編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Garvey WT, Birkenfeld AL, Dicker D, Mingrone G, Pedersen SD, Satylganova A, Skovgaard D, Sugimoto D, Jensen C, Mosenzon O: Efficacy and Safety of Liraglutide 3.0 mg in Individuals With Overweight or Obesity and Type 2 Diabetes Treated With Basal Insulin: The SCALE Insulin Randomized Controlled Trial. Diabetes Care. 2020; 43: 1085-1093. [PubMed]

本研究ではFPGを71~90 mg/dLに維持すべくインスリン量を調節したので,FPGについては群間に有意な差はなく,liraglutide群のHbA1cの改善は主に食後血糖の改善を示している。また,liraglutide群においてインスリンは15 U/day少なかった。ただし,両群においてweek 56では,インスリン量はweek 0より増加していた。
GLP-1受容体作動薬による心血管イベントの抑制が報告されているが,本研究では,体重減少,食後血糖の改善,低血糖が少ないこと,インスリンおよびSU薬の用量が少ないという心血管イベントの抑制に寄与するであろう因子の改善が示された。【景山 茂】

●目的 基礎インスリン投与下の過体重/肥満2型糖尿病患者において,liraglutide 3.0 mg皮下投与の体重減少に対する効果をプラセボと比較した。
一次エンドポイントはベースラインから56週後までの体重の変化,56週後に体重が≧5%減少した患者の割合。
●デザイン ランダム化,二重盲検,プラセボ対照,多施設(複数国,53施設)。
●試験期間 試験期間は2017年2月~2018年9月,治療期間は56週。
●対象患者 基礎インスリンおよび≦2種類の経口血糖降下薬(OADs)投与下で過体重(BMI≧27 kg/m2)または肥満(BMI≧30 kg/m2)の2型糖尿病患者396例。
男性はliraglutide群45.5%,プラセボ群50.0%,平均年齢55.9歳,57.6歳,体重100.6 kg,98.9 kg,BMI 35.9 kg/m2,35.3 kg/m2,HbA1c 7.9%,8%,糖尿病罹病期間11.4年,12.8年。
登録基準:18歳以上,安定体重(スクリーニング前90日以内に自己測定した体重変化が最大5 kg),スクリーニング時の2型糖尿病(HbA1c 6~10%),基礎インスリン(≧90日,最小あるいは最大用量の必要性はないこと)および≦2種類のOADにより安定治療中の者。
除外基準:1型糖尿病,過去1年以内における重症低血糖エピソードの再発,過去90日以内にDPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬,ボーラスインスリン,あるいは重大な体重変化をもたらすことが知られている薬物の使用歴, 最近の心血管イベント既往,甲状腺髄様がん/多発性内分泌腫瘍症2型の既往,妊娠/授乳/妊娠希望,膵炎の既往。
●方法 強化行動療法(IBT)の補助治療として,対象患者を,liraglutide群(3.0 mgを1日1回皮下投与)(198例),プラセボ群(198例)に1:1にランダム化。
SU薬投与例はSU薬投与の有無により層別化し,主治医の判断により50%減量とした。
両群ともに,最初の4週間で,維持用量の3.0 mgに達するまで0.6 mg/週ごとに漸増した。
IBTは,全例に対し,低カロリー食+身体活動量の増加+行動療法を,個人/グループでのカウンセリングセッションにより合計23回実施。
●結果 治療方針estimand (intention to treat解析)によるベースラインから56週後までの体重の平均変化は, liraglutide群-5.8%,プラセボ群-1.5%であった(推定治療差-4.3%[95%CI -5.5 to -3.2],p<0.0001)。
体重が≧5%減少した患者の割合は,liraglutide群51.8%,プラセボ群24.0%であった(オッズ比3.41[2.19 to 5.31],p<0.0001)。
liraglutide群ではプラセボ群にくらべ,平均HbA1c(-1.1% vs. -0.6%,推定治療差[ETD] -0.5%[95%CI -0.8 to -0.3],p<0.0001)および日中の血糖値が有意に低下し,インスリン必要量も少なかった(インスリン用量:+3 units vs. +18 units,ETD -15.0[-22.0 to -8.0,p<0.0001])。
低血糖イベントは, liraglutide群にくらべ,プラセボ群で多かった(742.3イベント/100人・年 vs. 937.9イベント/100人・年)。
安全性または忍容性に関する新たな問題は認められなかった。
●結論 インスリン投与下の過体重/肥満の2型糖尿病患者では,体重減少において,IBTの補助療法としてのliraglutide 3.0 mgのプラセボに対する優越性が認められた。また,基礎インスリンの用量が少ないにもかかわらず,血糖コントロールが改善し,低血糖イベントも増加しなかった。