編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Marsico F, Paolillo S, Gargiulo P, Bruzzese D, Dell'Aversana S, Esposito I, Renga F, Esposito L, Marciano C, Dellegrottaglie S, et al.: Effects of glucagon-like peptide-1 receptor agonists on major cardiovascular events in patients with Type 2 diabetes mellitus with or without established cardiovascular disease: a meta-analysis of randomized controlled trials. Eur Heart J. 2020; 41: 3346-3358. [PubMed]

GLP-1受容体作動薬投与と心血管イベント発症との関連を検討した前向き臨床研究のメタ解析の結果,GLP-1受容体作動薬は心血管疾患を有する患者と心血管危険因子のみを有する患者間で有意差なく,3P-MACEリスクを低下させることが明らかになった。3P-MACEリスクに関して,各トライアル間での結果において異質性を認めるが,薬剤間の効果の差というよりも,ELIXAで急性冠症候群発症後6ヵ月以内の患者のみをリクルートしたこと,EXSCELで治療中断率が高いことの方が影響している可能性が高い。【綿田裕孝

●目的 心血管疾患を有する/有さない2型糖尿病患者において,GLP-1受容体作動薬の有効性と安全性を検討した。
一次エンドポイントは,主要有害心血管イベント(3P-MACE:心血管死+非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中の複合)。
二次エンドポイントは,心血管死,致死的/非致死的心筋梗塞,致死的/非致死的脳卒中,全死亡,心不全による入院。
●デザイン ランダム化比較試験(第III相,プラセボ対照,心血管アウトカム試験)のメタ解析。
●試験期間 追跡期間中央値は1.3~5.4年。
●対象患者 成人2型糖尿病患者56,004例,RCT 7件(ELIXA,LEADER,SUSTAIN-6,EXSCEL,HARMONY,REWIND,PIONEER-6)。
女性36±5%,平均年齢63.8±2.2歳,BMI 32.1±0.9 kg/m2,糖尿病罹病期間12.6±2.1年,HbA1c 8.2±0.6%。
論文の採用基準:既知のCV疾患を有する/有さない糖尿病患者においてGLP-1受容体作動薬とプラセボの有効性と安全性を比較し,一次エンドポイントが3P/4P-MACE,心血管死,非致死的心筋梗塞および脳卒中,心不全による入院の試験。第III相プラセボ対照ランダム化試験。2012年1月~2019年12月に発表された文献。
論文の除外基準:観察的非ランダム化試験,レジストリ,結果のない進行中の試験,重複シリーズ,メタアナリシス,アブストラクト,ほか。
●方法 PubMed,Embase,Cochrane,ISI Web of Science,SCOPUS,clinicaltrial.govデータベース(2019年6月17日~2019年12月16日)より,以下の検索語を用いて検索。
‘glucagon-like peptide-1 receptor agonists’, ‘GLP-1 agonist’, ‘lixisenatide’, ‘liraglutide’, ‘semaglutide’, ‘exenatide’, ‘albiglutide’, ‘dulaglutide’, ‘placebo’, ‘cardiovascular disease’, ‘ardiovascular risk factors’, ‘randomized controlled trials’
研究間の統計学的異質性は,Cochrane Q統計量とI2統計量を用いて評価。研究間の全変動率の評価には,標本誤差(I2)でなく標準閾値を考慮(I2:≦25%は低度異質性,26~50%は中等度異質性,≧50%は高度異質性)。
●結果 心血管疾患を有する患者と心血管危険因子のみを有する患者では,3P-MACEリスクに有意差はなく(5試験[14,008例]:統合HR 1.06,95%CI 0.85 to 1.34,p=0.495),両者に効果差はないことが示された。
GLP-1受容体作動薬はプラセボに比し,3P-MACE(HR 0.88,95%CI 0.80 to 0.96,p=0.011;I2=39%),CV死(HR 0.88,95%CI 0.79 to 0.98,p=0.025;I2=8%),全死亡(HR 0.89,95%CI 0.81 to 0.97,p=0.019;I2=18%),致死的/非致死的脳卒中(HR 0.84,95%CI 0.76 to 0.94,p=0.008;I2=0%),HFによる入院(HR 0.92,95%CI 0.86 to 0.97,p=0.014;I2=0%)のリスクを有意に低下したが,致死的/非致死的心筋梗塞リスクの低下は有意でなかった(HR 0.91,95%CI 0.82 to 1.02,p=0.082;I2=31%)。
GLP-1受容体作動薬による重度低血糖(オッズ比[OR]0.90,95%CI 0.65 to 1.25,p=0.474;I2=71%),膵炎(OR 1.06,95%CI 0.74 to 1.52,p=0.708;I2=0%),膵癌(OR 1.06,95%CI 0.48 to 2.37,p=0.856;I2=45%)の有意なリスク増大は認めなかった。
●結論 心血管疾患を有する/有さない2型糖尿病患者において,GLP-1受容体作動薬はMACE,心血管死,全死亡,脳卒中,心不全による入院のリスクを有意に低下し,心筋梗塞のリスクを低下する傾向が認められた。