編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Mathieu C, Rudofsky G, Phillip M, Araki E, Lind M, Arya N, Thorén F, Scheerer MF, Iqbal N, Dandona P: Long-term efficacy and safety of dapagliflozin in patients with inadequately controlled type 1 diabetes (the DEPICT-2 study): 52-week results from a randomized controlled trial. Diabetes Obes Metab. 2020; 22: 1516-1526. [PubMed]

本研究は24週間のDEPICT-2 Studyの52週間延長試験である。また,本研究は13ヵ国の国際共同試験でアジアからの参加は本邦のみであり,上記の論文によると約20%はアジア人とある。
現在,本邦では6種類(7製剤)のSGLT2阻害薬が用いられているが,1型糖尿病の適応を有するのはipragliflozinと本研究で用いられたdapagliflozinのみである。
SGLT2阻害薬はインスリン作用を介さずに血糖を改善するところから,1型糖尿病においても有効であろうと推測されていたが,本研究はそれを明確に示した。
なお,1型糖尿病において本薬を使用するに際しては,低血糖に対する注意と並んで,ケトアシドーシスに対する注意と患者教育が特に重要であろう。【景山 茂】

●目的 コントロール不良の成人1型糖尿病患者において,インスリン療法へのdapagliflozin追加の長期的な有効性と安全性を検討した。
有効性のエンドポイントは,ベースラインから52週後までのHbA1cの変化,1日インスリン量の変化,体重変化など。
●デザイン プラセボ対照,ランダム化,二重盲検,多施設(148施設,13ヵ国[アルゼンチン,ベルギー,カナダ,チリ,ドイツ,日本,オランダ,ポーランド,ロシア連邦,スウェーデン,スイス,英国,米国]),第III相,有効性はfull analysis set,安全性はsafety analysis set。
●試験期間 試験期間は52週(24週[二重盲検]+延長28週[参加者・施設を盲検化])。安全性の追跡は,試験終了から30日後。
●対象患者 コントロール不良の1型糖尿病患者813例。
登録基準:18~75歳,スクリーニング/登録時のHbA1c 7.7~11.0%,ランダム化時のHbA1c 7.5~10.5%,スクリーニング前のインスリン治療歴≧12ヵ月,インスリン注射を3回/日以上の頻回注射,あるいはインスリンポンプ療法(≧0.3 U/kg/日),インスリンの投与方法を3ヵ月以上変更していない者,BMI≧18.5 kg/m2
除外基準:2型糖尿病既往,SGLT2阻害薬の使用歴。
●方法 8週間の導入期間後,対象患者をdapagliflozin 5 mg群(271例),10 mg群(270例),プラセボ群(272例)に1:1:1にランダム化。その際,持続血糖モニタリング使用,インスリン投与法,ベースラインのHbA1cにより層別化した。
インスリンの用量は,血糖自己測定,地域の指針などにより適宜調整可能とした。
糖尿病ケトアシドーシスのリスクを抑えるために,インスリン用量の20%を超える減少は,推奨しないものとした。
●結果 24週間の二重盲検試験を完遂し,28週間の延長試験に参加したのは717例(88.2%)。
ベースラインから52週後のHbA1cの調整平均変化は,dapagliflozin 5 mg群-0.11%(SE 0.05),10 mg群-0.16%(0.05),プラセボ群0.09%(0.05)であった。群間差(vs.プラセボ群)は,dapagliflozin 5 mg群-0.20%(95%CI-0.34 to -0.06),10 mg群-0.25%(-0.38 to -0.11)。
1日インスリン量は,dapagliflozin 5 mg,10 mg群ともに,治療24週間にわたり減少し,その減少は延長28週間にも持続した。
ベースラインから52週後の体重の調整平均変化率は,dapagliflozin 5 mg群-3.67%(0.28),10 mg群-4.11%(0.28),プラセボ群0.78%(0.30)であった。プラセボとの群間差は,5 mg群で-4.42%(-5.19 to -3.64),10 mg群で-4.86%(-5.63 to -4.08)であった。
重篤な有害事象は,dapagliflozin 5 mg群32例(11.8%),10 mg群19例(7.0%),プラセボ群16例(5.9%)であり,低血糖イベントはそれぞれ5件,1件,2件と全群で同様で,重篤な低血糖イベントはわずかであった。
明確に確定された糖尿病ケトアシドーシスは,dapagliflozin 5 mg群11例(4.1%),10 mg群10例(3.7%),プラセボ群1例(0.4%)にみられたが,そのほとんどは軽度/中等度で,治療により治癒した。
●結論 コントロール不良の成人1型糖尿病患者において,インスリンへのdapagliflozin追加により,HbA1cと体重が長期にわたり減少したが,糖尿病ケトアシドーシスはプラセボに比べて増加した。