編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2020年10月現在,1243報収載!
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Deshmukh H, Wilmot EG, Gregory R, Barnes D, Narendran P, Saunders S, Furlong N, Kamaruddin S, Banatwalla R, Herring R, et al.: Effect of Flash Glucose Monitoring on Glycemic Control, Hypoglycemia, Diabetes-Related Distress, and Resource Utilization in the Association of British Clinical Diabetologists (ABCD) Nationwide Audit. Diabetes Care. 2020; 43: 2153-2160. [PubMed]

本論文は,イギリスの健康保険である 「NHS」 により2017年に使用が承認されたフリースタイルリブレの効果に関して,約1万人のデータをまとめて,その有用性の実態をまとめたものである。
対象症例の大多数は1型糖尿病であるが,3~8ヵ月前後(中央値7.5ヵ月)フリースタイルリブレを使用することは,HbA1cの低下,無自覚性低血糖の減少,さらには,糖尿病に関連する苦痛や,救急通報,急性合併症による入院までも減少させることが明らかになった。これらに関する,医療経済的インパクトについての続報が待たれる。
今後,フリースタイルリブレに関するエビデンスで求められるものは,その使用者を長期に追跡して,合併症の発症進展予防効果,そして生命予後の延長効果がみられるか否か,に変遷して行くであろう。【西村理明

●目的 英国におけるフラッシュグルコースモニタリング(フリースタイルリブレ)の実臨床での使用状況を調査し,フラッシュグルコースモニタリングが血糖コントロール,低血糖,糖尿病に関連する苦痛(DDS),入院に与える影響を検証した。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 -
●対象患者 フラッシュグルコースモニタリング(フリースタイルリブレ)を使用している患者10,370例。
Goldスコア(無自覚性低血糖スコア)の評価対象はベースライン時8,737例,追跡時2,801例。HbA1cの評価対象は,ベースライン時9,968例,追跡時3,182例。DDSスコアの評価対象は,ベースライン時8,320例,追跡時2,532例。
1型糖尿病患者97%,平均年齢38.0歳,女性51%,糖尿病罹病期間16.0年,BMI 25.2 kg/m2
●方法 英国の国民健康保険に加入している102の病院の医師により提出された,日常診療におけるフラッシュグルコースモニタリング(フリースタイルリブレ)の使用データを,NHS N3ネットワークより入手。
HbA1cおよびその他の項目について,ベースライン時と追跡時を,t検定およびMann-Whitney U検定により比較。フラッシュグルコースモニタリング使用後のHbA1c値の変化の予測因子を線形回帰解析を用いて特定した。患者ごとのHbA1cのバラツキは,HbA1cの調整SDを用いて算出した。
●結果 フラッシュグルコースモニタリングを使用している患者では,HbA1cが5.2 mmol/mol低下した(ベースライン67.5±20.9 mmol/mol[8.3%]→ 追跡7.5ヵ月[中央値]後62.3±18.5 mmol/mol[7.8%],p<0.0001)。
HbA1cの低下は,ベースラインHbA1c≧69.5 mmol/mol(>8.5%)の患者で大きかった(85.5±16.1 mmol/mol[10%] → 73.1±15.8 mmol/mol[8.8%],p<0.0001)。
Goldスコアは,ベースライン時2.7±1.8から追跡時2.4±1.7へと低下した(p<0.0001)。ベースライン時にGoldスコア≧4であった患者の53%が,追跡時には<4となった。
フラッシュグルコースモニタリングの使用は,DDSスコアの低下と関連した(2.9 → 2.2,p<0.0001)。また,医師以外の医療従事者の緊急コール,低血糖による入院,高血糖/糖尿病性ケトアシドーシスの有意な減少とも関連した。
●結論 フラッシュグルコースモニタリング(フリースタイルリブレ)の使用により,血糖コントロール,無自覚性低血糖スコアが有意に改善し,入院も減少することが示唆された。