編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2021年3月現在,1253報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Oshima M, Neuen BL, Li J, Perkovic V, Charytan DM, de Zeeuw D, Edwards R, Greene T, Levin A, Mahaffey KW, et al.: Early Change in Albuminuria with Canagliflozin Predicts Kidney and Cardiovascular Outcomes: A PostHoc Analysis from the CREDENCE Trial. J Am Soc Nephrol. 2020; 31: 2925-2936. [PubMed]

RAS系阻害薬が2型糖尿病患者の末期腎不全や心血管イベントを減少させることが多くの試験で示されてきた。その際,最初の数ヵ月間でのアルブミン尿の減少の程度が腎臓や心血管イベントの減少と相関することも示されてきた。
本報告は,SGLT2阻害薬であるcanagliflozinとプラセボを比較したCREDENCE(Canagliflozin and Renal Events in Diabetes with Established Nephropathy Clinical Evaluation)試験において,早期のアルブミン尿の減少が最終的な長期の腎臓や心血管イベントの減少を予測できるかを検討したpost hoc解析である。開始時に比べて26週時点での30%のアルブミン尿の減少は,腎アウトカムの29%減少,3MACEの8%減少,心不全あるいは心血管死の19%の減少をもたらした。アルブミン尿の減少の寄与度は,腎アウトカム・3MACE・心不全あるいは心血管死の減少のそれぞれ47.5%・36.1%・41.0%を占めるという。
また,本報告でもう一つ重要なのは,26週時点で残存しているアルブミン尿の程度が,最終的な腎臓や心血管イベントと相関することも示されたことである。
本検討から,糖尿病性腎症の治療にあたっては,約6ヵ月までの治療開始早期に,アルブミン尿を開始時の30%以上減少させることと同時に,その時点でアルブミン尿をどの程度まで減少させられているかが重要であるといえる。【片山茂裕

●目的 慢性腎臓病(CKD)を伴う2型糖尿病患者において,canagliflozin治療後早期のアルブミン尿の変化と長期の心血管(CV)/腎アウトカムの関連性を検討した。
一次腎アウトカムは,ESKD(30日以上の透析,腎移植,30日以上持続するeGFR<15mL/分/1.73m2)+30日以上持続するベースラインからの血清クレアチニン倍加+腎死の複合。
一次CVアウトカムは,主要有害CVイベント(MACE:心血管死+非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中の複合),心不全による入院+CV死の複合。
●デザイン CREDENCE(ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設[34ヵ国,690施設])のpost hoc解析。
●試験期間 登録期間は2014年3月~2017年5月。最終評価時(2018年10月30日)までの追跡期間中央値は2.6年。
●対象患者 CREDENCEに参加したCKDを伴う2型糖尿病患者4,401例のうち,アルブミン尿の早期変化の完全データ等が得られた3,836例(87.2%)。
登録基準:≧30歳,HbA1c 6.5~12.0%,eGFR 30~<90mL/分/1.73m2,尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)300~5000mg/g,割り付け前に最大耐用量または表示用量のレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬が4週以上投与されていること。
●方法 CREDENCEでは,eGFRカテゴリ(30~<45,45~<60,60~<90mL/分/1.73m2)で層別化後,canagliflozin 100mg/日群,プラセボ群に割り付け。
本解析では,UACR変化を定義する閾値を30%とした。
●結果 canagliflozin群ではプラセボ群に比べ,26週目の幾何平均UACRを31%低下させた。canagliflozin群による26週目のUACR低下>30%のオッズ比(OR)は2.69(95%CI 2.35 to 3.07),UACR上昇≧30%のORは0.41(95%CI 0.36 to 0.48)であった(いずれもp<0.001)。また,canagliflozin群ではプラセボ群に比べ,26週目のアルブミン尿が非ネフローゼからネフローゼ域へ進行するORは0.52に低下し,顕性アルブミン尿を微量あるいは正常アルブミン尿へ寛解させるORは1.85に増加していた(いずれもp<0.001)。
26週目のUACRの低下30%は,一次腎アウトカム(HR 0.71[95%CI 0.67 to 0.76]),MACE(HR 0.92[95%CI 0.88 to 0.96]),心不全による入院/CV死(HR 0.86[95%CI 0.81 to 0.90])とそれぞれ有意に関連した(すべてp<0.001)。canagliflozin群とプラセボ群で分けた解析でも,両群ともに早期UACR変化と腎/CVアウトカムリスクとの関連は有意であり,腎アウトカムとの関連はcanagliflozin群のほうが強かった。
26週目のUACRが>1,000 mg/gであった患者の割合は,canagliflozin群33.2%,プラセボ群46.5%で(p<0.001),治療群にかかわらず,26週目の残存UACRと腎/CVアウトカムには強力な相関が認められた。
●結論 CKDを伴う2型糖尿病患者において,canagliflozinは早期に持続的にアルブミン尿を減少し,この効果は長期の腎/CVアウトカムと独立して関連することが示された。