編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Yamada Y, Katagiri H, Hamamoto Y, Deenadayalan S, Navarria A, Nishijima K, Seino Y, ; PIONEER 9 investigators: Dose-response, efficacy, and safety of oral semaglutide monotherapy in Japanese patients with type 2 diabetes (PIONEER 9): a 52-week, phase 2/3a, randomised, controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2020; 8: 377-391. [PubMed]

対象患者は日本人2型糖尿病患者であり,平均HbA1c 8.0~8.3%,BMI 25~27,BW 68~75 kgであった。HbA1cの低下度は結果のごとくであったが,注目された体重の変化はsemaglutide 14 mg群においてのみ,期間中に2.5~3 kgの減少がみられた。
注射GLP-1受容体作動薬でも認められない体重減少が経口剤でのみ認められる作用機序の解明が必要であろう。腸でのGLP-1受容体を介して,脳での食欲中枢に働きかけ,満腹感を高め,摂食量が減った結果なのか,腸管での食物消化・吸収の抑制があったのか,それ以外の機序が秘められているのか,今後の臨床研究が待たれる。【河盛隆造】   

●目的 食事・運動療法のみの日本人2型糖尿病患者において,経口semaglutideの用量反応関係を検討し,さらに経口semaglutideの有効性と安全性をプラセボおよびGLP-1受容体作動薬皮下注射と比較した。
一次エンドポイントはベースラインから26週後までのHbA1cの変化。
●デザイン ランダム化,二重盲検(semaglutide群,プラセボ群),オープン(liraglutide群),多施設(16施設,日本),第II/IIIa相。
●試験期間 登録期間は2017年1月10日~7月11日,試験期間は52週,追跡期間は治療後5週間。
●対象患者 食事・運動療法のみ(HbA1c 7.0~10.0%),または経口血糖降下薬単独投与下(HbA1c 6.5~9.5%)の日本人2型糖尿病患者243例。
平均年齢59歳,男性79%,HbA1c 8.2%,糖尿病罹病期間7.6年,体重71.1 kg。経口血糖降下薬(metformin,DPP-4阻害薬など)投与下38%。
採用基準:20歳以上,診断後30日以上経過,経口血糖降下薬を使用している場合は最大承認用量の50%以下を安定用量として投与している者。
除外基準:週1回GLP-1受容体作動薬/週1回DPP-4阻害薬/チアゾリジンジオンをスクリーニング前90日以内に使用していた者,重篤な腎機能障害(eGFR<30 mL/分/1.73m2),緊急治療を要する増殖網膜症または黄斑症。
●方法 食事・運動療法のみ実施例は2週間のスクリーニング後,経口血糖降下薬使用例は8週間のスクリーニング・washout期間を設けた。
その後,全例をsemaglutide 3 mg群(49例),semaglutide 7 mg群(49例),semaglutide 14 mg群(48例),プラセボ群(49例), liraglutide群(48例)に1:1:1:1:1にランダム化。経口血糖降下薬の使用有無による層別化を実施。
semaglutideは3 mg 1日1回から開始し,7 mg群と14 mg群は,各維持用量に達するまで4週間ごとに漸増した。いずれも朝1日1回,空腹時に経口投与し(飲料水≦120mL),投与後30分間は食事/他の薬剤の服用を控えることとした。
liraglutide皮下注射は0.3 mg 1日1回から開始し, 1週後,2週後に,日本で承認されている最大用量(0.9 mg)になるまで漸増。
一次エンドポイントは“治療薬estimand”(治療中止例およびレスキュー治療導入例を除外)による解析,二次エンドポイントは“治療方針estimand”(治療中止またはレスキュー治療導入に関わらず,割付けした全例を含む:intention-to-treat解析)による解析を実施した。
●結果 ベースラインから26週後までのHbA1cの変化において,経口semaglutideの用量依存性が示された(平均変化:3 mg群-1.1%[SE 0.1],7 mg群-1.5%[0.1],14 mg群-1.7%[0.1],プラセボ群-0.1%[0.1],liraglutide群-1.4%[0.1])。
HbA1cの変化の推定治療差は,プラセボ群との比較では,semaglutide 3 mg群-1.1パーセントポイント(95%-1.4 to -0.8,p<0.0001),7 mg群-1.5パーセントポイント(-1.7 to -1.2,p<0.0001),14 mg群-1.7 パーセントポイント(-2.0 to -1.4,p<0.0001)であった。同じくliraglutide群との比較では,semaglutide 3 mg群 0.3パーセントポイント(-0.0 to 0.6,p=0.0799),7 mg群-0.1ポイント(-0.4 to 0.2,p=0.3942),14 mg群-0.3パーセントポイント(-0.6 to -0.0,p=0.0272)であった。
ベースラインから26週後までの体重変化は,14 mg群でプラセボ群およびliraglutide群にくらべて有意な減少を認め(p=0.0073,p<0.0001),その減少は52週後まで持続した(p=0.0019,p<0.0001)。
semaglutide群で多くみられた有害イベントは軽度/中等度の消化管イベントであり,そのうちもっとも多かったのが便秘であった(semaglutide群10~13%,プラセボ群6%,liraglutide群19%)。
●結論 日本人2型糖尿病患者において,経口semaglutideはプラセボにくらべ,HbA1cを用量依存的に低下させた。そして,安全性プロファイルは他のGLP-1受容体作動薬と同様であることが示された。