編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Heerspink HJL, Stefánsson BV, Correa-Rotter R, Chertow GM, Greene T, Hou FF, Mann JFE, McMurray JJV, Lindberg M, Rossing P, et al.; DAPA-CKD Trial Committees and Investigators: Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. N Engl J Med. 2020; 383: 1436-1446. [PubMed]

2型糖尿病患者におけるSGLT2阻害薬の腎保護作用は,EMPA-REG OUTCOMECANVAS program DECLARE-TIMI 58試験で報告され,CREDENCEにおいて腎機能のより低下した2型糖尿病患者でもその有効性が報告された。このDAPA-CKD (Dapagliflozin and Prevention of Adverse Outcomes in Chronic Kidney Disease)では,腎機能低下を伴う2型糖尿病患者のみならず,非糖尿病患者を含めて,dapagliflozinの腎機能と心血管疾患への影響を検討したはじめての試験である。その結果,dapagliflozinは腎臓と心血管死からなる複合一次エンドポイントを全体ではHR 0.61と有意に減少させた。二次エンドポイントである複合腎エンドポイントあるいは複合心エンドポイント(心血管死+心不全による入院)についても,dapagliflozinはHRをそれぞれ 0.56と0.71と有意に減少させた。一次エンドポイントについて,糖尿病患者と非糖尿病患者で層別しても,HRはそれぞれ0.64と0.50であり,非糖尿病患者においても,dapagliflozinの腎・心保護作用が証明された。また,eGFR 45 ml/分/1.73m2未満か以上か,ACR 1000未満か以上かで層別しても,両群でdapagliflozinの腎・心保護作用に差異はなかった。
今回の対象は非糖尿病患者が32.5%であり,eGFRが30 ml/分/1.73m2未満が14.5%含まれており,より広い対象でdapagliflozinの有効性が示された臨床的意義は大きいといえる。これに先立ち,DAPA-HF (Dapagliflozin and Prevention of Adverse Outcomes in Heart Failure) trialで心不全を伴う2型糖尿病患者および非糖尿病患者を含む患者層でdapagliflozinの複合心エンドポイント(心血管死+心不全による入院)に対する有効性が報告されている。今後,CKDや心不全を伴う非糖尿病患者においても,心・腎保護作用を期待してSGLT2阻害薬が広く臨床応用されるであろう。SGLT2阻害薬の,心・腎保護作用の作用機序については,ナトリウム利尿作用や糸球体高血圧改善作用や尿細管での虚血の改善などが挙げられているが,さらなる解明が求められる。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病の有無を問わない慢性腎臓病患者において,dapagliflozin 10 mg 1日1回投与の効果を検討した。
一次エンドポイントは,eGFR≧50%の持続的減少(28日後以降の血清クレアチニンにより評価)+末期腎不全(28日後以降の評価で,28日以上の維持透析,腎臓移植,eGFR<15 mL/分/1.73m2となった場合と定義)+腎疾患死+心血管死の複合。
二次エンドポイントは,eGFR≧50%の持続的減少+末期腎不全+腎疾患死の複合,および心血管死+心不全による入院の複合。
●デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設(386施設,21ヵ国)。
●試験期間 登録期間は2017年2月2日~2020年6月12日(2020年3月26日に早期中止,有効性解析のカットオフ日は4月3日となった),追跡期間は中央値2.4年(四分位範囲2.0~2.7)。
●対象患者 2型糖尿病の有無を問わない慢性腎臓病(eGFR 25~75 mL/分/1.73 m2,アルブミン・クレアチニン比[ACR]200~5,000 mg/g)の患者4,304例。平均年齢61.8歳,女性33.1%,eGFR 43.1 mL/分/1.73m2,尿中ACR 949,2型糖尿病67.5%。
登録基準:ACE阻害薬/ARBを安定用量にて4週間以上投与している者(但し,服用不能な患者は登録可)。
除外基準:1型糖尿病,多発性嚢胞腎,ループス腎炎,抗好中球細胞質抗体関連の血管炎,過去6ヵ月以内における原発性/続発性腎疾患に対する免疫療法歴。
●方法 対象患者をdapagliflozin群(10 mg,2,152例),プラセボ群(2,152例)に1:1にランダム化。
2型糖尿病(有/無),ACR比(≦1,000/>1,000)による層別ランダム割付け。
●結果 dapagliflozin群でプラセボ群をはるかに上回る有効性が認められたため,独立データモニタリング委員会の勧告に従い,試験は早期終了となった。
死亡以外の薬剤中止はdapagliflozin群274例,プラセボ群309例。全体での試験完遂は4,289例(99.7%)。
中央値2.4年における複合一次エンドポイントの発生は,dapagliflozin群197例(9.2%),プラセボ群312例(14.5%)であった(ハザード比[HR] 0.61[95%CI 0.51 to 0.72,p<0.001],治療必要症例数[NNT] 19[95%CI 15 to 27])。
dapagliflozin群(vs.プラセボ群)における,持続的なeGFR≧50%の減少+末期腎不全+腎疾患死の複合二次エンドポイントのHRは0.56(95%CI 0.45 to 0.68,p<0.001),心血管死+心不全による入院の複合二次エンドポイントのHRは0.71(95%CI 0.55 to 0.92,p=0.009)であった。全死亡はdapagliflozin群で101例(4.7%),プラセボ群で146例(6.8%)であった(HR 0.69[95%CI 0.53 to 0.88,p=0.004])。
dapagliflozinの効果は,2型糖尿病患者,非2型糖尿病患者ともに,同様に認められた。
また,dapagliflozinの安全性プロファイルは,過去の報告と同様であることが確認された。
●結論 慢性腎臓病の患者では,2型糖尿病の有無を問わず,持続的なeGFR≧50%の減少+末期腎不全+腎疾患死+心血管死の複合エンドポイントは,dapagliflozin群でプラセボ群にくらべ,有意に低いことが示された。