編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Tsapas A, Karagiannis T, Kakotrichi P, Avgerinos I, Mantsiou C, Tousinas G, Manolopoulos A, Liakos A, Malandris K, Matthews DR, et al.: Comparative efficacy of glucose-lowering medications on body weight and blood pressure in patients with type 2 diabetes: A systematic review and network meta-analysis. Diabetes Obes Metab. 2021; 23: 2116-2124. [PubMed]

糖尿病治療薬の選択においては,1970年UGDP研究の報告以来,tolbutamide,phenformin,rosiglitazoneの心血管系への悪影響が明らかにされている。
GPL-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬は心血管イベントの発生を抑制することが示され,2型糖尿病治療において高く位置付けられている。2019年のESC(European Society of Cardiology)とEASD(European Association for the Study of Diabetes)から発出されたガイドライン(Eur Heart J 2020; 41: 255-323)では,drug naïveで心血管疾患を有する者およびハイリスクの者では,SGLT2阻害薬あるいはGLP-1受容体作動薬をmetforminより先に用いるよう示されている。
GPL-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の心血管保護作用の機序の一つとして,体重減少あるいは降圧が指摘されており,本研究はネットワークメタアナリシスによりこれらの効果を確認した。
本研究では,用量の違いが考慮されていないこと,併用療法がさまざまであり,これらは併合解析の弱点と言える。
減量効果はベースラインの体重により異なるであろうから,このメタアナリシスの結果を日本人に適用する際には慎重さが求められる。また,減量効果が異なると降圧効果も異なる可能性があり,これも考慮すべき点であろう。【景山 茂】

●目的 成人2型糖尿病患者において,体重および血圧に対する血糖降下薬の効果を比較した。
●デザイン システマティックレビュー,ネットワークメタアナリシス。
●試験期間 追跡期間中央値26週(IQR 24 to 52)。
●対象患者 2型糖尿病患者276,336例(RCT 424件)。
平均年齢56.6歳,体重85.2 kg,収縮期血圧(SBP)132.1 mmHg,拡張期血圧(DBP)79.5 mmHg。
●方法 Medline,Embase,Cochrane Libraryより,体重,血圧に対する血糖降下薬(21種類,9クラス)の効果を検討した試験期間≧24週のRCTを検索した(2020年9月まで)。
頻度論に基づくネットワークメタアナリシスを実施し,用量が異なる介入群は1つの群にまとめて,加重平均差(WMD)および95%CIを算出した。また,CINeMA(Confidence In Network Meta-Analysis)frameworkを用いて,統合した推定値の信頼性を評価した。
●結果 体重減少に関する407研究(264,578例)を対象としたネットワークメタアナリシスでは,体重減少にもっとも有効な薬剤(vs. プラセボ)はsemaglutide皮下注(WMD -3.80 kg[95%CI -4.46 to -3.14])であり,次いでsemaglutide経口(WMD -2.41 kg[-3.13 to -1.69]),exenatide 1日2回(WMD -2.37 kg[-2.87 to -1.87]),liraglutide(WMD -2.37 kg[-2.75 to -1.98]),およびSGLT2阻害薬のempagliflozin(WMD -1.92 kg[-2.41 to -1.43]),canagliflozin(WMD -1.83 kg[-2.42 to -1.23]),dapagliflozin(WMD -1.82 kg[-2.23 to -1.41]),ertugliflozin(WMD -1.80 kg[-2.57 to -1.02]),他,の順となった。
SBPが報告されている204研究(165,639例)を対象としたネットワークメタアナリシスでは,SBPの低下にもっとも有効な薬剤群(vs. プラセボ)はSGLT2阻害薬(WMD -2.89 mmHg)とGLP-1受容体作動薬(WMD -2.33 mmHg)であった。個々の薬剤では,canagliflozin(WMD -3.38 mmHg[-4.27 to -2.49]),empagliflozin(WMD -3.29 mmHg[-4.16 to -2.41])であり,次いでsemaglutide経口(WMD -3.06 mmHg[-4.21 to -1.91]),semaglutide皮下注(WMD -2.93 mmHg[-3.97 to -1.90]),exenatide 1日2回(WMD -2.68 mmHg[-4.03 to -1.34]),ertugliflozin(WMD -2.66 mmHg[-3.86 to -1.47]),liraglutide(WMD -2.48 mmHg[-3.24 to -1.73]),dapagliflozin(WMD -2.34 mmHg[-3.08 to -1.59]),他,の順となった。MetforminではWMD -1.07 mmHg (-2.09 to -0.05),DPP4阻害薬ではWMD -0.73 mmHg (-1.29 to -0.16)で,他の薬剤は血圧に影響がなかった。
DBPの変化は191研究(142,591例)で報告され,ネットワークメタアナリシスでは,DBPの低下効果(vs. プラセボ)は,SGLT2阻害薬のempagliflozin(WMD -1.68 mmHg[-2.09 to -1.27])がもっとも高く,次いでdapagliflozin(WMD -1.45[-1.87 to -1.03]),canagliflozin(WMD -1.42[-1.78 to -1.05]),exenatide 1日2回(WMD -1.03[-1.73 to -0.33]),pioglitazone(WMD 1.02[-1.55 to -0.49]),他,の順となった。
試験期間が52週間以上のサブグループでは,semaglutideとSGLT2阻害薬は体重とSBPをともに低下させた。
●結論 semaglutide(経口,皮下注)とSGLT2阻害薬は,体重と血圧の両方を低下させ,その効果は1年以上持続した。これらの薬剤が,過体重/肥満および/または高血圧を合併する2型糖尿病患者の望ましい治療選択肢となる可能性が示唆された。