編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Cherney DZI, Charbonnel B, Cosentino F, Dagogo-Jack S, McGuire DK, Pratley R, Shih WJ, Frederich R, Maldonado M, Pong A, et al.; VERTIS CV Investigators: Effects of ertugliflozin on kidney composite outcomes, renal function and albuminuria in patients with type 2 diabetes mellitus: an analysis from the randomised VERTIS CV trial. Diabetologia. 2021; 64: 1256-1267. [PubMed]

VERTIS CV試験では,ertugliflozinのプラセボに対する複合的腎アウトカム(血清クレアチニン値の倍増+腎透析/移植+腎臓死)のHRは0.81(95%CI 0.63 to 1.04)であった。VERTIS CV試験における,事前に設定された探索的複合腎アウトカム(eGFRの40%以上の持続的低下+長期腎透析/移植+腎臓死)についての今回の事後解析では,ertugliflozin群のプラセボ群に対するHRは0.66(95%CI 0.50 to 0.88)と有意に低かった。加えて,尿中アルブミン/クレアチニンも減少し,eGFRの低下度も緩やかになった。この効果は,顕性アルブミン尿群やKDIGO CKDカテゴリーでの高/超高リスク群で大であった。血清クレアチニン値の倍増は,eGFRの54%の低下に相当するので,今回の探索的複合腎アウトカムで用いられたeGFRの40%以上の持続的低下は,腎機能低下のより軽度な例もアウトカムとして捉えることとなる。しかしながら,腎機能低下のリスクが低い集団では,より鋭敏な指標となりうるといえるかもしれない。SGLT2阻害薬でしばしば報告され懸念されるAKIの発症率は,今回の検討ではプラセボ群と同等であった。
他のSGLT2阻害薬を用いた心血管アウトカム試験と同様に,ertugliflozinの腎保護作用が明らかにされた報告といえよう。【片山茂裕

●目的 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を合併する2型糖尿病患者において,腎アウトカムに対するertugliflozinの効果をベースラインの腎機能別に検討し,急性腎不全関連有害事象の発生に対するertugliflozinの効果を評価した。
複合腎アウトカムは,血清クレアチニン値の倍増+腎透析/移植+腎臓死。
事前設定の探索的複合腎アウトカムは,eGFRの40%以上の持続的低下+長期腎透析/移植+腎臓死。
●デザイン VERTIS CV試験(ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設)のサブ解析。
●試験期間 試験開始は2013年。追跡期間は平均3.5±1.2年。
●対象患者 ASCVDを合併する2型糖尿病患者で,eGFR≧30 mL/分/1.73 m2の8,246例。
●方法 対象患者を,ertugliflozin 5mg群,ertugliflozin 15mg群,プラセボ群にランダム化し,既存の標準治療に追加投与。
本解析では,ertugliflozin群を統合(統合ertugliflozin群5,499例,プラセボ群2,747例)。
ベースラインのeGFR,尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR),KDIGO慢性腎臓病(CKD)リスク別のサブグループに分類*
*eGFRカテゴリーは≧90mL/分/1.73m2(CKDステージ1),60~<90mL/分/1.73m2(CKDステージ2),<60mL/分/1.73m2(CKDステージ3)。UACRカテゴリーは<30mg/g(正常アルブミン尿),30~≦300mg/g(微量アルブミン尿),>300mg/g(顕性アルブミン尿)。KDIGO CKDカテゴリーは低リスク,中等リスク,高/超高リスク。
●結果 複合腎アウトカムのイベント発生率は,ertugliflozin群9.3件/1000人・年,プラセボ群11.5件/1000人・年(HR 0.81,95%CI 0.63 to 1.04)。
探索的複合腎アウトカム(eGFRの40%以上の持続的低下+長期腎透析/移植+腎臓死)のイベント発生率は,ertugliflozin群6.0件/1000人・年,プラセボ群9.0件/1000人・年であった(HR 0.66,95%CI 0.50 to 0.88)。
アルブミン尿カテゴリーの増悪/回帰について,ertugliflozin群はプラセボ群に比べ,アルブミン尿カテゴリーの増悪リスクを低下させ(アルブミン尿増悪のイベント率:94.8 vs 120.7件/1000人・年,HR 0.79,95%CI 0.72 to 0.86),アルブミン尿カテゴリーの回帰を増大させた(微量/顕性アルブミン尿カテゴリー回帰のイベント率:87.7 vs 72.3件/1000人・年,HR 1.23,95%CI 1.10 to 1.36)。
UACRの経時的変化について,ertugliflozin群はプラセボ群に比べてUACRの低下と関連し,60ヵ月後のプラセボ調整変化率は-16.2%(95%CI -23.9 to -7.6)であった。
eGFRの経時的変化について,ertugliflozin群はプラセボ群に比べてeGFRの低下を軽減し,60ヵ月後のプラセボ群に対する最小二乗平均変化は2.55 mL/分/1.73 m2(95%CI 1.50 to 3.61)であった。
急性腎不全関連の有害事象を認めた患者の割合は,ertugliflozin群4.2%,プラセボ群4.7%であった(イベント率:14.5 vs 16.9件/1000人・年,HR 0.87,95%CI 0.70 to 1.07)。
●結論 ASCVDを合併する2型糖尿病患者において,ertugliflozinは事前設定の探索的複合腎アウトカムのリスクを低下させ,eGFRを維持し,UACRを低下させた。