編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Cannon CP, Pratley R, Dagogo-Jack S, Mancuso J, Huyck S, Masiukiewicz U, Charbonnel B, Frederich R, Gallo S, Cosentino F, et al.; VERTIS CV Investigators: Cardiovascular Outcomes with Ertugliflozin in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2020; 383: 1425-1435. [PubMed]

FDAは2008年に,新規糖尿病治療薬を対象として心血管安全性評価を義務付けた。以来,多くの治療薬による動脈硬化性心血管疾患のリスク評価が発表されてきた。この論文もその一つであり,アテローム性動脈硬化症を合併する2型糖尿病患者において,MACEに関するSGLT2阻害薬ertugliflozinのプラセボに対する非劣性が認められた。
しかし,かかる臨床研究では,統計的処理のため,一例一例での詳細な検討はなされない。どのような例でMACEが発生したのかなど,膨大な個々の例での解析が今後行われるものと期待したい。最近発表されたpaper(Diabetes Care 2021; 44: e32–e34)では,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬,SGLT2阻害薬のCVOT研究において,メトホルミン併用群と非使用群での解析を行っているが,本CVOT研究では,メトホルミン併用群で,ertugliflozin追加分でのプラセボに対するHRは0.92(95.8%CI 0.79 to 1.07)であったのに対し,メトホルミン非使用群では,ertugliflozin追加分でのプラセボに対するHRは1.13(0.87 to 1.48),と差が認められている。
このような,さらなる解析結果を期待したい。そして,薬剤併用による相乗効果がどのような機序によるものなのか,などの解明に向かうことを願っている。【河盛隆造

●目的 アテローム性動脈硬化症を合併する2型糖尿病患者において,SGLT2阻害薬ertugliflozinの心血管・腎アウトカムに対する長期効果を検討した。
一次エンドポイントは,主要有害心血管イベント(MACE:心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の複合)。
おもな二次エンドポイントは,心血管死+心不全による入院の複合。
●デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設(567施設,34ヵ国)。
●試験期間 登録期間は2013年12月~2015年7月(コホート1),および2016年6月~2017年4月(コホート2)。追跡期間は2019年9~12月,平均3.5年(4.3年[コホート1],2.7年[コホート2])。
●対象患者 アテローム性動脈硬化症を合併する2型糖尿病患者8,246例(解析対象は試験薬を1回以上投与された8,238例)。
平均年齢はertugliflozin群64.4歳,プラセボ群64.4歳,男性70.3%,69.3%,HbA1c 8.2%,8.2%,糖尿病罹病期間12.9年,13.1年。既往症:冠動脈疾患75.4%,76.9%,脳血管疾患23.2%,22.3%,末梢動脈疾患18.7%,18.6%,心不全23.4%,24.5%,心筋梗塞47.7%,48.4%,冠動脈バイパス術22.2%,21.8%,PCI 41.8%,43.1%,脳卒中21.5%,20.3%。
登録基準:40歳以上,HbA1c 7.0~10.5%,アテローム性動脈硬化症(冠動脈,脳血管,末梢動脈)。
●方法 対象患者を,ertugliflozin 5 mg群,ertugliflozin 15 mg群,プラセボ群に1:1:1にランダム化。
標準治療(ランダム化から18週間は継続)への追加として,1日1回経口投与。

エンドポイントの解析ではertugliflozin 5 mg群と15 mg群を統合し,ertugliflozinのプラセボに対する非劣性を検証した(非劣性の閾値は,MACEのハザード比(HR)の95.6%CIの上限1.3とした)。安全性の評価ではertugliflozin 5 mg群,15 mg群,プラセボ群のそれぞれの値を示した。
●結果 一次エンドポイントであるMACEの発生は,ertugliflozin群653/5493例(11.9%),プラセボ群327/2745例(11.9%)で,ertugliflozin群のプラセボ群に対する非劣性が認められた(HR 0.97,95.6%CI 0.85 to 1.11,非劣性のp<0.001)。
心血管死+心不全による入院の複合は,ertugliflozin群444/5499例(8.1%),プラセボ群250/2747例(9.1%)(HR 0.88,95.8%CI 0.75 to 1.03,優越性のp=0.11)であった。その他,心血管死のHRは0.92(95.8%CI 0.77 to 1.11),複合腎アウトカム(腎臓死+腎移植+血清クレアチニン値の倍増の複合)のHRは0.81(0.63 to 1.04)であった。
安全性の評価では,切断はertugliflozin 5 mg群54例(2.0%),15 mg群57例(2.1%),プラセボ群45例(1.6%)であった。
●結論 アテローム性動脈硬化症を合併する2型糖尿病患者において,MACEに関するSGLT2阻害薬ertugliflozinのプラセボに対する非劣性が認められた。