編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bakris GL, Agarwal R, Anker SD, Pitt B, Ruilope LM, Rossing P, Kolkhof P, Nowack C, Schloemer P, Joseph A, et al.; FIDELIO-DKD Investigators: Effect of Finerenone on Chronic Kidney Disease Outcomes in Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2020; 383: 2219-2229. [PubMed]

MR拮抗薬による生命予後の改善や心血管系イベント抑制効果のエビデンスは,RALES試験EPHESU試験で示されている。今回のFIDELIO-DKD試験で,finerenoneは腎複合エンドポイントを有意に18%低下させた。また,二次エンドポイントである心血管複合エンドポイントを有意に14%低下させた。2型糖尿病を合併するCKD患者の治療で,RAS阻害薬とMR拮抗薬の併用療法により腎保護作用が証明され,二次的エンドポイントではあるが心血管イベントの抑制効果も認められたことの臨床的意義は極めて大きいといえる。安全性に関してもfinerenoneを中止せざるをえないような重篤な高カリウム血症の頻度は低かった。もう少し腎機能の軽症な症例で,心血管イベントを一次エンドポイントとして行われているFIGARO-DKD試験の結果も本年中に発表されるといわれており,新規の非ステロイド性MR拮抗薬への期待が膨らむところである。
今後,2型糖尿病を合併するCKD患者では,RAS阻害薬とMR拮抗薬を併用することが標準治療となる可能性があるが,SGLT2阻害薬のどちらを先に使用するのか,あるいはRAS阻害薬・SGLT2阻害薬・MR拮抗薬を併用するトリプルブロックか,これらの検討が待たれる。【片山茂裕

●目的 慢性腎臓病(CKD)を伴う2型糖尿病患者において,非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬finerenoneの腎臓/心血管アウトカムに対する長期効果を検討した。
一次エンドポイントは,腎不全*+eGFRの40%以上の持続的(ベースラインから4週間以上)低下+腎臓死の複合。
二次エンドポイントは,心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+心不全による入院の複合。
*末期腎不全は,慢性透析[90日以上]/腎移植またはeGFR<15 mL/分/1.73m2のいずれかの場合と定義。
●デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設(48ヵ国),第III相,有効性解析はfull analysis set。
●試験期間 登録期間は2015年9月~2018年6月,追跡期間中央値は2.6年。
●対象患者 CKD**を伴う2型糖尿病患者5,674例(解析対象)。
平均年齢65.6歳,男性70.2%,HbA1c 7.7%,糖尿病罹病期間16.6年,eGFR 44.3 mL/分/1.73m2,尿中ACR(中央値)852(四分位446~1634)mg/g。使用薬剤:ACE阻害薬34.2%,ARB 65.7%,利尿薬56.6%,スタチン74.3%,血糖降下薬(インスリン製剤64.1%,GLP-1受容体作動薬6.9%,SGLT2阻害薬4.6%)。
登録基準:18歳以上,CKD**の治療のためACE阻害薬/ARB(最大耐用量)を使用している者,血清カリウム値≦4.8 mmol/L。
**CKDは以下の①,②のいずれかの場合と定義:①アルブミン尿の持続的かつ中等度の上昇(ACR 30~<300 mg/g),eGFR 25~<60 mL/分/1.73m2,および糖尿病性網膜症の既往歴,②アルブミン尿の持続的かつ重度の上昇(ACR 300~<5000 mg/g),およびeGFR 25~<75mL/分/1.73m2
●方法 対象患者を,finerenone群,プラセボ群に1:1にランダム化。
finerenoneの用量は,eGFR 25~<60 mL/分/1.73m2の患者では10 mg 1日1回より開始し,eGFR≧60 mL/分/1.73m2の患者では20 mg 1日1回より開始した。
初回投与から1ヵ月後,血清カリウム値≦4.8 mmol/LでeGFR値が安定していれば,10 mgから20 mgへの増量を推奨。20 mgから10 mgへの減量は両群ともに随時許可。血清カリウム値>5.5 mmol/Lとなった場合は,両群ともに治療中止とした。
finerenoneのプラセボに対する優越性は,層別log-rank検定により評価し,層別因子には地域(北米,ラテンアメリカ,欧州,アジア,他),eGFR(25~<45,45~<60,≧60),アルブミン尿(中等度,重度上昇)を用いた。
●結果 試験薬中止はfinerenone群822例(29.0%),プラセボ群801例(28.2%)。
試験薬の平均投与量は,finerenone群15.1 mg/日,プラセボ群16.5 mg/日。
一次エンドポイントである腎不全+eGFRの40%以上の持続的低下+腎臓死の複合の発生は,finerenone群でプラセボ群にくらべ,有意に少なかった(504例[17.8%] vs. 600例[21.1%],HR 0.82[95%CI 0.73 to 0.93],p=0.001)。エンドポイントの項目ごとの検討においては,eGFRの40%以上の持続的低下がフィネレノン群で有意に少なかった(HR 0.81[0.72~0.92])。
複合二次エンドポイントである心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+心不全による入院の発生についても,finerenone群でプラセボ群にくらべ,有意に少なかった(367例[13.0%],420例[14.8%],HR 0.86[0.75~0.99],p=0.03)。エンドポイントの項目ごとの検討では,有意な差は認められなかった。
有害事象は両群同程度であり(finerenone群87.3% vs. プラセボ群87.5%),高カリウム血症による治療中止はfinerenone群でプラセボ群にくらべて多かった(2.3% vs. 0.9%)
●結論 CKDを伴う2型糖尿病患者において,finerenoneはプラセボにくらべ,CKDの進行および心血管イベントのリスクを減少させた。