編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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van der Aart-van der Beek AB, van Raalte DH, Guja C, Hoogenberg K, Suchower LJ, Hardy E, Sjöström CD, Heerspink HJL: Exenatide once weekly decreases urinary albumin excretion in patients with type 2 diabetes and elevated albuminuria: Pooled analysis of randomized active controlled clinical trials. Diabetes Obes Metab. 2020; 22: 1556-1566. [PubMed]

いくつかのGLP-1受容体作動薬が尿中アルブミン排泄量を減少させたり,eGFRの低下を遅延させたりすることが,心血管アウトカム試験で示されてきた。週1回投与のexenatide製剤の心血管アウトカム試験( EXSCEL)では,3P-MACEはプラセボ群に対して非劣性ではあったが,優越性は証明できなかった。一方,腎イベントについては,eGFRの40%以上の低下・腎代替療法・腎死からなる通常用いられる腎複合エンドポイントでは有意差がえられなかっが,これに顕性アルブミン尿の新規発症を加えるとそのハザード比が0.85(p=0.03)と報告された(Diabetes Care 2020; 43: 446-452)。
本検討では,週1回投与のexenatide製剤が腎機能にどのような影響を与えるのか,6つの試験を統合して解析している。経口血糖降下薬やインスリン投与群と比較しても,尿中アルブミン排泄量の減少効果が明らかであった。この作用は,HbA1c・eGFR・SBPの変化で調整しても同等であったが,体重の変化で調整した場合には減弱した。また,レニン-アンジオテンシン系阻害薬の使用とは独立した作用であった。今回の統合解析に含まれた6つの試験では,観察期間は26/28週と短く,尿アルブミンの測定も試験開始時と終了時のみであり,eGFR<60 mL/分/1.73m2の症例の数が少ないなどの限界があった。今後,さらなる検討が求められる。【片山茂裕

●目的 アルブミン尿が増加した2型糖尿病患者において,exenatide週1回皮下注が尿中アルブミン・クレアチニン比(UACR)および推算糸球体濾過量(eGFR)に与える影響を検討した。
主要エンドポイントは,ベースラインから26/28週後のUACRの変化率。
その他のエンドポイントは,ベースラインから26/28週後のHbA1c,収縮期血圧(SBP),体重,eGFRの絶対平均変化。
●デザイン 第III相ランダム化比較試験(RCT)のpost hoc統合解析。
●試験期間 追跡期間は5つの試験では26週間,他の1つの試験が28週間であり,これらを統合して解析したため,26/28週と表記。
●対象患者 6つのRCT(DURATION 2,DURATION 3,DURATION 4,DURATION-NEO-2,H8O-JE-GWBX,H8O-EW-GWDL)のいずれかに参加した,UACR≧30 mg/gの2型糖尿病患者468例(exenatide群194例,対照群274例)。
平均年齢はexenatide群55.0歳,対照群55.2歳,男性60.8%,67.2%,UACR中央値68.2 mg/g,72.2 mg/g,平均eGFR 78.9 mL/分/1.73m2,79.6 mL/分/1.73m2,ステージ3慢性腎臓病21.1%,17.5%,平均HbA1c 8.6%,8.5%,糖尿病の平均罹病期間7.4年,7.0年。
●方法 6つのRCTを統合し,exenatide 2mg 週1回皮下注と対照薬(インスリン[glargine,detemir],経口血糖降下薬[sitagliptin,metformin,pioglitazone])を比較した。UACR値は対数変換し,ベースラインから26/28週後までの変化率は,共分散分析モデル(試験および治療群の固定カテゴリー効果,および対数変換したベースラインUACRの連続共変量を含む)を用いて解析した。
●結果 RCT 6件を統合した結果,主要エンドポイントであるベースラインから26/28週後の調整平均UACR変化率(ベースラインUACR,試験,治療群で調整)は,exenatide群-55.5%(95%CI-62.1 to -47.7),対照群-39.7%(95%CI -47.8 to -30.2)と,exenatide群で対照群に比べて26.2%低下した(95%CI -39.5 to -10.0)。そのうち,インスリンに関するRCT 3件の統合では,exenatide群で対照群にくらべ23.8%の低下(95%CI -41.8 to -0.2),経口血糖降下薬に関するRCT 3件の統合では29.6%の低下(95%CI -47.6 to -5.3)であった。また,UACRに対するexenatideの効果は,ベースラインのレニン-アンジオテンシン系阻害薬の使用とは独立していた(p for interaction=0.782)。
その他のエンドポイントについて,対照群に対するexenatide群の26/28週後の調整平均変化は,HbA1cで-0.41%(95%CI -0.58 to -0.23),体重で-2.8kg(95%CI -3.4 to -2.2),SBPで-2.6mmHg(95%CI -4.8 to -0.5),eGFRで-1.77mL/分/1.73m2(95%CI -4.76 to 1.23)であった。
HbA1c,eGFR,SBPの変化を調整した場合,対照群に対するexenatide群のUACR低下効果は持続したが(調整平均変化率-21.5%[95%CI -35.8 to -3.9]),さらに体重の変化を調整するとexenatideのUACR低下効果が減少した(調整平均変化率-13.0%[95%CI -29.9 to 7.8])。
●結論 アルブミン尿が増加した2型糖尿病患者において,exenatideは使用頻度の高い他の血糖降下薬に比べてUACRを低下させた。