編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kosiborod MN, Esterline R, Furtado RHM, Oscarsson J, Gasparyan SB, Koch GG, Martinez F, Mukhtar O, Verma S, Chopra V, et al.: Dapagliflozin in patients with cardiometabolic risk factors hospitalised with COVID-19 (DARE-19): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2021; 9: 586-594. [PubMed]

COVID-19の入院患者においては,デキサメタゾン,プレドニゾロンなどが大量に使用され,たとえ軽症であっても糖尿病がある例では,大量のインスリンが必要となっていることをよく経験する。一部のDPP-4阻害薬にウイルス増殖阻止効果があることなど,基礎的な研究で認められてはいるが,臨床の現場では未だ有用性は証明されていない。この検討も同様である。【河盛隆造

●目的 心血管代謝危険因子を有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者において,急性期におけるSGLT2阻害薬dapagliflozinの臓器保護効果と安全性を検証した。
一次エンドポイントは,予防と回復。予防の複合エンドポイントは,投与30日間における臓器機能障害(呼吸代償不全*,心血管代償不全[新規/増悪のうっ血性心不全],腎臓代償不全)または全死亡。回復の複合エンドポイントは,30日後までの臨床状況の変化(回復は,30日後までに回復して退院[悪化なし/生存],または入院中でも悪化なし/酸素補給なしの場合と定義)。
*人工換気(侵襲性/非侵襲性の換気,持続的陽圧呼吸,または二相性陽圧呼吸)かつ/または体外膜型人工肺(ECMO)の導入と定義。
●デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設(95施設,アルゼンチン,ブラジル,カナダ,インド,メキシコ,イギリス,アメリカ),intention-to-treat解析(有効性),safety population(安全性)。
●試験期間 登録期間は2020年4月22日~2021年1月1日。試験期間は30日(投与期間)+60日(投与後追跡)(本論文は30日間での報告)。
●対象患者 COVID-19入院患者で心血管代謝危険因子(高血圧,2型糖尿病,アテローム動脈硬化性心血管疾患,心不全,慢性腎不全[eGFR 25~60 mL/分/1.73m2])を1つ以上有する1,250例。
平均年齢は61.4歳,女性42.6%,平均BMI 30.7 kg/m2。既往症:2型糖尿病50.9%,高血圧84.8%,アテローム動脈硬化性心血管疾患15.9%,心不全7.2%,慢性腎臓病6.6%,危険因子を2つ以上有する者48.9%。
登録基準:18歳以上,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染確認/疑いによる入院から4日未満,酸素補給下(<5L/分)での酸素飽和度≧94%,胸部X線でCOVID-19肺炎の所見。
除外基準:危篤(人工換気を要する,急性腎不全,昇圧薬を要する),eGFR<25 mL/分/1.73m2,1型糖尿病,糖尿病ケトアシドーシスの既往。
●方法 対象患者を,dapagliflozin群(10 mg 1日1回)(625例),プラセボ群(625例)に1:1にランダム化し,30日間投与。ランダム化には層別化(国)およびブロック法を用いた。

予防の一次エンドポイントの評価のため,Cox比例ハザードモデルを用いて,国で層別化し,年齢および性別で調整し,ハザード比(HR)および95%CIを算出した。
回復の複合一次エンドポイントの段階的な評価には,Cox回帰モデル(国で層別)より推算したwin ratioおよび95%CIを用いて解析し,ランク付けした。
●結果 予防の一次エンドポイントの追跡完了は1,237例。
治療の早期中止(死亡以外)はdapagliflozin群11.3%,プラセボ群10.7%。
一次エンドポイントである予防の複合(臓器不全+全死亡)は,dapagliflozin群70例(11.2%),プラセボ群86例(13.8%)で有意な差を認めなかった(HR 0.80,95%CI 0.58 to 1.10,p=0.17)。
臓器不全はdapagliflozin群64例(10.2%),プラセボ群80例(12.8%)(HR 0.80,95%CI 0.57 to 1.11),全死亡はdapagliflozin群41例(6.6%),プラセボ群54例(8.6%)(HR 0.77,95%CI 0.52 to 1.16)で,有意な群間差を認めなかった。
回復の一次エンドポイントは,dapagliflozin群547例(87.5%),プラセボ群532例(85.1%)と臨床的な改善がみられたが,統計的有意差は認められなかった(win ratio 1.09,95%CI 0.97 to 1.22,p=0.14)。
重篤な有害事象はdapagliflozin群65件(10.6%),プラセボ群82件(13.3%)であった。
●結論 心血管代謝危険因子を1つ以上有するCOVID-19入院患者において,dapagliflozinは臓器不全+全死亡の有意な抑制を認めず,臨床的回復の有意な改善も認めなかったが,忍容性は良好であった。