編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Cosentino F, Cannon CP, Cherney DZI, Masiukiewicz U, Pratley R, Dagogo-Jack S, Frederich R, Charbonnel B, Mancuso J, Shih WJ, et al.; VERTIS CV Investigators: Efficacy of Ertugliflozin on Heart Failure-Related Events in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus and Established Atherosclerotic Cardiovascular Disease: Results of the VERTIS CV Trial. Circulation. 2020; 142: 2205-2215. [PubMed]

SGLT2阻害薬の心血管イベントに対する効果を検定したこれまでの研究では,いずれも主要評価項目は心血管死,非致死性心筋梗塞及び非致死性脳卒中からなる複合エンドポイントである。
この結果,EMPA-REG OUTCOME(empagliflozin)及びCANVAS Program (canagliflozin)では,プラセボと比較して優越性が検証された。一方,DECLARE-TIMI 58および本研究VERTIS CVにおいて,非劣性は検証されたが優越性は検証されなかった。本論文はVERTIS CVの二次エンドポイントに関する報告であり,心不全の重症度,左室駆出率,腎機能,利尿薬については分析をしている。
SGLT2阻害薬が心血管疾患に保護的に働くことはclass effectと考えられているが,臨床試験毎の結果の違いが何によるものかについては,心機能や利尿薬のみならず,被験者背景,併用している糖尿病治療薬等についても分析する必要があろう。【景山 茂】

●目的 アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)を有する2型糖尿病患者において,心不全(HF)関連アウトカムに対するertugliflozinの効果を検討した。
本解析のエンドポイントは,初回のHFによる入院(HHF)*,全HHF/CV死。
*HHFの定義は,HFの一次診断での入院,入院期間≧24時間,新規HF症状/HF症状の悪化のエビデンスの記載,新規HF/HF悪化の身体・検査・診断基準,HF特異的治療の開始/強化。
●デザイン VERTIS CV試験(ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設)のサブ解析。
●試験期間 試験開始は2013年。追跡期間は平均3.5年(中央値3.0年)。
●対象患者 ASCVD(冠動脈・脳血管・末梢血管疾患)を合併する2型糖尿病(HbA1c 7.0~10.5%)患者8,246例。
HF既往を有するのは1,958例(EF≦45%は478例,EF>45%は1,007例,EF不明は473例),HF既往を有さないのは6,288例。
除外基準:2016年に行われた試験計画書修正前のコホート1ではNYHA心機能分類III~IV,2016年以降のコホート2ではNYHA心機能分類IV。
●方法 対象患者を,ertugliflozin 5mg群,ertugliflozin 15mg群,プラセボ群に1:1:1にランダム化し,既存の標準治療に1日1回追加投与。
ertugliflozin群を統合した解析を実施(統合ertugliflozin群5,499例,プラセボ群2,747例)。
コホートを層別因子,治療を説明因子とした層別化Cox比例ハザードモデルを用いて,初回イベントまでの期間を解析し,ハザード比(HR)と95%CIを算出。Fine-Gray法を用いて,初回HHF/CV死(複合)の解析における非CV死および初回HHFの解析における全死亡の競合リスクを調整。再発イベントの解析にはAndersen-Gill法を用いて,率比(RR)と95%CIを算出。
●結果 初回HHFについて,ertugliflozinはリスクを有意に低下させ,プラセボに対するHRは統合ertugliflozin群で0.70(95%CI 0.54 to 0.90,p=0.006),ertugliflozin 5mg群で0.71(95%CI 0.52 to 0.97,p=0.028),ertugliflozin 15mg群で0.68(95%CI 0.50 to 0.93,p=0.015)であった。
初回HHF/CV死について,ertugliflozinによる有意なリスク低下は認めず,プラセボに対するHRは,統合ertugliflozin群で0.88(95%CI 0.75 to 1.03,p=0.109),ertugliflozin 5mg群で0.89(95%CI 0.74 to 1.06,p=0.190),ertugliflozin 15mg群で0.88(95%CI 0.73 to 1.05,p=0.150)であった。
ベースラインのHF既往とCV疾患で調整してイベント数を患者数で補正した解析において,ertugliflozinはプラセボに比べて全HHFリスクを有意に低下させ(RR 0.70,95%CI 0.56 to 0.87,p=0.001),全HHF/CV死リスクを有意に低下させた(RR 0.83,95%CI 0.72 to 0.96,p=0.011)。
HF既往は初回HHFリスクに対するertugliflozinの効果に影響せず,プラセボに対するHRは,HF既往患者0.63(95%CI 0.44 to 0.90),非既往患者0.79(95%CI 0.54 to 1.15)であった(相互作用のp=0.40)。
試験前のEFは初回HHFリスクに対するertugliflozinの効果に影響せず,プラセボに対するHRは,EF≦45%の患者0.48(95%CI 0.30 to 0.76),EF>45%の患者0.86(95%CI 0.58 to 1.29),EF不明の患者0.75(95%CI 0.45 to 1.25)であった(相互作用のp=0.15)。
サブグループ解析において,ベースラインのeGFR<60mL/分/1.73m2,アルブミン尿,利尿薬使用,ループ利尿薬使用は,初回HHFに対するertugliflozinのリスク低下効果を有意に増大させた(相互作用のpはそれぞれ0.04,0.04,0.02,0.01)。
●結論 2型糖尿病患者において,ertugliflozinは初回/全HHFおよび全HHF/CV死のリスクを低下させることが示された。