録期間は2019年7月30日~2021年2月15日。試験期間は40週,安全性の追跡期間は試験終了から4週間。
●対象患者 metformin単剤(≧1,500 mg/日)投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者1,878例(ランダム化は1,879例)。
平均年齢は56.6歳,女性53.0%,平均HbA1c 8.28%,糖尿病罹病期間8.6年,体重93.7 kg,BMI 34.2 kg/m2。eGFR 96.0 mL/分/1.73 m2
登録基準: 18歳以上,HbA1c 7.0~15.0%,BMI≧25.0 kg/m2,体重が安定(過去3ヵ月以内の変動±5%以内)。
除外基準:1型糖尿病,eGFR<45 mL/分/1.73m2,膵炎の既往,緊急治療を要する非増殖糖尿病網膜症/増殖糖尿病網膜症/糖尿病黄斑症。
●方法 対象患者を, tirzepatide 5 mg群,10 mg群,15 mg群,semaglutide 1 mg群に,1:1:1:1にランダム化。その際,国およびベースラインHbA1c(≦8.5% vs. >8.5%)で層別化。
いずれも週1回皮下注射,40週間。
tirzepatideは2.5 mgより開始し,4週間ごとに2.5 mgずつ漸増した。
semaglutideは0.25 mgより開始し,1 mgになるまで4週間ごとに倍増した。
●結果 ベースラインから40週後までのHbA1cの変化は,tirzepatide 5 mg群で-2.01パーセントポイント,10 mg群で-2.24パーセントポイント,15 mg群で-2.30パーセントポイント,semaglutide群で-1.86パーセントポイントであった。tirzepatideの全群でsemaglutide群に対する非劣性および優越性が認められ,semaglutide群との差は,tirzepatide 5 mg群では-0.15パーセントポイント(95%CI -0.28 to -0.03,p=0.02),10 mg群では-0.39パーセントポイント(-0.51 to -0.26,p<0.001),15 mg群では-0.45パーセントポイント(-0.57 to -0.32,p<0.001)であった。
体重は,tirzepatide各群でsemaglutide群にくらべ,用量依存的に有意に減少した(最小二乗平均差[vs. semaglutide]:tirzepatide 5 mg群-1.9 kg,10 mg群-3.6 kg,15 mg群-5.5 kg,いずれもp<0.001)。
有害事象で多く認められたのは胃腸障害(吐き気:tirzepatide 5 mg群17.4%,10 mg群19.2%,15 mg群22.1%,semaglutide群17.9%,下痢:13.2%,16.4%,13.8%,11.5%,嘔吐5.7%,8.5%,9.8%,8.3%)であり,重症度はいずれも軽度~中等度であった。
低血糖症は,それぞれ0.6%,0.2%,1.7%,0.4%。重篤な有害事象は7.0%,5.3%,5.7%,2.8%であった。
●結論 metformin単剤投与下の2型糖尿病患者において,ベースラインから40週後までのHbA1cの平均変化に関して,dual GIP/GLP-1受容体作動薬tirzepatide 週1回皮下注射の,GLP-1受容体作動薬semaglutideに対する非劣性および優越性が示された。